「つるや」を出て、再び烏森の居酒屋群にもどった我々は、今度はホッピーを求めて店を物色したのだった。
「つるや」の焼き鳥でお腹はだいぶ落ち着いていた。
あとはもう、ホッピーを飲むだけである。
ホッピーお飲むお店はここ烏森では事欠かない。
大抵の店ならホッピーは置いているだろう。
そこで、我々が選んだ次の店は「立呑屋」である。
文字通りの立ち飲み屋で、もしここが座って飲むスタイルの店ならば、詐欺と言われても仕方のない、「ちょっとはひねらんかい!」というネーミングのベタベタの立ち飲み屋だ。
店はさほど新しくもない。どちらかといえば古いほうではないか。
狭い通路を越えて奥の立ち飲みスペースに居場所を確保した我々は迷うことなく、ホッピーと中味を注文したのだった。
実はこのところ、サボって酒や肴の値段をメモしなくなった。
確か、記憶を辿れば、この店のホッピーと中味も特段高かった覚えがないので、値段は良心的なものだったと思う。
肴には、「煮込み」と「タコ刺」を頼んだ。
太田和彦さんじゃないが、居酒屋に「タコ」があると「ホッとする」というのは、まさしく言いえて妙。主役じゃないが、脇役でもない、タコはやっぱり偉大で、ついつい頼みたくなってしまう。
頭上にはテレビがニュースを流している。
それほど、遅くもない時間帯だったが、普段は行かない2軒目に突入すると、どうも遅い時間と錯覚する。
お客は5,6人と、それほど多くもなかったのが、やはりそんな気にさせたのだろう。
そんなこんなで待望のホッピーにありつき、我々はニコニコ顔で乾杯したのだった。
特段、特徴のない店だったが、唯一「ほう」と思ったのが、お通しの生野菜だ。
お代わりが自由らしく、カウンターの上に「お代わり自由」と野菜と辛味噌がお皿に盛られている。
これは、いいサービスだ。
わたしもじゃんじゃんお皿の野菜を頂戴した。
メニューは多めに用意されている。
古き良きの居酒屋メニューばかりだ。
備忘録がなくて、わたしの記憶ではいかんともしがたいので、「立ち飲み酒」(立ち飲み研究会=創森社)を参照したい。
「この店の売りは暖簾にも染め抜かれているように焼き鳥と煮込み。焼き鳥は一串80~100円だが、にんにくとかしいたけなどの野菜焼き、あげ巻やベーコン巻などの串焼きになると一串130~160円になる。酒肴はそのほか、煮込み豆腐や肉大根、めざし、おひたし、チーズなど多種多彩。なかには、さばの味噌煮などという、ふつう居酒屋さんでもなかなかお目にかかれない、貴重な『家庭の味』もある」
と記されている。
ちなみに同書によると、ホッピーは380円とのことだ。
ホッピー、一杯目をまず難なく撃沈させ、2杯目の中味をお代わりした。
過日、ホッピー研究会の怪鳥と草野球をした後、浜松町の貿易センタービル地下一階にある東海飯店で昼間から酒を飲んだ際、ご一緒していただいた怪鳥のご友人は「ホッピーは中味2杯ですよね」とおっしゃっていた。
余程、中味の薄いものでないとホッピー1瓶を2杯で終わらすことはできまい。
ちなみに、わたしと怪鳥は「3杯」と反論した。
大抵の居酒屋なら、酎杯のコップや中ジョッキに半分を目安として焼酎を入れてくれる。それ以上になれば、濃すぎるし、それ以下なら物足りない。
そうして、ホッピーを注ぐとおおよそ中味3杯でホッピーを1瓶使う計算になる。
「立呑屋」もまさしく適量の中味を注いでくれた。
煮込みは新橋烏森界隈の特徴でもある、赤味噌さらあら系のもの。しっかり煮込まれていて、モツも柔らかく、味が染み渡っている。
但し、レベルが高い新橋烏森の煮込みとしては、特に決め手をかくものであった。
タコについては、まぁ無理もない。
冷凍していたというのが見え見えだった。
