一見広い街に見える渋谷だけど、地形的に窪みになっている部分が本当の渋谷なのだと思えば、そんなに広くはない。ただ、恵比寿から渋谷、そして原宿まで、切れ目がなく、いつまでたっても、街のまま。あてもなく、歩いても、必ずそこには何かがあって、飽きることがない。
道玄坂の麓は退廃的だが、青山通りの麓はまだ健全で、しかもまだ歩きやすい。前回の立ち飲みラリーで赴いた「キミドリ」の帰り道、歩道橋の下に、「串カツでんがな」を発見した。言わずもがなの串カツFC。中を覗くと見事に立ち飲みだった。
この「串カツでんがな」というFC店、ほとんどが座りの店だったように思う。
過去一度だけ行った、十条の店は座りだったし、街のあちこちで見かける同店のほとんどは確か座り。北千住の店は、店内が座りだが、オーバーフローした時の店頭のスペースは、立ち飲みだった。だから、渋谷の店舗がオール立ち飲みと分かったときは、ちょっとした驚きがあった。
だが、気分的に、ワクワク感がないのも事実。FCという金太郎飴的サービスに多くを期待できない部分もあるし、かつて行った十条の店は面白味に欠けていた。
けれど、入店してみると事情は違った。メニューが豊富だった。店員さんは丁寧で、これまで同店に抱いていたイメージが、一瞬のうちに払拭された。「串かつ でんがな」という店名が、どうも上方の騒々しいイメージで、どちらかといえば、がさつな感じを持っていた。
だが、考えてみれば、ここは東京である。標準語の東京的サービスで対応してくれるのは、当たり前だ。女性店員の対応は素晴らしく、後程現れたイケメンの店員も気持ちのいい接客だった。
「ホッピーセット白」(463円)に、「串かつ5本セット」(571円)を頼んだ。いずれも、立ち飲みの水準としては高い。けれど、渋谷水準で見れば、安い気もする。串かつが揚がるまでの時間は、「牛もつ塩煮込み」(381円)でしのぐことにした。
ボクは揚げものには、断然ホッピーだと思っている。とりわけ、大阪的メーラードは、ホッピー以外考えられない。じゅわっと揚がった衣には、爽やかなホッピー白がよく合う。串焼きの場合は必ずしもそうではなく、恐らく、脂分の違いが、ホッピーとの相性を決めているのだろう。
牛、チキン、ウィンナー、なす、たまねぎ。5本セットの内訳も申し分なかった。動物性が過半数を越えて含まれている。
たまんねぇ。
東京における串揚げ屋さんは、もはや珍しくもない。串焼きと相対する存在として、関東人にも、すっかり認知された。最近は、「田中屋」というFCも台頭し、都内の串揚げ屋は激戦だ。最近の串揚げは、この2大潮流に収斂しつつある。
競争は必要である。
そのおかげか、「串かつ でんがな」も随分頑張っている様子。もしかして、渋谷という場所にあって、高い品質を提供する態勢を整えたか。
店の引き戸が異常に硬い。入店する際は両手を使って、戸を引くべし。
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