蔵前通り、神田明神の方角に太陽は傾きかけている。
だが、残暑厳しい8月下旬の陽光はまだまだ強い。
午後4時を過ぎて、おもむろに社長は「行こうか」と行った。夕刻の時間に社長からこのように声をかけられたら、それはほとんどの場合、打ち合わせである。
我が社において、社長との打ち合わせは大抵居酒屋で行われる。そして、そのほとんどが、JR御徒町駅近くの「村役場」だ。
誤解があるといけいないので、あえて記すが、決してこれは打ち合わせに名を変えた飲み会ではない。酒を飲むことによって社員や幹部をリラックスさせ、建設的な意見を出す、という社長の配慮なのだと今になって思う。
ともあれ、社長の後に尾いて、会社のビルを出ると、社長は右予想に反して右に出ていったのである。
はて、「村役場」に行くなら会社を出て左に折れるはずだ。「おかしいな」と思いながら、蔵前通りに出た社長とわたしは冒頭の通り、夕日を背中に浴びながら、いつもと違う店に向かったのであった。社長が立ち止まったのは、会社から最も近いと思われる、居酒屋「一会」。やきとん屋である。ちなみにわたしは2回目の来店だ。
店の前まで来ると、社長はわたしにむかってこう言った。「ここは、6時までビールが安いんだよ」。なるほど、店頭を見ると看板に「サービスタイム」と銘打ち、中ジョッキの「生ビール200圓」と大書している。
なんとも、まぁ太っ腹な。なんてったって200円ですよ。奥さ~ん!
暖簾をくぐって中に入る。コの字カウンターが2列。既に2組のサラリーマンの客が杯を傾けている。時刻はまだ4時を少し回ったところ。記録的な暑さに見舞われた今夏は、こうして就業時間中に酒場に直帰するサラリーマンが続出したことだろう。換言すれば、今年ほど世の中の営業系サラリーマンにハッピーアワーやこうしたサービスタイムが罪深く、かつ魅力的に感じられた年もなかったのではないだろうか。
ほぼ店の中央のカウンターに陣取り、社長は目の前に構えている若い男の店員に「生ビール」と告げた。
当欄にて何度も説明してきたが、社長はビールがすぐに出てこないと怒り出す質だ。わたしはその現場を幾度となく目撃してきた。さて、同店においてはどうだったか。多少、ビールそそぎに手間取ったか。
厳密な時間は計測していなかったが、生ビールが目の前に運ばれてくるまでの社長はおおいに不満そうだった。
「お疲れ様です」。と軽く乾杯し、待望のビールを頂く。キーンと冷えた液体が勢いよく喉を通過していった。紛れもなく、麒麟の「一番絞り」だ。平気で発泡酒をビールと偽り販売している店を幾つも見てきた。
だが、同店の心意気を見よ。中ジョッキにカキーンと冷えた生ビールは僅か200円だ。 すぐ隣のセブンイレブンで缶ビールを買うよりも断然安いのである。
続いて社長は焼き物をオーダーし始めた。タンにカシラ、ハツにシロ、そして焼き鳥はヒナと皮だ。これらを塩で各2本ずつ。ほどなくして、これらが焼き上がってきたとき、社長は2杯目の生ビールを手にしていた。
焼き物は総じて実が大きく、焼き加減も申し分なかった。火は間違いなく炭だ。肉をどこで仕入れているのか、注意を凝らせば店内のどこかに書かれているかもしれない。だが、社長との一分の隙もない仕事の話しに、それらのリサーチは最後まで行えなかった。
結局、お互い生ビールは各3杯ずつ飲み干し、店を出た。時刻はちょうど6時。
「30分くらい」と社長が言った打ち合わせは2時間に及んだのである。その間使った飲み物代はなんと一人当たり僅か600円。先日、大ブーイングした「鳥清」(居酒屋放浪記NO.0139)ならば、そのお金で僅か1杯しか飲めない計算だ。
何ともなぁ、得した気分。社長もすっかりご機嫌である。
ちなみに同店は色とりどりのワンカップ酒も置いてある。各地から取り寄せたもののようである。今回は清酒に手を染めなかったので、どこの何の銘柄があるか、その値段がいくらなのかはここでお伝えすることができないが、手軽にいろんなものが飲めるのはやっぱり嬉しい。また、幻の酒「ホイス」もここでは飲める。それだけで同店の姿勢が伺えるだろう。
極めつけは電子マネーのEdy(エディ)が使えるのも経営努力を怠っていない証だろう。
店を出ても、まだ外はいくらか明るさを残していた。夕日はとっくに神田明神の方角に沈んでいった。
蔵前通りは帰りのクルマで混み始めており、煉塀陸橋を行く京浜東北線の北行は帰宅の人達でラッシュアワーの様相だ。
銀座線末広町駅付近は居酒屋の空白地帯である。もし、秋葉原の喧噪を逃れてさっぱりしたところで飲みたくなったら同店を真っ先にお奨めしたい。
だが、残暑厳しい8月下旬の陽光はまだまだ強い。
午後4時を過ぎて、おもむろに社長は「行こうか」と行った。夕刻の時間に社長からこのように声をかけられたら、それはほとんどの場合、打ち合わせである。
我が社において、社長との打ち合わせは大抵居酒屋で行われる。そして、そのほとんどが、JR御徒町駅近くの「村役場」だ。
誤解があるといけいないので、あえて記すが、決してこれは打ち合わせに名を変えた飲み会ではない。酒を飲むことによって社員や幹部をリラックスさせ、建設的な意見を出す、という社長の配慮なのだと今になって思う。
ともあれ、社長の後に尾いて、会社のビルを出ると、社長は右予想に反して右に出ていったのである。
はて、「村役場」に行くなら会社を出て左に折れるはずだ。「おかしいな」と思いながら、蔵前通りに出た社長とわたしは冒頭の通り、夕日を背中に浴びながら、いつもと違う店に向かったのであった。社長が立ち止まったのは、会社から最も近いと思われる、居酒屋「一会」。やきとん屋である。ちなみにわたしは2回目の来店だ。
店の前まで来ると、社長はわたしにむかってこう言った。「ここは、6時までビールが安いんだよ」。なるほど、店頭を見ると看板に「サービスタイム」と銘打ち、中ジョッキの「生ビール200圓」と大書している。
なんとも、まぁ太っ腹な。なんてったって200円ですよ。奥さ~ん!