だが、これもまた仕方ないと言うべきだろう。
立ち飲みとしての雰囲気は申し分ない。
本当の場末のように鬼気迫るものがないだけに、お店は入りやすい。
やはり、新橋烏森に店を構えているからだろう。
前出の「立ち飲み酒」にはこうも記されている。
「新橋に来ると、なぜかホッとする。(中略)新橋の飲み屋には『新橋らしさ』というか、新橋独特の『におい』があるのだ。これは、新宿とか、渋谷、池袋あたりとはぜんぜん異なるし、似たようでありながら神田界隈ともまた違う。そういう新橋らしさを見せる飲み屋は、立ち飲みの店にも当然ながらあって、新橋烏森口の『キムラヤ』の右路地を入って行った、その名もズバリ『立呑屋』などは、その典型的な一軒であろう」。
立ち飲みとは雰囲気である。
食べ物や飲み物には四の五のいいたくはない。
新橋らしい、烏森らしい雰囲気で充分だ。
我々はお互いきっかり中味を3杯飲んで店を出た。
結局最後まで「赤バンド」を見つけることは適わなかった。
「赤バンド」関係者の皆さん、もう少し分かりやすく販売していただけないだろうか。
「赤バンド」をみつけながら、烏森居酒屋群の端まで歩いた際に、だいぶ立ち退いた店が多くなっていることに気がついた。
どうやら、マッカーサー道路は本当に作られるらしい。
いつまでも、新橋らしいお店がその伝統を守れるように、赤バンドなどの企画はもっともっと分かりやすくすべきではないか。
我々、ホッピー研究会はすでに烏森の聖地であった旧「加賀屋」を失っている。
これ以上、良心的なお店を失うわけにはいかないのだ。
「つるや」の焼き鳥でお腹はだいぶ落ち着いていた。
あとはもう、ホッピーを飲むだけである。
ホッピーお飲むお店はここ烏森では事欠かない。
大抵の店ならホッピーは置いているだろう。
そこで、我々が選んだ次の店は「立呑屋」である。
文字通りの立ち飲み屋で、もしここが座って飲むスタイルの店ならば、詐欺と言われても仕方のない、「ちょっとはひねらんかい!」というネーミングのベタベタの立ち飲み屋だ。
店はさほど新しくもない。どちらかといえば古いほうではないか。
狭い通路を越えて奥の立ち飲みスペースに居場所を確保した我々は迷うことなく、ホッピーと中味を注文したのだった。
実はこのところ、サボって酒や肴の値段をメモしなくなった。
確か、記憶を辿れば、この店のホッピーと中味も特段高かった覚えがないので、値段は良心的なものだったと思う。
肴には、「煮込み」と「タコ刺」を頼んだ。
太田和彦さんじゃないが、居酒屋に「タコ」があると「ホッとする」というのは、まさしく言いえて妙。主役じゃないが、脇役でもない、タコはやっぱり偉大で、ついつい頼みたくなってしまう。
頭上にはテレビがニュースを流している。
それほど、遅くもない時間帯だったが、普段は行かない2軒目に突入すると、どうも遅い時間と錯覚する。
お客は5,6人と、それほど多くもなかったのが、やはりそんな気にさせたのだろう。
そんなこんなで待望のホッピーにありつき、我々はニコニコ顔で乾杯したのだった。
特段、特徴のない店だったが、唯一「ほう」と思ったのが、お通しの生野菜だ。
お代わりが自由らしく、カウンターの上に「お代わり自由」と野菜と辛味噌がお皿に盛られている。
これは、いいサービスだ。
わたしもじゃんじゃんお皿の野菜を頂戴した。
メニューは多めに用意されている。
古き良きの居酒屋メニューばかりだ。
備忘録がなくて、わたしの記憶ではいかんともしがたいので、「立ち飲み酒」(立ち飲み研究会=創森社)を参照したい。
