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居酒屋放浪記NO.0109 ~飲み初め~「魚の旨い 『おかってや』 御徒町店南口店」(台東区上野)

2007-03-05 13:27:07 | 居酒屋さすらい ◆東京都内
 厳密に言えば、「居酒屋初め」である。
 元旦から「南部美人」(㈱南部美人)の純米をちびりとやりながら、とにかく正月は飲みまくった。午前中からスイスイと南部の地酒やらとっておきの焼酎「森伊蔵」(森伊蔵酒造)やら、キリンラガークラシックなどをとっかえひっかえ飲んでは食べ、そして寝て過ごした。

 こうして、居酒屋に初登庁したのが、この日1月11日なのである。
 昨年よりは2日早く、例年と比べて1日遅い、居酒屋放浪だ。
 しかし、放浪といっても能動的なものではない。なにしろ、夕方4時半頃、社長の一声で居酒屋行きが決まったのだから。
 そうやって、我が編集部は社長の後に続き、御徒町の界隈に繰り出して行ったのである。

 わたしとH川さん、てっきり行き先は社長の十八番「村役場」(居酒屋放浪記NO.0053、同0076)と思いきや、行き着いた先は「おかってや」。
 「おお?」とわたしとH川さんは目を丸くしたのである。
 しかし、聞くところによると、最近社長は脱「村役場」なんだとか。
 同僚T根川君に社長は「(村役場は)料理がまずい」と漏らしたという。
 ということで昨年の会社忘年会で使った「おかってや」に来たというわけ。

 しかし、時刻はまだ4時45分だ。
 店の入り口にも「支度中」と出ている。
 だが、社長、いや、さすが社長というべきか。何の臆することもなく、戸を開けて突進していくではないか。
 当然、誰も迎えてはくれない。店は半分電気を消して、15分後の開店に向けて準備をしている様子。
 だが、社長、怯むことなく「おぉ~い」と店員を呼ぶ。
 すると、ほどなくして、店員が普段着のまま現れ、「まだ開いてませんよ」と不機嫌に言った。そりゃ、店員の言い分はもっともだった。
 そうした、空気を読むこともなく、社長は「まだ早いけれどいいね」と靴を脱いであがりこみはじめると、その店員、すごい形相で我々を睨みはじめた。

 溜まらず、H川さん、社長に「やめましょうよ」と進言するが、社長はおかまいなしと座敷の堀炬燵テーブルに腰掛けてしまった。店員は、またもや睨みをきかし、「5時を過ぎたら、注文取りにきます」と言い残して、去っていった。
 いやぁ、どすをきかした三白眼、マジで怖かった~。

 さて、今晩の会合は名目上、仕事の打ち合わせである。わたしが手がけた別冊が翌日納品される。その区切りとして、恐らくまた新たなミッションが言い渡されるのであろう。5時を過ぎるまでの時間、我々はビールも飲まずに、ただただ仕事の話だけをした。その15分間がとにかく長い。
 永遠にその時が訪れないのではないか、と思っていると、ようやくやってきた店員さん。ようやく5時が過ぎて、注文を取りにきてくれたのだ。
 「助かった!」
 社長は、生ビールの大ジョッキを頼むという。いやぁ、珍しい。頑なまでに瓶ビールしか頼まない人がジョッキの生を頼むだなんて。それに触発されて、わたしも大生を頼むことに。そして、注がれてきた待望の生ビールのうまさといったら。居酒屋行って15分も待ってごらんなさい。ビールのうまみは2倍にも3倍にもなりますぜ!

 さて、「魚の旨い」という、その謳い文句、とくと拝見させてもらいます!
 と、いうことで、我々が頼んだお料理は、「くじら刺」(504円)、刺身五点盛り(1333円)。ほどなくして、それらが運ばれてきて、早速味わってみると、確かにうまい。珍味のくじらの刺身などは普段食べたことがないから、余計においしく感じる。
 だが、わたしとH川さんは、社長の「何か面白い話し(企画)ない?」というプレッシャーに晒され続けており、実は、その魚の醍醐味を充分に堪能できていない気がする。
 何しろ、社長は飲んでるときも100%仕事だ。
 仕事以外の話しをしようものなら、途端にご機嫌を損ねてしまうのだ。

 ともあれ、眼鏡の奥の目が笑っていない社長のプレッシャーに耐えながら、1時間と見ていた打ち合わせが2時間過ぎ、3時間が過ぎていったのだ。
 その間、我々のテーブルを彩ったものは、ゴボウチップ(325円)、さつま揚げ(399円)、じゃこせんべい(262円)などなど。
 そして、わたしはビールから芋焼酎、権現(若潮酒造)(441円)をロックで。
 
 料理の数々はどれもおいしいものであった。
だが、社長がおもむろに苦虫を噛み潰したような表情になり、指を口に入れて、何か異物を取り出したとき、我々は表情を失くした。
 社長が指に摘んだものは、ガラスのようなものだった。

 
「何か、噛んだら口の中でジャリっていった」と言って、社長は苦笑いしている。
 これは、単なる偶然か。入店の恨みが料理にガラスを混入させたりしなかったか。
 いやぁ、考えすぎか、まさかそんな空恐ろしいことを「ホットペッパー」(リクルート)にも載っているようなお店がするわけないか。

 しかし、ガラス片が料理に入っていたのは、紛れもない事実である。
 その日以来、社長は「おかってや」には足を踏み入れていないと思われる。今、社長のもっぱらのお気に入りは「¥100 ダイニング」(居酒屋放浪記NO.0088)だ。

【08年秋頃、店名が「きどや」に変わる。オーナーが変わったのか、CIの変更なのか、詳細は不明。なお、中央通り側の「おかってや」は未だ健在】
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4 コメント

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そんなものが入ってたら (ふらいんぐふりーまん)
2007-03-05 21:48:17
俺なら確実にクレームを出すんだけど、そこに行かずに別の店に変えてしまうあたりが大人というかなんというか・・・。

人に厳しく自分に甘い俺には、真似が出来ないなあ・・・。
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普通 (熊猫刑事)
2007-03-06 08:42:42
誰が考えても、クレーム言うケースだね。社長もガンガン言う人なんだけど、この時は機嫌よかっんだろうナ。
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ひえぇ~ (まき子)
2007-03-06 17:38:52
ガラスみたいなの、って・・・
ヘタに胃の中に入って出血でもしたら、って考えると
コワイっす。
それにしても社長スゴイ。
ウチの社長なんて、最近は自分の孫の事しか話しません(笑)。
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そのとき、 (熊猫刑事)
2007-03-06 20:54:48
社長はニコニコしていたような気がする。
しかし、魚は旨くても、ガラス片は笑えません。
そして、もうひとつ付け加えるのなら、社員がお客を睨みつける、というのはいかがなものか。

きっと、この店の暖簾をわたしも2度とくぐらないでしょう。
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