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居酒屋さすらい 0638 - 白い雲、漆黒のスタウト - 「ビヤステーション恵比寿」(渋谷区恵比寿)

2013-04-29 21:00:34 | 居酒屋さすらい ◆東京都内
「陽射しがとても強いわ」。
大隈講堂を出た彼女は、独り言のようにそう言った。
6月の晴れ間はもうすっかり夏のそれだった。
「ビール、飲みに行こう」。
それが、ボクの返事だった。

タフな話しが心の中に鉛のように沈殿していき、空腹感はなかったけれど。
ヱビスのスタウトを飲みながら、彼女のフランス語の抑揚を聞きたいと思った。
「ヱビス麦酒館」には「Le Petit Prince」の原書が置いてある。「チーズの盛り合わせ」なんかよりも「ピクルス」なんかよりも、彼女の声でビールが飲みたかった。

だが、迂闊だった。
恵比寿ガーデンプレイスは人もまばら。
「ヱビス麦酒館」は月曜日、休館だったのだ。

4か月前、札幌は雪だった。
煉瓦の赤は白い雪にきれいに映えた。でも、少し陽炎がゆらぐ、白い雲が茜色に染まる6月の煉瓦も悪くはない。

「ビヤステーション恵比寿」は西ヨーロッパの駅のような外観。
4時を過ぎたばかりの店はまだお客がほとんどいなかった。
バルコニー席に座り、「ザワークラウト」(580円)をつまみながら「スタウト」(840円)を口にする。
スタウトの苦味とドイツ料理の爽やかさ。
フランスの甘い抑揚はないけれど。
漆黒のローストビールの薫りが夕方の風に溶けていき、ビルの向こうの空が淡い色に染まっていく。

季節がまた変わろうとしている。
憂鬱な梅雨?
うぅん。

今は雨の季節が待ち通しくさえ感じる。


※写真は同店の「ぐるなび」より拝借しました。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なんやら (怪鳥)
2013-05-01 10:37:09
北方謙三風ですな。ハードボイルド!?
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Unknown (熊猫)
2013-05-02 05:32:23
「まだまだ物足りないぜ」から25年。
今や北方氏は歴史小説の大家になったね。
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Unknown (下位長)
2013-05-07 22:28:32
片岡義男風かなぁ
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Unknown (熊猫)
2013-05-08 07:14:05
光栄だなぁ。
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