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居酒屋さすらひ 2105 - 意外に狭い - 「岸田屋」(中央区月島)

2024-05-18 22:41:18 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

ようやく来ることができた。

名酒場の誉れ高い月島の「岸田屋」。

その名声は、もはやわざわざ説明するまでもない。

実は今回、初めて暖簾をくぐったのである。これまでも何回か店の前を通り過ぎたことはあったが、どうにも敷居が高い。結局、今日に至るのである。

ビッグサイトからの帰り道、豊洲にいい酒場はないし、それならちょっと歩いてみたら、月島に出てしまったのだ。それなら思い切って、長年の課題だった「岸田屋」へ行こうと思った。

暖簾をくぐる瞬間はちょっと緊張した。そして引き戸を開けた時、感じたのが、「狭っ」だった。てっきり、門前仲町の「魚三酒場」くらいあるのかと思っていた。いや、そんなことは建物の幅を見れば、大体想像がつくのだが、何故か勝手なイメージを自分なりに膨らませていたのだ。

時刻は16:45。

コの字カウンターは既にいっぱいで、自分は壁際のカウンターに通された。出来れば、お客さんの面々を眺めながら、一杯飲りたかったが、今目の前にあるのは壁である。

まずは「チューハイ」(550円)をちょっと艶っぽいお姉さんに告げる。そして、頭上にある札メニューを眺めながら、料理のチョイスに入った。

 

まず、「牛にこみ」(700円)は外せないよな。

などと考えながら、あれこれ思案してると、艶っぽいお姉さんが来て、「お飲み物はどうする?」ときいてきた。

「あれ? さっき頼んだけど」と言うと、「あ!」と言って、笑いながら体をぶつけてきた。快活なお姉さんである。中学の頃とか、なんだかやけに馴れ馴れしくボディタッチをする子がいて、なんだか好きになっちゃったことがあった。こういうお姉さんは危険である。

ともあれ、まずは「チューハイ」が無事に来た。そして、「牛にこみ」を正式にオーダーする。

太田和彦さん提唱の三大煮込みのひとつ。いや、それより前に、漫画「美味しんぼ」で絶賛された煮込み。その煮込みが眼前に置かれた。これで三大煮込みをようやくコンプリートした。

煮込みは皿に盛られており、とろっとろ。牛を使っている点からすると、「大はし」と同じスタイルだ。コクがあるけど、和食っぽく、やはりうまい。

「大はし」はボールによく合う味付けで濃いめの煮込みつゆだが、「岸田屋」はどちらかといえば、日本酒でもいけるような気がした。

そこで2杯目から、「菊正宗」にスイッチ。

メニューも和食の酒肴が並んでいるし、古い建物と雰囲気で、日本酒へと誘導された。2品目は筋子奴みたいな料理を選択。豆腐は大好きだし、筋子とはまた珍しい。日本酒との相性も抜群で、久々のベストチョイスになったと思った。その予感は的中し、本当においしかった。

しおからい筋子をちょびちょびつまみつつ、豆腐をいただく。この相性の良さは新発見。

その後艶っぽいお姉さんは出てこなかった。もしかすると17時でシフトを交代したのかもしれない。

「菊正宗」をもう一合おかわりして、店を後にした。

雰囲気は抜群、酒肴がよく、しかもお店の人も優しい。名店になっても驕ることなく、仕事をする。いい酒場だ。

また是非、ここには来たい。

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