秋葉原の昭和通り口にある居酒屋「殿(しんがり)」の外で立ち飲む、若い女子2人組を見て、「あぁ」と思った。この店もそうだし、街で見つけた立ち飲み屋に全くチャレンジ出来てない自分に気がついた。そんな店が両国にあったし、八重洲にもあるし。こうしちゃいられないと思って、「殿」に行くことにした。しかし、いかんせん寒い。「殿」の立ち飲みは外だけに設けられているのだ。そこで、目的地を神田に変え、さすらってみることにした。
とりあえず、神田駅前を目指してみる。山手線の外側、高架下を歩くと、すぐに見知らぬ立ち飲みを見つけた。どうせなら駅前まで行ってみたかった。「六花界」とか「アカシヤ」とか、まだあの立ち飲みは健在なのかと。ただ、これも何かの縁。お店に入ってみようか。
店の名は「さわ好」。「さわよし」と読むのだろうか。
カウンターだけの小さな店。10人も入ったら結構きつい。
先客はカウンター奥に一人いた。「ナポリタン」を食べながら、お店のマスターと談笑している。
へぇ、「ナポリタン」があるのか。それはいい。自分も〆に頼んでみるか。
さて、何を飲むか。幸いなことにマスターは先客と音楽の話題で盛り上がっている。じっくりメニューを見た。この店は日本酒がエースのようだ。だが、気持ち的にはまず、シュワシュワするものが飲みたい。まずは「ホッピー」白(470円)でいくかな。
飲みもの係は奥にいる女性だが、もしやマスターの奥方だろうか。つまみは「ポテトサラダ」でジャブを打ってみるか。けれど、今宵既にポテサラはないという。その代わりに「マカロニサラダ」を勧められ、応じた。
小鉢のマカサラはマヨも塩もいいあんばいだった。マカロニだけでもカロリーがあるから、マヨネーズがブワッとかかっていると、ちょっと困る。そういう経験をマスターがしてきたのか、さっぱりしたマカサラに仕上がっている。
ふとした拍子に隣の先客と話しをした。神田の立ち飲み事情である。
「大松」、「神田ナンバー」はまだ元気に営業しているらしい。だが、「串カツ甲子園」はもはやない。さっきさら、店名を思い出そうとして、なかなか出てこない、あの店。お婆さんが一人で切り盛りしていたあの立ち飲み。名前が出てこないので、このように説明をしたが、「知らない」らしい。あのお婆さん、もう引退したんだろうな。10年前当時で、もう結構なお歳だったから。
「ナカ」を2杯お代わりしたが、まだあんまり酔ってない。しからばと日本酒へ。山形の酒が多いから、ピンときた。
「マスターは山形の人ですか?」。自分が尋ねると、マスターは
「いや違うよ。酒は息子が選んでくれるんだ。そういう仕事に就いているから」。
へぇ。息子さんがお酒選びをサポートしてくれているのか。
おすすめをマスターに尋ねると、「八兵衛」(580円)という酒を勧めてくれた。燗酒推奨とのこと。ならば燗をつけてもらった。ついでにあてもお任せでお願いすると、「こんにゃくの煮しめ」を出してくれた。これが、「八兵衛」と抜群の相性だった。やはり、燗酒と煮しめは最高の和だ。和といっても足し算ではない。両方の味が倍化する乗算だ。
数人の客が入ってきた。左隣の方と話していると、なんと自分の自宅のご近所さんだった。
さて、もう一杯いただいて帰るか。
「八兵衛」をもう一杯と、「南蛮漬け」(150円)。
「さわ好」のあてのラインナップが逆に斬新だ。田舎のような和食のあてが安価にいただくことができる。おっ、とついつい「ナポリタン」を頼み損ねた。でも、日本酒には合わないから、これはまた次回に持ち越しかな。
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