栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

日本郵政社長、西川氏はなぜ辞めない。

2009-06-09 21:15:48 | 視点
 日本郵政の社長人事を巡る鳩山総務省の対応に政府・自民党が二部して揺れている。
といっても、外部へ大きく漏れ伝わってくるのは鳩山総務大臣批判の声の方だが。
彼らがいうのは、マスコミの論調も含め「郵政民営化を逆行させるな」だ。
そして郵政問題になると決まってこの人がしゃしゃり出てくる。
小泉元首相だ。

 彼の頭の中には郵政民営化しかなく、それ以外のことは皆「大したことではない」のだ。
息子にカンバン、ジバン、カバンの3バンを世襲させることも、格差社会を拡大・固定化させたことも、日本経済を崩壊させたことすらも「大したことではない」のだ。
 こんな男を熱狂的に支持した日本国民も日本国民だが、小泉・竹中の両氏はこんな日本にした反省などさらさらないどころか、構造改革の張本人、アメリカでさえ反省し、軌道修正しているというのに、彼らはいまだ反省がない。
それどころか、さらに構造改革が必要だと平然と言い放っているのだから開いた口が塞がらない。
どうやら彼ら2人の辞書には「反省」という文字はないらしい。
代わりにあるのは「厚顔無恥」という文字か。

 そもそも「郵政民営化」とは何のために必要だったのか。
それは巨大な無駄遣いをなくすことが目的で、そのためには民営化しなければならないという論理だったはずだ。
 それがいつの間にか手段の「民営化」が目的になってしまった。

 手段を目的にすり替えたわけで、中川某議員など「小泉改革」を支持している議員達の念頭には、もはや「改革の中身」などどうでもいいらしく、ひたすら「郵政民営化」という言葉だけに反応しているように見える。

 「かんぽの宿」という国民の財産を2足3文で売り払ったばかりか、売却先企業の選定過程が不透明なのは誰の目にもおかしなことである。
こうしたことに疑義を唱えたのが鳩山総務大臣で、彼の指摘がなければ国民はこうした事実を知らないまま一部企業を儲けさせることになっていたのだから恐ろしい。
 当初はマスコミ各社も鳩山総務大臣の頑強な姿勢に批判的だったが、徐々に事実関係が明らかになってくるに及び、日本郵政の姿勢にこそ問題があると分かってきた。

 さらに言うなら、いまの日本郵政を牛耳っている「チーム西川」の構成メンバーや彼らの出身母体にも目を向けて考える必要があるだろう。
そうすると郵政民営化で誰が儲けているのか、儲けようとしているのかも見えてくる。
 リーマンブラーズ破綻の裏でゴールドマンサックス出身者が様々な動きをしていたように。
 そういう意味では、鳩山総務大臣の指摘に我々は大いに感謝すべきだろう。

 日本郵政公社はまだ完全な民営企業でないとはいえ、これが一般企業ならトップは責任を取って辞めるべきだろう。
事実多くの企業がそうしてきた。
にもかかわらず西川社長は「辞めない」というのだから、こんな人間に完全民営化後の社長を任せるわけにはいかないだろう。

 それとも西川氏が社長を辞めないのは他に理由があるのだろうか。
例えばその間に甘い汁をたっぷり吸っておきたいとか、誰かを利したいとか。
そう勘ぐられても仕方ないだろう。

 鳩山総務大臣の「正義」というのは正しい。
正義が廃ってはいけない。
誰がなんといっても鳩山総務大臣には頑張って欲しいし、国民も自らの財産を守るために声を大にして「西川社長辞めろ」と言うべきだ。


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