お店の柔らかな電灯に誘われて、店頭まで来てみると。
黒板には殴り書きのような粗末な字。
「鶏たたき10円」と大書されている。
ボクと今pは迷うことなく店内へと吸い寄せられた。
店内は向かって右手がL字のカウンター。左手がボックス状にテーブル席が3卓ほど。
既に幾人かの酔客がカウンターに陣取っている。
優しげだが芯の強そうな美人のお姉さん。
カウンター席をしつらえ、我々はどっかとそこに腰を下ろした。
清澄白河の駅を降り、適当に店を物色しながら、清澄公園近くまで南下。そこで、見つけた酒場が「ぐりどっちん」だった。
お店の雰囲気はざっくばらんで悪くない。だが、90年代初頭にヒットしたジャパニーズ ポップスが店を軽い雰囲気にさせている。
まず、我々が1杯目の生ビールを注文する際、GO-BANGSの名曲「あいにきてI・NEED・YOU」がイントロを飾った。
店は若い二人の男がきりもりしている。歳の頃は30代前半といったとこだろうか。昔はやんちゃしていた二人が飲食店で修行し、店を出した、といった雰囲気。
店の主肴は焼き鳥。その焼き物も様々な趣向を凝らし、メニューの幅を広げている。
鳥、臓物、野菜、そして鳥と野菜のコンビなどなど。
その豊富なメニューから我々は、せせり、はつ、砂肝、レバー、ネギ間をそれぞれ注文した。
焼き物が運ばれてくる頃、店内に響いたのは尾崎豊、「Oh!My Little Girl」。
砂肝、レバーの塩気が何故か切ない。遠い昔の心の傷に塩のヒリヒリ感が沁みる。懐かしい痛みのようで、どこか甘酸っぱい何かが込みあがってくるようだ。
こんな寒い夜に、一体どこの誰がこの曲をリクエストしたのだろうか。
甘酸っぱい思い出がこみ上げてきたためか、生ビールを飲み干したボクは次に柄でもなく「はちみつ黒酢ハイ」などを注文してしまう。
だが、この「はちみつ黒酢ハイ」だが、実は意外にうまかった。はちみつの甘みに加え、黒酢の酸味が絶妙なハーモニーを奏でている。けっこう、いくら飲んでも飽きずにすいすいと飲めてしまう。こりゃぁ、いい!
その後、3杯もたて続けにお代わりしてしまった。
そうこうするうち、店の雰囲気がガラリと変わる。
曲はTMレボリューションの「WHITE BREATH」。
これに弾かれたように、「鳥のたたき」とレバー刺しを注文。
今pは3杯目のビールに突入した。
僅か10円という今日のサービス品「鶏たたき」。
「鳥インフルエンザに感染した鳥を安く仕入れたんじゃないの?」などと勝手な想像を 膨らましていたが、出てきた料理は頗るまとも。
特製のタレに沁みた鶏のたたきはかなりうましっ!
しかし、ホントにコレ10円でいいの?
いまどき、10円で買えるのは「うまい棒」くらいなモンでしょ。
「うまい棒」でご飯は食べられないけれど、(その昔「うまい棒」の明太味をご飯にのせて食べた奴がいたが)、この鶏たたきで飯3杯はいけるよ。
懐かしのメロディがややうるさくもないが、それ以外は実に雰囲気はいい。
トイレに立った今pがやや興奮気味に戻ってきた。
「ジミとエリックに見つめられた」。
すぐさま、ボクもトイレに立ったが、成る程ジミ・ヘンドリックスとエリック・クラプトンの若き日のポスターがじぃっと両サイドからボクの放尿の一部始終を眺めていた。
これはちと落ち着かない。
今pが日本酒に手を染めた。
菊水の限定絞り。若竹の竹筒に注がれた濁り酒は実に清々しい。
ボクも負けじと焼酎を頼む。例によって、お姉さんに「お奨めのものを」と尋ねると、素っ気ない態度であしらわれた。適当に「さとうきび畑」という銘柄を水割りにして注文。やっぱ、冒険しなきゃよかった。
さて、まったりとした時間が過ぎていくなか、店内のBGMにようやく変化の兆しが現れた。
「おっ、エアロスミスか」と思った瞬間、その声は稲葉浩志に変わる。
ジーザス!
