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なんとも壮観なオープンエア。そして、自由奔放な店構え。もちろん椅子などなくテーブルらしきものが幾つか店内にあるだけ。店からあぶれた者は店の外にハミ出していくのだが、テーブルらしき板っぱりに缶ビールを置き、自然とそこに人が群がる。
これが、JR大井町駅北口徒歩1分。「肉のまえかわ」の状況である。
ここを立ち飲み屋と言ってしまっていいのか、わたしには分からない。
ここを訪れる客は店内右側の業務用の冷蔵庫から缶ビールを取り出し、レジへ進む。レジといってもそんな大層なものなどなく、通常の肉屋さんのガラスのショーケース向こうにいる店員にお金を払う。その際、そのガラスのショーケースにある酒肴も注文すれば、一通りの手続きは終了する。
果たして、これが立ち飲み屋なのか。
敢えて乱暴な言い方をすると、ビールを売っている肉屋さん、が最も適当な言い方だろう。
酒場とは派生の仕方が決定的に違う。
コロッケや焼き鳥を売るうちに誰かが、どこからからか酒を買って現れ、その場で飲んで食べるうちにいつしか、ビールを売り出し、という感じなのだ。
来ている客も酒場に行くかしこまった輩は皆無だ。
仕事の帰りに気が合う同僚とくだをまきに。
それは、どこかで立ち話をする自然な成り行きのよう。
或いは、サークル仲間が活動を終えた帰り道の道中に。
それは、コンビニに寄ってちょっと腹ごしらえをするかのよう。
はたまた、ちょっと喉が渇いたけれど、一人で居酒屋なんて、という一人のときに。
ここは自販機のような役割を担っている。
ちょっと、立ち寄るだけの店だから、かしこまる必要は全くない。だからお客は皆、ビールを缶ごとあおっている。
いやいや、ビールではなく、発泡酒がほとんどだ。もちろん、アサヒスーパードライも置いてあり、巨大な冷蔵庫に燦然と輝いている。
だが、スーパードライを飲む人をあまり見かけない。ビールで気取っちゃいけないのだ。
わたしも皆さんに倣いアサヒビールの発泡酒『本生ドラフト』を冷蔵庫から取り出し、会計に進んだ。350mml缶で200円。つまみにはガラスのショーケースにあるポテトサラダをもらった。100g程度の量で100円だ。
お勘定は一回一回支払う方式である。
発泡酒とポテトサラダの皿を抱えて、次は自分の場所探し。
だが、ここは落ち着いて対応したい。同店初心者だからといって、動転すると、その後の酒飲みタイムをつまらないものにするからだ。落ち着いていれば、周りもよく見渡せ、たとえ店が混んでいても自ずと突破口を見いだすことができる。わたしの場合も幸いなことに居場所はすぐに見つかった。
早速、『本生ドラフト』のプルタブをプシュっと開け、45度の角度で一気にビール風飲料を体内に流しこむ。気がつきゃ、缶の中身半分がもうない。
その勢いでポテトサラダも速攻で平らげた。ちなみにこの店では箸が出てこない。その代わり、手渡されるのが焼き鳥を刺す串だ。お客はこれを巧みに操ってつまみを食べるのである。
6月の終わりの暑い東京にて、まさか発泡酒一本で終わるわけがない。次に触手を伸ばしたのが、焼酎レモン(220円)である。やや大きめのグラスにたっぷりと入ったレモンハイは実に気前がよい。つまみにささみ生食(220円)をチョイスした。
お勘定を取りしきる女性は異国の方。言葉のイントネーション、にこりともしない接客から判断すると中国の方か。
この女性が同店のよい意味でも悪い意味でも華を添えているのは確かだ。
そして、忘れていけないのが店の入り口に設けられている焼き鳥コーナーである。ここにも中国の女性と思しき方が活躍している。やはり、にこりともせず淡々と鳥を焼いているのだ。
わたしは焼酎レモンをもう一杯お代わりして焼き鳥を貰うことにした焼き鳥は全9種。その中から、とり焼(80円)、ネギ間(100円)をチョイス。
至極の時間を堪能したのである。
先般、日本経済新聞連載の『わたしの履歴書』でニコン相談役の吉田庄一郎氏が筆を担当した。
その中で氏の課長時代に同社の新規事業を模索するにあたって、会社の帰り道夜な夜な居酒屋で喧々囂々、膝を突き合わせて意見を交わしたというエピソードがあった。ニコンの工場は大井町にある。光学通りというニコンの城下町が話しの舞台となっており、決して『肉のまえかわ』で戦略会議を開いていた訳ではないはずだが、この店に集うサラリーマンの姿を見て、そんな文章を思いだした。
とにかく、この店の特異な雰囲気は酒飲みとしては新鮮だった。おいしく酒を飲むのに体裁なんて、これっぽっちも足しにはならないんだ。
