人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、目の涙腺に似た立体的な組織をつくることに世界で初めて成功したと、大阪大の林・寄付講座教授らのチームが4月20日、英科学誌ネイチャーに発表した。
チームは、将来的に重症のドライアイの治療法や薬の開発につながるとしている。
目の表面は涙腺から分泌された涙液で乾燥を防いでいる。
免疫疾患の「シェーグレン症候群」などの病気では涙腺の機能が損なわれ、重いドライアイになる。
涙腺は成人では再生せず、根本的な治療法はない。
チームは、人のiPS細胞から涙腺の基となる細胞を作製。
特殊なゲルの中で培養し、大きさ数ミリほどのミニサイズの立体的な涙腺組織をつくつた。
免疫が抑制されたラットに移植すると、管のような組織ができたほか、涙液に関連するタンパク質が産生されるなど成熟化が進んだ。
生着した組織の量はまだ少なく、成熟化の度合いも実際の涙腺に比べるとまだ低いといい、林教授は「組織の質の向上に加え、移植技術の確立も必要だ」としている。
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