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宿泊翌朝のモーニング。洋食中心の朝ごはんを一通りいただいたところで、息子が言った。
「お父さん、奥にカレーもあったよ」
マジか。見たところ、バイキングは洋食中心だったから、ご飯とか和食は全くないのかと思っていた。そもそも炊飯器が見当たらなかったのだ。ところが、バイキングの料理の本当に奥の片隅に、そのカレーがあったのである。
早く言ってくれよー。もう、パンも卵もたらふくいただいてしまった。もう、お腹はぱんぱんだ。これ以上、どうしたらいいのか。
とりあえず、カレーのあるところまで行ってみた。すると、立ちのばるカレー臭にたちまち包まれた。素晴らしい香りだ。これは食べておかないと。
すぐさま、器を持ってご飯をよそり、カレーをかけた。カレーソースはシャバシャバだった。色はビーフシチューっぽく、一見してドゥミグラスのカレーかと想像した。ホテルカレーは材料がふんだんにあるから、コクのある欧風カレーが定番だ。このカレーもその例に漏れないような気がする。
カレーの鍋の近くに、何故かのりたまのふりかけがあった。
「ご自由にどうぞ」と書いてある。
はじめは「カレーにのりたまかよ」。
そう思った。けれど、実は八ヶ岳近辺で、流行っているカレーなのか? そう思ったりもした。
やってみるか。そう思って、カレーにのりたまをかけてみた。
テーブルに戻って、家族に言った。
「八ヶ岳ではカレーにのりたまをかけるらしいよ」。
すると、家族のみんなは懐疑的な顔つきで自分を見ている。
「いや、だってカレーの脇にのりたまがあって、自由にどうぞと書いてあった」。
得意そうに言うと、息子がそれを確かめに言った。やがて戻ってくると、笑いながら、「ふりかけはふつうにご飯だけを食べる人向けのものだと思う」。
家族は笑った。
いや、たとえそうだとしても、カレーにのりたまをかけてはいけないという法はない。これから自分がカレーにのりたまの歴史を作るんだ。そう、豪語して一口カレーをいただく。
普通にうまい。のりたまの香ばしさとカレーの偶然の出会い。いや、多分ありえない邂逅。
カレーソースはやはりかなりコクのある味わい。それはクリーミーであり、時にワイルドだったりする。このレストランが提供するのは、テロワールの食。洋食の数々に、その片鱗を十二分に見せつけてくれだが、このカレーだって、負けていない。清々しくも自然の荒々しさも同居する、まさに土地のカレー。のりたまだって、エキストラではなく、すっかり出演者の一人である。
もう一杯いきたかったが、やめておいた。帰りの電車で腹痛を起こすのは、避けておきたい。
ホテルカレーにハズレはない。
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