蕨駅を出て北へ向かう。
蕨駅に4件もの立ち飲みを見つけたが、その一角にストリップ小屋を発見した。やはり、蕨はただならぬ街だった。
その目の前に年季の入った居酒屋もある。おおいに興味がわいたが、今回は素通りすることにしよう。
蕨駅から南浦和駅へ。
たった一駅がやたらと遠い。合計35分くらいは歩いただろうか。南浦和駅の手前に来るまで、歩いている人に会ったのは僅かに3人だった。あまりにも人がいなくて、線路沿いの発電所らしきところでは、気味悪くなったほどだった。
立ち飲みラリーの京浜東北線編はいよいよ浦和地区へと歩みを進める。
南浦和駅に近づいたのか、急に居酒屋が増えてきて、その小路を歩くと立ち飲んでいる人を見つけた。いとも簡単に。だが、その様子がちょっとおかしい。
小屋なのだ。
店の母屋とは一応繋がっているように見えるが、母屋の入口横に、増築したような小屋があり、その中で男性が一人飲んでいる。
ボクは、その小屋に入ってみた。
4人入ればいっぱいになってしまう、そんな小屋である。
店の名前は「田舎亭」。バタ臭い店名である。
小屋は比較的きれいだ。最近、建てられたようだ。
先客の先輩に挨拶をする。
「こんばんは」。
先輩はにこにこして挨拶を返してきた。もうだいぶ飲んでいるようだ。
小屋の中にはカウンターがあるが、カウンターの向こうに店員はいない。常駐していないようだ。店員を呼ぶときは、備え付けのブザーで呼ぶ。ブザーの横には、メニューがある。
「生ビール」300円。
「ウーロンハイ」200円。
「ホッピー」200円。
なんだ、この異常な安さは。
「ホッピー」のソトが200円という訳はなかろう。メニューに「ナカ」の値段が出ていないことから、恐らく飲み切りになっていると思われる。
次に肴のメニューを見た。
「まぐろぶつ」300円。
「もつ煮込み」200円。
焼きとん各種、タン、ハツ、カシラ、ハラミが200円で食べられる。
安いじゃないか。
とりわけ、「もつ煮込み」。さすがに赤羽ほどではないが、これは十分頑張っている値段だ。
ボクは「生ビール」に「もつ煮込み」を注文した。
これで500円。値段の構成は違うが、煮込み&ビールはかつての「いこい」や「喜多屋」と同じワンコインである。
「もつ煮込み」は白味噌仕立て。まさに田舎風。これはうまい。
「いこい」の煮込みは110円の値段相応の量で、瓶ビールの量とのバランスが悪い。だが、生ビールに普通盛りの「煮込み」はバランスがとれている。
これは素晴らしい。
先客の先輩はSさんと名乗った。
介護の仕事をして、この日は早上りだったという。すでに相当酔っていて、呂律も怪しい。
そのSさんが言うには、この「田舎亭」の常連で、よく通っているという。この店の良さは肴が安いということ、そしてSさんが強調するのは、「田舎亭」の美人社長が素晴らしいという。
確かにSさんの言う通り、肴が破格である。そのSさんが薦めるメニューは「田舎のコロッケ」。これがなんと50円。メニューの一番下に書かれていて、ちょっと気づかなかった。
いまどき50円で何が買えるというのだろう。ボクが子どもの頃、あんパンをはじめとするパン類は50円で買えた。まだ消費税がなかったころで、値札の値段で買えた。
いまどき50円で買えるものはなかなかない。しかも、居酒屋のレギュラーメニューとなれば、見たことがない。まず、その心意気に感動した。
そして、そのコロッケが出てきて、更に感動した。
てっきり小さいコロッケが出てくるのかと思いきや、コンビニのコロッケよりも若干大きなものが出てきた。
素晴らしい。揚げたての手作り。味も抜群!
ともすると、肴はこれ1個で十分。
その後、ボクは「ホッピー」に切り替えた。「ホッピー」は予想通り、飲み切りだった。
でも200円は破格だと思う。
Sさんは、悪い人ではなかったが、用もないのにブザーを鳴らして、女性店員を呼んだ。
Sさんが自ら「西浦和の立ち飲みは出禁になった」というのは、こういうところに問題があるんじゃないかと思った。この「田舎亭」も出禁にならなければいいと思った。
離れの小屋はなかなか面白い。道を歩く通行人がみんな見てる。不思議な空間だ。
こんな立ち飲み、初めてである。
「田舎のコロッケ」を目当てにまた「田舎亭」に来ようと思う。
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