暖簾をくぐって中に入る。コの字カウンターが2列。既に2組のサラリーマンの客が杯を傾けている。時刻はまだ4時を少し回ったところ。記録的な暑さに見舞われた今夏は、こうして就業時間中に酒場に直帰するサラリーマンが続出したことだろう。換言すれば、今年ほど世の中の営業系サラリーマンにハッピーアワーやこうしたサービスタイムが罪深く、かつ魅力的に感じられた年もなかったのではないだろうか。
ほぼ店の中央のカウンターに陣取り、社長は目の前に構えている若い男の店員に「生ビール」と告げた。
当欄にて何度も説明してきたが、社長はビールがすぐに出てこないと怒り出す質だ。わたしはその現場を幾度となく目撃してきた。さて、同店においてはどうだったか。多少、ビールそそぎに手間取ったか。
厳密な時間は計測していなかったが、生ビールが目の前に運ばれてくるまでの社長はおおいに不満そうだった。
「お疲れ様です」。と軽く乾杯し、待望のビールを頂く。キーンと冷えた液体が勢いよく喉を通過していった。紛れもなく、麒麟の「一番絞り」だ。平気で発泡酒をビールと偽り販売している店を幾つも見てきた。
だが、同店の心意気を見よ。中ジョッキにカキーンと冷えた生ビールは僅か200円だ。 すぐ隣のセブンイレブンで缶ビールを買うよりも断然安いのである。
続いて社長は焼き物をオーダーし始めた。タンにカシラ、ハツにシロ、そして焼き鳥はヒナと皮だ。これらを塩で各2本ずつ。ほどなくして、これらが焼き上がってきたとき、社長は2杯目の生ビールを手にしていた。
焼き物は総じて実が大きく、焼き加減も申し分なかった。火は間違いなく炭だ。肉をどこで仕入れているのか、注意を凝らせば店内のどこかに書かれているかもしれない。だが、社長との一分の隙もない仕事の話しに、それらのリサーチは最後まで行えなかった。
結局、お互い生ビールは各3杯ずつ飲み干し、店を出た。時刻はちょうど6時。
「30分くらい」と社長が言った打ち合わせは2時間に及んだのである。その間使った飲み物代はなんと一人当たり僅か600円。先日、大ブーイングした「鳥清」(居酒屋放浪記NO.0139)ならば、そのお金で僅か1杯しか飲めない計算だ。
何ともなぁ、得した気分。社長もすっかりご機嫌である。
ちなみに同店は色とりどりのワンカップ酒も置いてある。各地から取り寄せたもののようである。今回は清酒に手を染めなかったので、どこの何の銘柄があるか、その値段がいくらなのかはここでお伝えすることができないが、手軽にいろんなものが飲めるのはやっぱり嬉しい。また、幻の酒「ホイス」もここでは飲める。それだけで同店の姿勢が伺えるだろう。
極めつけは電子マネーのEdy(エディ)が使えるのも経営努力を怠っていない証だろう。
店を出ても、まだ外はいくらか明るさを残していた。夕日はとっくに神田明神の方角に沈んでいった。
蔵前通りは帰りのクルマで混み始めており、煉塀陸橋を行く京浜東北線の北行は帰宅の人達でラッシュアワーの様相だ。
銀座線末広町駅付近は居酒屋の空白地帯である。もし、秋葉原の喧噪を逃れてさっぱりしたところで飲みたくなったら同店を真っ先にお奨めしたい。
しかし、今p早起きですねぇ。
フリーランスに曜日の感覚はないのでしょうが…。
とにかく、早起きと早い時間の飲みは三文の徳ってやつですよ。
EdyとSuica、ガンガン使ってます。
ともすれば、財布にお金が入ってないことも…。
お互い気をつけましょう。
忙しい?
焼き鳥ツアーを企画しましょうか。
ワタクシもケータイでEdyを使えるようになりました。割と便利♪