認知症の診断や予防に人工知能(AI)を活用する動きが進んでいる。
エクサウィザーズは1分ほどの会話の音声をAIに分析させ、認知機能が低下していないかどうかを判定する技術を開発中だ。
昭和大、金沢大の協力を得ており、症状の早期発見に役立てる。医療機関への提供を目指し、2026年にも実用化したい考えだ。
認知症の高齢者は2022年時点で全国に約443万人、認知症の手前の段階である軽度認知障害(MCI)は559万人いるとの推計がある。
今後も増加が見込まれており、早い段階で症状を把握して治療につなげることが重要だとされる。
エクサウィザーズは、開発中の技術をスマートフォンで使えるようにする。
画面に「最近楽しかったことは?」というようなテーマを示し、診断を受ける人に1分ほど話してもらう。
AIは話し続けることができた時間や声の抑揚を基に認知機能を分析し「良好だと考えられる」「機能低下の可能性がある」といった評価をする。
AIは認知症の患者ら300人超の音声データで学習しており、約95%の判定精度を既に達成したという。
診断などの医療行為を支える「プログラム医療機器(SaMD)」として、国の承認を得ることを目指。
顧客向けのサービスに組み込みたい企業などへの提供も視野に入れる。
エクサウィザーズの医療AI子会社「ExaMD」の羽開社長は、AIは暮らしに身近な健一康、医療分野の課題の解決に役立つとし「技術の開発と実装に、多様なステークホルダーと挑戦したい」と意気込む。
認知症の予防に向け、自治体と企業が連携する動きもある。
神奈川県横須賀市とIT企業「Starley(スターレー)」は高齢者の話し相手となる生成AIのサービスを開発している。
会話による脳の活性化が狙いで、AIに昭和のニュースを学習させ、思い出話をしやすくする。
効果は学術機関に検証してもらう。
市は「高齢者が元気で安心して過ごせる未来に向け、新たなサービスをつくりたい」としている。
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