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居酒屋さすらい 0960 - だれてひなびた都下の立ち飲み - 「喜京屋 立ち飲み版」(清瀬市元町)

2016-01-15 22:56:45 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋

清瀬には一度だけ降りたことがある。

あれは18年前。バンコクで1週間ほど一緒に過ごしたH本君が、結核を患い、入院したのが、清瀬にある病院だった。

ボクは見舞いに行った。見舞いのリクエストは焼き鳥だった。どこで買ったか忘れてしまったが、ボクは焼き鳥をたんと買って、彼を見舞った。

だから、清瀬と言えば、焼鳥なのである。

 

不朽の名作「となりのトトロ」。

さつきとメイのお母さんは長患いをしてサナトリウムらしい施設に入っている。サナトリウムの名称は七国山病院。東村山の八国山がモデルとされているが、とにかく清瀬、東村山あたりは結核の病院が今も多い。

 

その清瀬に降りた。

大学のゼミの帰り。なんとなく清瀬に降りてみようと思った。動機はただそれだけ。

良さそうな居酒屋があったら、そこでビールを飲もう。

駅を降りて適当に歩いた。商店街はなく、店は点在するのみ。

それほど興味を惹かれる街ではなかった。

居酒屋も多くはなく、そろそろ帰ろうとするかと思って、小路を折れると、立ち飲み屋が現れた。

「喜京屋 立ち飲み版」と書かれている。

立ち飲みではない店もあるのだろう。

 

とにかく、入ってみよう。

ひなびた店だった。

入口にはビニールシート。ビールケースを重ねたテーブルは座り席である。その奥が厨房で、それを囲むようにカウンターの立ち飲みがある。

厨房がまたいびつな形で不思議な形状をしている。

店員は動きにくそうで、とても機能的とはいえない。

 

ボクは店の奥に陣取り、生ビールを頼んだ。

生ビールは390円。いい値段のつけかたである。

だが、店の雰囲気はだれており、ひなびており、活気がなかった。客は老人が3人ほど。店員は20代も前半と思われる男女が務めていたが、店内はリズム感がなく、夕方の情報番組のテレビが店内の空気を支配していた。

それでも彼らが店を切り盛りしていた。肴を出し、酒を作り、焼きものを焼いた。優男風に見える男はそれでも常連と思しき老人に冗談を言ったりしている。ひなびたというよりむしろ牧歌的と言う方が正確かもしれない。

 

ボクは焼きものを頼んだ。

あの日H本君が病院の中庭でかぶりついたように、ボクもこの清瀬でおいしそうに焼き鳥を食べたい。

生ビールをやっつけて酎ハイ(350円)をいただく。

焼きものは1本150円。これは高いように感じる。とりわけ、立ち飲みの聖地、秋津が近いのにも関わらず、この値段はないだろう。

カシラとハツともも肉、ネギ間をオーダーした。

期待はできないなと思った。リズム感のない店でうまい焼きものに出会ったことがないからである。

店のリズムと焼きもののうまさには相関の関係があるとボクは思う。料理とお酒はリズムなのだ。

 

ひなびた店舗から創造性は生まれない。そう思いながら、待っていると案の定、こじんまりとした貧弱な焼きとんが出てきた。

「あぁ」とボクは嘆息した。

結局、ボクが使ったお金は1,340円。

ビールと酎ハイを各1杯で店を後にした。

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