「この店の売りは暖簾にも染め抜かれているように焼き鳥と煮込み。焼き鳥は一串80~100円だが、にんにくとかしいたけなどの野菜焼き、あげ巻やベーコン巻などの串焼きになると一串130~160円になる。酒肴はそのほか、煮込み豆腐や肉大根、めざし、おひたし、チーズなど多種多彩。なかには、さばの味噌煮などという、ふつう居酒屋さんでもなかなかお目にかかれない、貴重な『家庭の味』もある」
と記されている。
ちなみに同書によると、ホッピーは380円とのことだ。
ホッピー、一杯目をまず難なく撃沈させ、2杯目の中味をお代わりした。
過日、ホッピー研究会の怪鳥と草野球をした後、浜松町の貿易センタービル地下一階にある東海飯店で昼間から酒を飲んだ際、ご一緒していただいた怪鳥のご友人は「ホッピーは中味2杯ですよね」とおっしゃっていた。
余程、中味の薄いものでないとホッピー1瓶を2杯で終わらすことはできまい。
ちなみに、わたしと怪鳥は「3杯」と反論した。
大抵の居酒屋なら、酎杯のコップや中ジョッキに半分を目安として焼酎を入れてくれる。それ以上になれば、濃すぎるし、それ以下なら物足りない。
そうして、ホッピーを注ぐとおおよそ中味3杯でホッピーを1瓶使う計算になる。
「立呑屋」もまさしく適量の中味を注いでくれた。
煮込みは新橋烏森界隈の特徴でもある、赤味噌さらあら系のもの。しっかり煮込まれていて、モツも柔らかく、味が染み渡っている。
但し、レベルが高い新橋烏森の煮込みとしては、特に決め手をかくものであった。
タコについては、まぁ無理もない。
冷凍していたというのが見え見えだった。
だが、これもまた仕方ないと言うべきだろう。
立ち飲みとしての雰囲気は申し分ない。
本当の場末のように鬼気迫るものがないだけに、お店は入りやすい。
やはり、新橋烏森に店を構えているからだろう。
前出の「立ち飲み酒」にはこうも記されている。
「新橋に来ると、なぜかホッとする。(中略)新橋の飲み屋には『新橋らしさ』というか、新橋独特の『におい』があるのだ。これは、新宿とか、渋谷、池袋あたりとはぜんぜん異なるし、似たようでありながら神田界隈ともまた違う。そういう新橋らしさを見せる飲み屋は、立ち飲みの店にも当然ながらあって、新橋烏森口の『キムラヤ』の右路地を入って行った、その名もズバリ『立呑屋』などは、その典型的な一軒であろう」。
立ち飲みとは雰囲気である。
食べ物や飲み物には四の五のいいたくはない。
新橋らしい、烏森らしい雰囲気で充分だ。
我々はお互いきっかり中味を3杯飲んで店を出た。
結局最後まで「赤バンド」を見つけることは適わなかった。
「赤バンド」関係者の皆さん、もう少し分かりやすく販売していただけないだろうか。
「赤バンド」をみつけながら、烏森居酒屋群の端まで歩いた際に、だいぶ立ち退いた店が多くなっていることに気がついた。
どうやら、マッカーサー道路は本当に作られるらしい。
いつまでも、新橋らしいお店がその伝統を守れるように、赤バンドなどの企画はもっともっと分かりやすくすべきではないか。
我々、ホッピー研究会はすでに烏森の聖地であった旧「加賀屋」を失っている。
これ以上、良心的なお店を失うわけにはいかないのだ。
会社は引っ越してもそれほど大きな影響って無いけど、通りすがりのお客が大事な飲食店は辛くなってしまう事が多いようです。体力の無い店は閉店に追い込まれてしまう事、多々あるようです。
古い飲食店街は場所も良く、再開発に引っかかる事が多いですよね~。
本来、氷を入れない飲み方だと2杯という説もあるねえ。
道端をみると、全部が全部 立ち退くようではないようですね。しかし、規模は小さくなりますね。飲食店の場合、代替地をもらっても、うまくいくかは分からないもの。常連は従前通り、通うのだろうけど、離れていくお客の方が多いことでしょう。
次のホピ研は変わりつつある新橋の烏森を視察、レポートしましょうか?
氷なしホッピーでも試しながら。