店の前でしばし外観を眺めてみる。
不思議な店だ。「ランチやってます」という貼り紙と一部のメニューが外に掲げられているが、お酒については一切言及がない。はて、この店お酒が飲めるのか。外観からは分からない。唯一手がかりになったのがビールケース。サッポロのケースがあるのだから、少なくともビールくらいは置いてるだろうと思い、店に入った。
すると、ビールどころの話ではなかった。なんと店は完全に酒場だったのだ。
お店正面にデーンとコの字カウンター。店の両端に業務用冷蔵庫。左側の壁もカウンターになっている。店員の男性が着るキンミヤのTシャツが眩しい。
店は意外にも広い。コの字カウンターといっても、大衆酒場のそれではなく、ちょっとシャレオツなカウンターキッチン。あえて言えばコの字カウンターキッチンだろうか。ボクらは、壁側のスペースに陣取らせてもらった。
壁にはびっしりと短冊メニュー。だが、それもちょっとシャレオツだ。短冊風のプレートに手書きのメニュー。それを壁に打ったネジに引っ掛けている。見栄えがとても美しい。
さて、何を飲もうかな。
ビール、ホッピー、コダマの各サワー、見慣れぬカクテル、クラフトビール各種、日本酒にワイン、なんでもござれ。悩んで悩み抜いた挙句、結局「生ビール」に。
支払いはキャッシュオンデリ。錫の小さなお椀にお金を置いた。
つまみも豊富。和洋折衷、魅力的な肴がずらりと並ぶ。
「ポテトサラダ」に「酢モツ」。これはボクららしいチョイスだった。A藤君は多分酸っぱいものが好きである。昔、「牡蠣酢」をよく食べていた。「酢モツ」はA藤くんらしい。
ポテサラも「酢モツ」ももちろん手作り。ポテサラに使用されている卵とじゃがいものバランスが絶妙。これだけで、この店の力量が伝わってくる。ビールを飲み干して、ボクらはホッピーセット(480円)へ。これらの飲み物は客自らが、冷蔵庫に取りに行く仕組みだ。ナカの焼酎はもちろんキンミヤだ。
明るい店内は思わず、昼酒の後ろめたさを和らげてくれる。キッチンのタイルがとてもきれいで、自分が今酒場にいることをついつい忘れてしまう。
トイレに行った際、コの字カウンターを横断した。トイレ側のカウンターには椅子がなく、そこで初めて気がついた。あ、やっぱり立ち飲みなのね。
この界隈はだいぶ歩いて店を探したが、立ち飲み屋はなかった。代々木八幡の線路の向こうも、代々木公園へ向かう商店街にも。上原で仕事が終わると、ボクはいつも新宿まで出て酒場に向かう。それが、ようやく立ち飲みが出来た。しかもとびっきりいい感じのお店が。
最後に頼んだ、塩辛とじゃがいもの和え物が秀逸だった。
正式名は失念したが、一見すると、相容れなさそうな両者が見事な調和を果たしているこの一品。塩辛の辛味とホクホクのじゃがいもの邂逅。一体この不思議なハーモニーはなんだろうか。思わず、「うま~い」と大声を発しながら、空を飛ぶミスター味っ子状態になった。なんという旨さ。恐るべし。
きっかり、ナカ2杯で試合終了。
最近、コの字カウンターが続いているが、どれもいい店ばかり。「一平」、「馬越」。そのいずれもが、キンミヤが飲み物の中核を担っているのは偶然か。
次回は絶対立ち飲みで。そして、店の屋号にもなっている、煮込みも食べなければ。次回の訪問が今から楽しみだ。
14時開店て。これじゃ、仕事にならないよ。
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