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2年くらい前、IサカのI田さんと「太助」に入ろうとしたら、店はもう看板になっていて悔しい思いをした。いつかはリベンジしたいと思っていたら、早いうちにその機会に恵まれた。ただ、店名は覚えてなくて、仙台に詳しい人に、「牛タンの有名な店」と尋ねると、大抵のは決まって「利休」の名を口にした。
そんな名前だったっけ?とさして疑問に思わず、店に行ってみると、店名は「太助」だった。どうやら、仙台牛タン発祥の店らしい。そんな格調の高い店だったか。
店内を覗くと店は満員。しばし外で待つ。やがて客が出ていき、入れ替わりに入店した。カウンターに案内された。
子どもの頃から、仙台にはよく来ていたが、当時はそんなに牛タンは有名ではなかったように思う。お土産といえば、笹かまか萩の月。仙台の牛タンがメジャーになったのはこの20年くらいじゃないかなと思ったりする。
さて、まずは「瓶ビール」をいただきながら、牛タンでもつまみたい。
牛タンは単品でもあるがコスト的にそれはもったいなくて、一般的には多くは定食をいただくようだ。牛タンと麦飯とテールスープ、そして浅漬け。問題は牛タンの枚数で4枚、5枚、6枚をチョイスできる。自分は4枚を選んだ。
驚いたのは牛タンの焼き方。カウンターの内側は厨房なのだが、そこではおびただしい数の牛タンを炭火で焼いている。とにかく手慣れた手つきが印象的だ。厨房はチームが形成されており、牛タンを焼く人、飯を盛る人がそれぞれ配置についている。
それを眺めながらビールをごくり。やはり、牛タンにはビールがよく合う。言うまでもないが、仙台の牛タンは焼肉屋のタン塩ではない。味つけられた分厚いタンである。これがまた柔らかくてうまいのだ。これが本当にたまらない。
ビールもすすむが、飯にも抜群に合う。麦飯なんて、とても朴訥なのだが、言い換えれば麦飯だからこそ、牛タンによく合うとも思うのだ。
仙台の牛タンスタイルを築いたのは、佐野啓四郎氏といわれている。佐野氏が味つけた牛タンに麦飯、そしてテールスープと漬物をセットにして出すスタイルを確立させ、それが仙台の店に伝わっていったという。その流れを引き継いだのが、「太助」らしい。実は「太助」にはもう一つ、「味 太助」という店があり、こちらが本店と称している。自分は佐野氏の牛タンをいただいたことがないから分からないがから、どちらが伝統的な仙台牛タンを受け継いでいるかはわからない。ただ、「旨味 太助」の人気ぶりをみると、それが一つの評価であると判断できる。しかも、実際、その伝統的な焼き方で焼いた牛タンは本当に旨味が沁みていた。
仙台にまた一つ立ち寄るべき店が増えてしまった。
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