厳密に言えば、「居酒屋初め」である。
元旦から「南部美人」(㈱南部美人)の純米をちびりとやりながら、とにかく正月は飲みまくった。午前中からスイスイと南部の地酒やらとっておきの焼酎「森伊蔵」(森伊蔵酒造)やら、キリンラガークラシックなどをとっかえひっかえ飲んでは食べ、そして寝て過ごした。
こうして、居酒屋に初登庁したのが、この日1月11日なのである。
昨年よりは2日早く、例年と比べて1日遅い、居酒屋放浪だ。
しかし、放浪といっても能動的なものではない。なにしろ、夕方4時半頃、社長の一声で居酒屋行きが決まったのだから。
そうやって、我が編集部は社長の後に続き、御徒町の界隈に繰り出して行ったのである。
わたしとH川さん、てっきり行き先は社長の十八番「村役場」(居酒屋放浪記NO.0053、同0076)と思いきや、行き着いた先は「おかってや」。
「おお?」とわたしとH川さんは目を丸くしたのである。
しかし、聞くところによると、最近社長は脱「村役場」なんだとか。
同僚T根川君に社長は「(村役場は)料理がまずい」と漏らしたという。
ということで昨年の会社忘年会で使った「おかってや」に来たというわけ。
しかし、時刻はまだ4時45分だ。
店の入り口にも「支度中」と出ている。
だが、社長、いや、さすが社長というべきか。何の臆することもなく、戸を開けて突進していくではないか。
当然、誰も迎えてはくれない。店は半分電気を消して、15分後の開店に向けて準備をしている様子。
だが、社長、怯むことなく「おぉ~い」と店員を呼ぶ。
すると、ほどなくして、店員が普段着のまま現れ、「まだ開いてませんよ」と不機嫌に言った。そりゃ、店員の言い分はもっともだった。
そうした、空気を読むこともなく、社長は「まだ早いけれどいいね」と靴を脱いであがりこみはじめると、その店員、すごい形相で我々を睨みはじめた。
溜まらず、H川さん、社長に「やめましょうよ」と進言するが、社長はおかまいなしと座敷の堀炬燵テーブルに腰掛けてしまった。店員は、またもや睨みをきかし、「5時を過ぎたら、注文取りにきます」と言い残して、去っていった。
いやぁ、どすをきかした三白眼、マジで怖かった~。
さて、今晩の会合は名目上、仕事の打ち合わせである。わたしが手がけた別冊が翌日納品される。その区切りとして、恐らくまた新たなミッションが言い渡されるのであろう。5時を過ぎるまでの時間、我々はビールも飲まずに、ただただ仕事の話だけをした。その15分間がとにかく長い。
永遠にその時が訪れないのではないか、と思っていると、ようやくやってきた店員さん。ようやく5時が過ぎて、注文を取りにきてくれたのだ。
「助かった!」
社長は、生ビールの大ジョッキを頼むという。いやぁ、珍しい。頑なまでに瓶ビールしか頼まない人がジョッキの生を頼むだなんて。それに触発されて、わたしも大生を頼むことに。そして、注がれてきた待望の生ビールのうまさといったら。居酒屋行って15分も待ってごらんなさい。ビールのうまみは2倍にも3倍にもなりますぜ!
さて、「魚の旨い」という、その謳い文句、とくと拝見させてもらいます!
と、いうことで、我々が頼んだお料理は、「くじら刺」(504円)、刺身五点盛り(1333円)。ほどなくして、それらが運ばれてきて、早速味わってみると、確かにうまい。珍味のくじらの刺身などは普段食べたことがないから、余計においしく感じる。
だが、わたしとH川さんは、社長の「何か面白い話し(企画)ない?」というプレッシャーに晒され続けており、実は、その魚の醍醐味を充分に堪能できていない気がする。
何しろ、社長は飲んでるときも100%仕事だ。
仕事以外の話しをしようものなら、途端にご機嫌を損ねてしまうのだ。
ともあれ、眼鏡の奥の目が笑っていない社長のプレッシャーに耐えながら、1時間と見ていた打ち合わせが2時間過ぎ、3時間が過ぎていったのだ。
その間、我々のテーブルを彩ったものは、ゴボウチップ(325円)、さつま揚げ(399円)、じゃこせんべい(262円)などなど。
そして、わたしはビールから芋焼酎、権現(若潮酒造)(441円)をロックで。
料理の数々はどれもおいしいものであった。
だが、社長がおもむろに苦虫を噛み潰したような表情になり、指を口に入れて、何か異物を取り出したとき、我々は表情を失くした。
社長が指に摘んだものは、ガラスのようなものだった。
「何か、噛んだら口の中でジャリっていった」と言って、社長は苦笑いしている。
これは、単なる偶然か。入店の恨みが料理にガラスを混入させたりしなかったか。
いやぁ、考えすぎか、まさかそんな空恐ろしいことを「ホットペッパー」(リクルート)にも載っているようなお店がするわけないか。
しかし、ガラス片が料理に入っていたのは、紛れもない事実である。
その日以来、社長は「おかってや」には足を踏み入れていないと思われる。今、社長のもっぱらのお気に入りは「¥100 ダイニング」(居酒屋放浪記NO.0088)だ。
【08年秋頃、店名が「きどや」に変わる。オーナーが変わったのか、CIの変更なのか、詳細は不明。なお、中央通り側の「おかってや」は未だ健在】
元旦から「南部美人」(㈱南部美人)の純米をちびりとやりながら、とにかく正月は飲みまくった。午前中からスイスイと南部の地酒やらとっておきの焼酎「森伊蔵」(森伊蔵酒造)やら、キリンラガークラシックなどをとっかえひっかえ飲んでは食べ、そして寝て過ごした。