そろそろ引き際か。
気がつきゃ、我々の後ろでお相撲さんが彼女を連れてお酒を飲んでいる。場所柄からして尾車部屋の力士か。関取かどうか分からないが、しかしタバコはいかんよ。タバコは。
これでは、外国人力士にはいつまでも勝てないゾ。
などと、余計なお世話を心で呟きながら、店を後にしたのだった。
黒板には殴り書きのような粗末な字。
「鶏たたき10円」と大書されている。
ボクと今pは迷うことなく店内へと吸い寄せられた。
店内は向かって右手がL字のカウンター。左手がボックス状にテーブル席が3卓ほど。
既に幾人かの酔客がカウンターに陣取っている。
優しげだが芯の強そうな美人のお姉さん。
カウンター席をしつらえ、我々はどっかとそこに腰を下ろした。
清澄白河の駅を降り、適当に店を物色しながら、清澄公園近くまで南下。そこで、見つけた酒場が「ぐりどっちん」だった。
お店の雰囲気はざっくばらんで悪くない。だが、90年代初頭にヒットしたジャパニーズ ポップスが店を軽い雰囲気にさせている。
まず、我々が1杯目の生ビールを注文する際、GO-BANGSの名曲「あいにきてI・NEED・YOU」がイントロを飾った。
店は若い二人の男がきりもりしている。歳の頃は30代前半といったとこだろうか。昔はやんちゃしていた二人が飲食店で修行し、店を出した、といった雰囲気。
店の主肴は焼き鳥。その焼き物も様々な趣向を凝らし、メニューの幅を広げている。
鳥、臓物、野菜、そして鳥と野菜のコンビなどなど。
その豊富なメニューから我々は、せせり、はつ、砂肝、レバー、ネギ間をそれぞれ注文した。
焼き物が運ばれてくる頃、店内に響いたのは尾崎豊、「Oh!My Little Girl」。
砂肝、レバーの塩気が何故か切ない。遠い昔の心の傷に塩のヒリヒリ感が沁みる。懐かしい痛みのようで、どこか甘酸っぱい何かが込みあがってくるようだ。
こんな寒い夜に、一体どこの誰がこの曲をリクエストしたのだろうか。
甘酸っぱい思い出がこみ上げてきたためか、生ビールを飲み干したボクは次に柄でもなく「はちみつ黒酢ハイ」などを注文してしまう。
だが、この「はちみつ黒酢ハイ」だが、実は意外にうまかった。はちみつの甘みに加え、黒酢の酸味が絶妙なハーモニーを奏でている。けっこう、いくら飲んでも飽きずにすいすいと飲めてしまう。こりゃぁ、いい!
その後、3杯もたて続けにお代わりしてしまった。
そうこうするうち、店の雰囲気がガラリと変わる。
曲はTMレボリューションの「WHITE BREATH」。
これに弾かれたように、「鳥のたたき」とレバー刺しを注文。
今pは3杯目のビールに突入した。
僅か10円という今日のサービス品「鶏たたき」。
「鳥インフルエンザに感染した鳥を安く仕入れたんじゃないの?」などと勝手な想像を 膨らましていたが、出てきた料理は頗るまとも。
特製のタレに沁みた鶏のたたきはかなりうましっ!
しかし、ホントにコレ10円でいいの?
いまどき、10円で買えるのは「うまい棒」くらいなモンでしょ。
「うまい棒」でご飯は食べられないけれど、(その昔「うまい棒」の明太味をご飯にのせて食べた奴がいたが)、この鶏たたきで飯3杯はいけるよ。
懐かしのメロディがややうるさくもないが、それ以外は実に雰囲気はいい。
トイレに立った今pがやや興奮気味に戻ってきた。
「ジミとエリックに見つめられた」。
すぐさま、ボクもトイレに立ったが、成る程ジミ・ヘンドリックスとエリック・クラプトンの若き日のポスターがじぃっと両サイドからボクの放尿の一部始終を眺めていた。
これはちと落ち着かない。
今pが日本酒に手を染めた。
菊水の限定絞り。若竹の竹筒に注がれた濁り酒は実に清々しい。
ボクも負けじと焼酎を頼む。例によって、お姉さんに「お奨めのものを」と尋ねると、素っ気ない態度であしらわれた。適当に「さとうきび畑」という銘柄を水割りにして注文。やっぱ、冒険しなきゃよかった。
さて、まったりとした時間が過ぎていくなか、店内のBGMにようやく変化の兆しが現れた。
「おっ、エアロスミスか」と思った瞬間、その声は稲葉浩志に変わる。
ジーザス!
そろそろ引き際か。
気がつきゃ、我々の後ろでお相撲さんが彼女を連れてお酒を飲んでいる。場所柄からして尾車部屋の力士か。関取かどうか分からないが、しかしタバコはいかんよ。タバコは。
これでは、外国人力士にはいつまでも勝てないゾ。
などと、余計なお世話を心で呟きながら、店を後にしたのだった。
焼き鳥、美味しかったね~~