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居酒屋放浪記NO.0092 ~北の国から~「おらが村」(夕張郡栗山町)

2006-11-16 13:52:15 | 居酒屋さすらい ◆地方版
 「母さん、オレは2週間で嫌になったよ」。
 おっと、間違えた。これは「プラトーン」(オリバー・ストーン監督)の冒頭のシーンだった。
 さて、気をとりなおして。

 「父さん、お元気ですか。ボクは今、岩見沢の駅にいます。今朝はまだ辺りが暗い4時45分に家を出て、飛行機に乗り、ここに来たわけで。時刻は今、ちょうどお昼の12時になろうとしています。11時20分に札幌から着いた電車から乗換えようとしているわけですが、その後連絡まで1時間20分も駅で待たされています。仕事は夕張郡の栗山町で13時半の約束なので、その時間は間に合いそうなのですが、ウチを出てからここまでほぼ半日以上を費やしています。
 天気はいいのですが、10月下旬の北海道はもう冬がそこまできているようです」。

 「駅の待合室で何をするわけでもなく、ただじぃっと座っていると、見知らぬおばあちゃんが話しかけてきました。そのおばあちゃんが言うには、今朝鉄道が何らかの故障のために止まったらしく、おばあちゃんは、仕方なくバスで岩見沢の病院まで来たというのです。『やけに時間かかってな』とおばあちゃんは大変そうな顔して話してくれました。1時間20分の待ち時間の間、おばあちゃんと話をしてすごしたわけで、それほど、待ち時間も苦痛ではありませんでした。12時53分にようやく、鉄道がホームに入線してきて、ボクは列車に乗りました。おばあちゃんも同じ列車に乗ったようです」。

 「2両編成の列車が走りだすと、大きな音が車内に鳴り響きます。どうやら、列車はディーゼル車。どおりでうるさいわけで。
 外の景色は一面の薄が風に揺らいでいます。
 あぁ、ボクは遠くまで来てしまったんだな、と改めて感じたのです」。

ここで「北の国から」のタイトルバックが現れ、さだまさし氏のハミングが流れる。

 「流れていく景色は何かもの悲しさを感じさせ、幾つかの無人駅を通りすぎていくと、何か人恋しい気持ちにすらなってきます。しかし、今向かっている、栗山の駅も無人だったらどうしようか、もし、タクシーがなくて、仕事の現場に行けなかったらどうしようか、など心配にもなってきました。
 かくして、列車は栗山の駅に着き、降りたところで、その心配は杞憂だったことに安堵しました。実際、タクシーも走っていて、そのうちの一台にお世話になりました。

 タクシーの運転手-「今年の秋はあったかくて、いつもなら10月の中旬には一度雪が降るんだけど、今年は降らないね~。でも、根雪になるのは、11月に入ってからの雪だ」

 「タクシーの運転手は間断なく、話しをしていましたが、ほとんどボクの耳には入っていませんでした。ボクは今夜仕事が終わったら、どこの居酒屋に入るか、車外の景色をキョロキョロと見回していたのです」。

 「仕事は滞りなく、終わりました。こっちの夕闇は思いがけずに早く訪れるようで、17時前なのに、辺りは暗くなり、風がとても冷たくなっています。取材先のK山自動車のY崎常務に礼を言って、帰路につこうとすると、『札幌まで送ってくよ』とおっしゃってくれ、ボクは、ちょっとこの辺りで飲んで帰ります、と告げると、『じゃぁ、一緒に行こう』ということになったわけで。そのまま、Y崎常務の行き着けのお店に行くことになりました」。

ここでBGMは「蛍のテーマ」が流れる。

 「Y崎常務の行き着けの店はとても感じのいい店でした。お店の名前も、食べたものもすっかりそのときに飲んだ日本酒のおかげで忘却の彼方に飛んでいきました。その割烹のご主人は気さくな人で自身が東京上野の「田むら」で修行した話しをしてくれました。ご主人の奥様が山形のご出身で、そのお店のお酒は全て山形の地酒でした。それをくいくいと調子よく飲んだものだから、その時点ですっかり記憶が飛んでいってしまいました」。