ここに行けば、全てが分かるさ。
これが、JR大井町駅北口徒歩1分。「肉のまえかわ」の状況である。
ここを立ち飲み屋と言ってしまっていいのか、わたしには分からない。
ここを訪れる客は店内右側の業務用の冷蔵庫から缶ビールを取り出し、レジへ進む。レジといってもそんな大層なものなどなく、通常の肉屋さんのガラスのショーケース向こうにいる店員にお金を払う。その際、そのガラスのショーケースにある酒肴も注文すれば、一通りの手続きは終了する。
果たして、これが立ち飲み屋なのか。
敢えて乱暴な言い方をすると、ビールを売っている肉屋さん、が最も適当な言い方だろう。
酒場とは派生の仕方が決定的に違う。
コロッケや焼き鳥を売るうちに誰かが、どこからからか酒を買って現れ、その場で飲んで食べるうちにいつしか、ビールを売り出し、という感じなのだ。
来ている客も酒場に行くかしこまった輩は皆無だ。
仕事の帰りに気が合う同僚とくだをまきに。
それは、どこかで立ち話をする自然な成り行きのよう。
或いは、サークル仲間が活動を終えた帰り道の道中に。
それは、コンビニに寄ってちょっと腹ごしらえをするかのよう。
はたまた、ちょっと喉が渇いたけれど、一人で居酒屋なんて、という一人のときに。
ここは自販機のような役割を担っている。
ちょっと、立ち寄るだけの店だから、かしこまる必要は全くない。だからお客は皆、ビールを缶ごとあおっている。
いやいや、ビールではなく、発泡酒がほとんどだ。もちろん、アサヒスーパードライも置いてあり、巨大な冷蔵庫に燦然と輝いている。
だが、スーパードライを飲む人をあまり見かけない。ビールで気取っちゃいけないのだ。
わたしも皆さんに倣いアサヒビールの発泡酒『本生ドラフト』を冷蔵庫から取り出し、会計に進んだ。350mml缶で200円。つまみにはガラスのショーケースにあるポテトサラダをもらった。100g程度の量で100円だ。
お勘定は一回一回支払う方式である。
発泡酒とポテトサラダの皿を抱えて、次は自分の場所探し。
だが、ここは落ち着いて対応したい。同店初心者だからといって、動転すると、その後の酒飲みタイムをつまらないものにするからだ。落ち着いていれば、周りもよく見渡せ、たとえ店が混んでいても自ずと突破口を見いだすことができる。わたしの場合も幸いなことに居場所はすぐに見つかった。
早速、『本生ドラフト』のプルタブをプシュっと開け、45度の角度で一気にビール風飲料を体内に流しこむ。気がつきゃ、缶の中身半分がもうない。
その勢いでポテトサラダも速攻で平らげた。ちなみにこの店では箸が出てこない。その代わり、手渡されるのが焼き鳥を刺す串だ。お客はこれを巧みに操ってつまみを食べるのである。
6月の終わりの暑い東京にて、まさか発泡酒一本で終わるわけがない。次に触手を伸ばしたのが、焼酎レモン(220円)である。やや大きめのグラスにたっぷりと入ったレモンハイは実に気前がよい。つまみにささみ生食(220円)をチョイスした。
お勘定を取りしきる女性は異国の方。言葉のイントネーション、にこりともしない接客から判断すると中国の方か。
この女性が同店のよい意味でも悪い意味でも華を添えているのは確かだ。
そして、忘れていけないのが店の入り口に設けられている焼き鳥コーナーである。ここにも中国の女性と思しき方が活躍している。やはり、にこりともせず淡々と鳥を焼いているのだ。
わたしは焼酎レモンをもう一杯お代わりして焼き鳥を貰うことにした焼き鳥は全9種。その中から、とり焼(80円)、ネギ間(100円)をチョイス。
至極の時間を堪能したのである。
先般、日本経済新聞連載の『わたしの履歴書』でニコン相談役の吉田庄一郎氏が筆を担当した。
その中で氏の課長時代に同社の新規事業を模索するにあたって、会社の帰り道夜な夜な居酒屋で喧々囂々、膝を突き合わせて意見を交わしたというエピソードがあった。ニコンの工場は大井町にある。光学通りというニコンの城下町が話しの舞台となっており、決して『肉のまえかわ』で戦略会議を開いていた訳ではないはずだが、この店に集うサラリーマンの姿を見て、そんな文章を思いだした。
とにかく、この店の特異な雰囲気は酒飲みとしては新鮮だった。おいしく酒を飲むのに体裁なんて、これっぽっちも足しにはならないんだ。
ここに行けば、全てが分かるさ。
「今日で4回目」というおじさんと話しをしましたが、確かにジモティはいないとのこと。
大井町近辺で働く人が圧倒的に来店しているようです。
ちょと、喉を潤す、そんなオアシスのようなお店であることは確かなようです。
機会があったら、行ってみましょう!