こうして、居酒屋に初登庁したのが、この日1月11日なのである。
昨年よりは2日早く、例年と比べて1日遅い、居酒屋放浪だ。
しかし、放浪といっても能動的なものではない。なにしろ、夕方4時半頃、社長の一声で居酒屋行きが決まったのだから。
そうやって、我が編集部は社長の後に続き、御徒町の界隈に繰り出して行ったのである。
わたしとH川さん、てっきり行き先は社長の十八番「村役場」(居酒屋放浪記NO.0053、同0076)と思いきや、行き着いた先は「おかってや」。
「おお?」とわたしとH川さんは目を丸くしたのである。
しかし、聞くところによると、最近社長は脱「村役場」なんだとか。
同僚T根川君に社長は「(村役場は)料理がまずい」と漏らしたという。
ということで昨年の会社忘年会で使った「おかってや」に来たというわけ。
しかし、時刻はまだ4時45分だ。
店の入り口にも「支度中」と出ている。
だが、社長、いや、さすが社長というべきか。何の臆することもなく、戸を開けて突進していくではないか。
当然、誰も迎えてはくれない。店は半分電気を消して、15分後の開店に向けて準備をしている様子。
だが、社長、怯むことなく「おぉ~い」と店員を呼ぶ。
すると、ほどなくして、店員が普段着のまま現れ、「まだ開いてませんよ」と不機嫌に言った。そりゃ、店員の言い分はもっともだった。
そうした、空気を読むこともなく、社長は「まだ早いけれどいいね」と靴を脱いであがりこみはじめると、その店員、すごい形相で我々を睨みはじめた。
溜まらず、H川さん、社長に「やめましょうよ」と進言するが、社長はおかまいなしと座敷の堀炬燵テーブルに腰掛けてしまった。店員は、またもや睨みをきかし、「5時を過ぎたら、注文取りにきます」と言い残して、去っていった。
いやぁ、どすをきかした三白眼、マジで怖かった~。
さて、今晩の会合は名目上、仕事の打ち合わせである。わたしが手がけた別冊が翌日納品される。その区切りとして、恐らくまた新たなミッションが言い渡されるのであろう。5時を過ぎるまでの時間、我々はビールも飲まずに、ただただ仕事の話だけをした。その15分間がとにかく長い。
永遠にその時が訪れないのではないか、と思っていると、ようやくやってきた店員さん。ようやく5時が過ぎて、注文を取りにきてくれたのだ。
「助かった!」
社長は、生ビールの大ジョッキを頼むという。いやぁ、珍しい。頑なまでに瓶ビールしか頼まない人がジョッキの生を頼むだなんて。それに触発されて、わたしも大生を頼むことに。そして、注がれてきた待望の生ビールのうまさといったら。居酒屋行って15分も待ってごらんなさい。ビールのうまみは2倍にも3倍にもなりますぜ!
さて、「魚の旨い」という、その謳い文句、とくと拝見させてもらいます!
と、いうことで、我々が頼んだお料理は、「くじら刺」(504円)、刺身五点盛り(1333円)。ほどなくして、それらが運ばれてきて、早速味わってみると、確かにうまい。珍味のくじらの刺身などは普段食べたことがないから、余計においしく感じる。
だが、わたしとH川さんは、社長の「何か面白い話し(企画)ない?」というプレッシャーに晒され続けており、実は、その魚の醍醐味を充分に堪能できていない気がする。
何しろ、社長は飲んでるときも100%仕事だ。
仕事以外の話しをしようものなら、途端にご機嫌を損ねてしまうのだ。
ともあれ、眼鏡の奥の目が笑っていない社長のプレッシャーに耐えながら、1時間と見ていた打ち合わせが2時間過ぎ、3時間が過ぎていったのだ。
その間、我々のテーブルを彩ったものは、ゴボウチップ(325円)、さつま揚げ(399円)、じゃこせんべい(262円)などなど。
そして、わたしはビールから芋焼酎、権現(若潮酒造)(441円)をロックで。
料理の数々はどれもおいしいものであった。
だが、社長がおもむろに苦虫を噛み潰したような表情になり、指を口に入れて、何か異物を取り出したとき、我々は表情を失くした。
社長が指に摘んだものは、ガラスのようなものだった。
「何か、噛んだら口の中でジャリっていった」と言って、社長は苦笑いしている。
これは、単なる偶然か。入店の恨みが料理にガラスを混入させたりしなかったか。
いやぁ、考えすぎか、まさかそんな空恐ろしいことを「ホットペッパー」(リクルート)にも載っているようなお店がするわけないか。
しかし、ガラス片が料理に入っていたのは、紛れもない事実である。
その日以来、社長は「おかってや」には足を踏み入れていないと思われる。今、社長のもっぱらのお気に入りは「¥100 ダイニング」(居酒屋放浪記NO.0088)だ。
【08年秋頃、店名が「きどや」に変わる。オーナーが変わったのか、CIの変更なのか、詳細は不明。なお、中央通り側の「おかってや」は未だ健在】
人に厳しく自分に甘い俺には、真似が出来ないなあ・・・。
ヘタに胃の中に入って出血でもしたら、って考えると
コワイっす。
それにしても社長スゴイ。
ウチの社長なんて、最近は自分の孫の事しか話しません(笑)。
しかし、魚は旨くても、ガラス片は笑えません。
そして、もうひとつ付け加えるのなら、社員がお客を睨みつける、というのはいかがなものか。
きっと、この店の暖簾をわたしも2度とくぐらないでしょう。