 「『次に行こう!』というY崎常務の掛け声で我に帰ったときは、2件目の居酒屋「おらが村」の目の前にきたところでした。ガランとした店内に通されてボクとY崎常務はカウンターに腰掛けて、今度は焼酎を頼んだ、と思います。
思います、というのは、またしても記憶があやふやだったわけで。
その焼酎。地元栗山町の酒蔵、『北の錦』で有名な『小林酒造』さんの造る「粋」。甲類焼酎をロックでまたしてもくいくい飲ると、どんどん記憶が薄まっていったのです。
食べたものは、といえば『三富屋さんのコロッケ』くらいなわけで。しかし、それがとてもおいしかったことだけははっきりと覚えています」

 「時間が立つのは早いもので、気が着くと9時近くになっています。Y崎さんには申し訳ないが、明日は札幌で早朝から仕事が入っているので、失礼すると言い残して、駅に向かうことにしました」

ここで、「純のテーマ」が流れる。

 「駅に着くと、ホームは真っ暗で。当然ひとっこひとりいません。冷たい風がごうごうと吹いてきて、ボクの体に吹き付けてきます。なんだか、心細い気持ちになってきたけれど、電車が来る気配もありません。駅はホントに真っ暗でした」。

ここで、BGMは中島みゆき「ホームにて」(テレビシリーズで純君が東京に帰るとなった際に、大滝秀治が駅の待合い室で純君にお説教をしたときのBGMです)。

 「どれくらい時間が経ったか、本当に列車は来るのか、或いは実際に来ても、この暗がりの中、ボクを見つけることができないで、通り過ぎてしまうのでは、と考えていたところ、向こうからポツンと小さな明かりをつけて、列車が来て止まりました。列車に乗り込むと、中は暖かくて、明るくて、ボックスシートにうずくまって車窓を眺めていると、眠気が襲ってきて、窓の外は真っ暗だったけれど、時々ポツンと家の明かりが点っていて」。

 「父さん、ボクは毎日こうやってなんとかやっていってます。歳をとると大変なことが多くなったりもするけれど、なんとなく覚悟ができたような気が今はしています」。

列車のレールのリズムとオーバーラップして、さだまさし氏のハミングが再び…。

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4 コメント

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純へ (田中邦衛)
2006-11-16 15:37:13
いやぁっ、はぁ、お前も色々と大変なんだなぁ。

ただぁ、飲みすぎには気をつけろよ、飲みすぎにわぁ・・・。

体冷えちまったろ。
まぁ、とりあえず風呂入れよ、純。
返信する
父さんへ (黒板純)
2006-11-16 21:19:54
父さん元気ですか?
父さん、ていうより、父さん役をしている田中さんお、元気ですか?

せっかくならば、「五郎さん」にしておいてほしかったナ。

誰だい?松ちゃんかい?

返信する
あはは (まき子)
2006-11-17 14:01:43
何かと全国に出張のようで、忙しそうですね。。。

でもBGMと文章がうまく頭にはいっていきます(笑)。
そういえば小学校の時、国語の授業で
「北の国から」の1シーンがあったので、純の役をやってました。

返信する
純の役。 (熊猫刑事)
2006-11-17 14:14:47
をまき子さんが?
純役は女子(じょし)でもいいのかな。
独り言の台詞はなかなか難しいのでは?

吉岡秀隆さんはワタシと同い年です。
だから、「北の国から」は人ごととは思えません。
友人に正月は「北の国から」シリーズを通してみる人がいます。来年の正月はそれしてみよっかな。

最近、忙しくて「まき子の酒」、ご無沙汰しています。
やっぱり、ガンガン飲んでるんでしょうなぁ。
年末年始に向けて、お互い肝臓には気を付けましょう。
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