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懐かしい。ただただ感じる懐かしさ。
浜松町金杉橋口から第一京浜を渡って、辿り着いた居酒屋「海ぶん鍋ぶん」。
忘年会の幹事、Mっちゃんが予約してくれた店だ。
ボクらは16年前、この店から30mくらいの場所で働いていた。
Mっちゃんが意図して、この店をチョイスしたかは定かでない。けれども、今日来るメンバーのN岡君も含め、以前同じ釜のめしを食べた者同士、こうしてここに元気に戻って来られたことを嬉しく思う。
16年前、この「海ぶん鍋ぶん」という店はなかった。当時、ここがなんの店かは忘れてしまったが、確か飲食店だったと思う。
あの当時、22時まで仕事をすると、決まってボクらは「吟蔵」という立ち飲み屋で飲んで帰った。ボクの立ち飲みキャリアのスタートとなる記念すべき店である。「海ぶん鍋ぶん」から西に4軒隣の店だったが、今はもうない。立ち食いの蕎麦屋になっている。
あぁ、とにかく懐かしすぎる。
店は少し暗がりのちょっと気取った今どき居酒屋。
テーブルと小上がりを組み合わせた店は、一人で入れる店ではなく、グループ用の居酒屋だ。
非公式の記者会忘年会に集った野郎どもはN刊自から4名。Sび社から1名、そしてMS社から1名、そしてボクという布陣。
小上がりにて頂く、飲み放題のコースメニューは、メインメニューが、「もつ鍋」だった。福岡出身のM町君は大喜び。さすがMっちゃん。
ニラとキャベツがどっさり入った「もつ鍋」。白味噌自立てのやや甘いスープにじんわりとコクのあるモツがぐつぐつ踊る。ハフハフしながら野菜とともに頂くと口の中にじゅわ~っと広がるモツの味。なんともたまらない一瞬だ。
外はすっかり寒いけれど、日本の冬には鍋がある。
立ち飲みではお目にかかれない鍋料理。おいしいものがたくさん詰まった鍋はまさに海そのものだ。
豊穣な海。
それは海の縮図である。
「もつ鍋」とともに出てきた酒肴が「酢モツ」。
これがまたうまい。
麦焼酎がすすむすすむ。
大勢でつつく鍋。
それだけで鍋も、そして酒もうまい。
酒と仲間と鍋。いつか、この記憶も懐かしいものに変わるのだろうか。
その後、このメンバーがことごとくちりぢりになっていった。
S目ちゃんは、念願のモータースポーツの主催会社に転職し、A田ちゃんは盛岡に転勤、M町君はこの春大阪へ異動した。そしてN岡君は、昨秋突然に退社。非公式記者会は自然的消滅を迎えている。
とりわけ、Sび社の3人は、Mっちゃんが早々と業界を去り、しかも姓まで変えた。そしてN岡君。18年前のボクらの原点はここにあった。
鍋をつつく。
この行為はただ食事を取るだけでなく、またコミュニケーションをとるというだけの意味ではないだろう。もっと深い意味があるはずだ。
心を許すその証としての鍋である。日本の冬には鍋がある。それは豊穣な海そのものである。
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