栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

威勢がいいのは見かけだけ、決断できない失格宰相

2009-06-23 22:59:20 | 視点
 見かけ倒しというのはこの人のことを言うのだろう。
威勢がいいのは大衆を前に口を歪めて演説している時だけで、党首討論でも、自民党の広告ででも、野党を批判する内容ばかり。
1国の宰相ともあろうものが国の在り方や政策ではなく、野党批判を広告や党首討論でしなければいけないとはなんとも情けない。
この人には政権与党トップとしての自覚など微塵もないのだろう。
だから応援演説で「必勝を期して」というところを「惨敗を期して」などと言ったりする。
これは国語力がないとか言い間違いの類ではなく、今度の衆院選で下野せざるを得ない恐怖に捕らわれていることが、そのまま口を突いて出ただけだ。

 前首相の福田さんも何もしなかったが、麻生首相は自ら決断を全くしない男だ。
それならそれで各大臣に全面的に任せればいいのだが、思い付いたことをすぐ口にし、反対されるとすぐ前言を翻す。
だから閣内がまとまらない、決まらない。

 その最たるものが日本郵政の社長人事だ。
一時は鳩山前総務相を支持し、西川社長の退陣に賛成し、後任人事案まで出しながら、小泉を筆頭にした郵政民営化推進派議員にちょっと圧力をかけられると、いともたやすく前言を翻し洞ヶ峠を決め込んだ。
まるで関ヶ原の時の小早川に似ている。
家康側に鉄砲を撃たれると慌てふためいて東軍に味方してしまった。

 西川氏自身、一時は社長辞任やむなしと考えていた節がある。
その時、麻生首相が強い態度に出なかったから、嘗められ開き直られてしまった。
 そうなるともうだめだ。
鳩山総務相に代わって総務相に就任した佐藤氏は密かに社長辞任を西川氏に打診したようだが、打診というような弱腰交渉では相手に分があるのは当然で、社長報酬カットという処分で続投を認めさせられた。
なんとも情けない。
わずかに報酬30%カット、それも3か月でチョンだ。
これこそ麻生首相側の「惨敗」だろう。

 わずかながらでも成果といえるのは、西川氏が自らの出身母体、三井住友銀行から出向という形で引き連れてきた横山邦男専務、後藤英夫秘書室長、百留一浩グループ戦略室長、奥村真コーポレート・コミュニケーション部次長の「チーム西川」と呼ばれる連中の退職を受け入れさせたことぐらいだ。
 郵政民営化の具体的な仕事はこの連中の主導の下に行われているのだから。