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蕎麦屋さすらい 062 - 闇市そのものの佇まい - 「きそば鈴一」(横浜市西区南幸)の「コロッケそば」

2019-02-02 20:57:24 | 蕎麦屋さすらい

横浜駅西口も多分、闇市が並んでいたのだろう。ところどころ、そんな風景が今も残る。例えば、狸小路という酒場街は、とても分かりやすい。また、駅西口を出た北側も、やはり猥雑感があって、かなり怪しい。その中で、今でも闇市的なフィーリングで、蕎麦を食べられる店が、「きそば鈴一」だ。

店は常に混んでいるから、客は店舗から外にはみ出て、食べている。いや、店内は窮屈だからと、むしろ率先して外に出て、各々丼を持って食べている人もいる。これって、まさに闇市そのものじゃないか。

ボクも店に入れなかったから。外で頂くことにした。

寒空だが、不思議と気にならない。熱い丼をもっていれば、それだけで温かいのだ。

コロッケが乗った、「コロッケそば」。

そばはグレー。つゆはかなり黒くて、そのコントラストをしばし眺める。店名に「きそば」とあるから、生そばを使っていると思いきや、ゆでおき麺に似ている。それほど蕎麦に腰がないのだ。つゆは真っ黒で、かなり濃い。これがまた、闇市的な商売を連想させてしまうのだ。

店名はナショナルチェーンにはない独自の店名を冠する。蕎麦屋としての歴史と重みを感じさせてくれる。

高い文化を持ち、モダンでハイカラなイメージを抱かせる横浜に、まだこのような泥臭い立ち蕎麦屋があったことに愕然とする。変わり続ける横浜と戦後から一環して変わらない立ち蕎麦屋。そのコントラストは、同店のつゆとトッピングの関係のようにはっきりしていた。

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