東京23区の食堂はもはや絶滅状態である。駅近の風景は根こそぎ変わり、何か不変のものを探すとき、駅から離れた場所を歩くのがいい。「武井」もそんなお店である。
「おかず横丁」に程近い一角。「中華・軽食」と看板にはあるが、決して中華ではない。あえてカテゴライズすれば食堂か。「軽食」としているのは遠慮か、それとも謙遜か。もし、「武井」が軽食ならば、「吉野家」だって同じだ。だって、丼ものしかないから。
「武井」の店内も実に質素。今時都内の飲食店で、こんなスタイルがあるのかと驚く。白いテーブルに簡素な椅子。オーダーをとりにくるのは優しいおばあさんだ。厨房の様子は窺えないが、そこで腕をふるうのは多分おばあさんの伴侶だろうか。いや、そうであってほしい。
「チャーハン」(600円)。
名は体を表す。地味だが慈味。
突出したものはないがエラーもない。書くべき何かを探すが、あまりにもない。「普通」というありていの言葉しかうかばないが、実はその味を出すのは難しいとも思う。塩辛くなく、薄味でもなく。ほどよく炒飯。
いつ行っても空いていて、仕事の休憩にはうってつけ。だが、心配なのはおばあさんである。かなりご高齢なので、いつ引退されてもおかしくない。お店に行き、おばあさんが元気そうだとホッとするのだ。
仕事が追い込みで激しく消耗した時は、「武井」に行くことにしている。だって、癒されるから。商売っ気がなく、お店には愛が溢れている。
そうやって消えてしまった店が私の街にもたくさん有ります、一昨年駅前の寿司屋が廃業してとうとう海南市には回転寿司が一軒だけになっちゃいました(^_^;)
町中華は高齢化を迎えています。たまに、事業承継できてる店も見ますが、ほとんどは一代限りのように見受けられます。市場原理だから、仕方ないのですが。
市内に回転鮨が一軒ですか。
それは大変です。
大手のチェーンとか、出店しそうなもんですがね。