厚生労働省は11月25日、第46週(11月14日~11月20日)のインフルエンザ感染者が全国で6843人を数えたことから、インフルエンザの流行シーズン入りを宣言した。(例年より早め)
ところで、労務管理上、インフルエンザに罹った従業員を就業させて良いのか、というのは悩ましい問題だ。
それが“新型インフルエンザ”であれば、感染者はそもそも就業してはならないことになっている(感染症予防法第18条)が、“季節性インフルエンザ”は就業制限の対象にはなっていないからだ。
会社としては、他の従業員への感染のおそれを考えれば出社させたくないところだが、インフルエンザに罹った当人としては、特に欠勤した場合にその分を賃金から差し引かれる会社においては、無理してでも出勤して来る者もいるかも知れない。
その対策として、まず、就業規則に「伝染性の疾病に罹った者は就業を禁じる。」といった規定を盛り込んでおくべきだろう。
そして、それを有給とするのか無給とするのかも、明記しておきたい。
ちなみに、従業員がインフルエンザで休んだ場合、法律上は、就業規則や労働協約等で賃金を補償する特約が無い限り、賃金を支払う義務は無いとされる。普通の風邪などで欠勤する場合と同じ考え方に立つ理屈だ。
現場での運用しやすさ(従業員の納得・同意)の面から考えれば、会社は、インフルエンザ感染者に対して、自宅勤務を認める、特別休暇を付与する、あるいは休業手当(6割以上)を支給して休業を命じる、といった対応を検討しても良いだろう。
しかし、そうは言ったものの、こういった対応を安易に採用するのは、あまりお奨めではない。例えば従業員の大多数が感染して会社の業務がストップした場合にまで賃金を補償しなければならないのか、また、他の感染症にも同様に適用するのか、等の問題について、会社ごとの事情に即して慎重に考えたうえでの結論でなければならないからだ。
なお、ここまで書いてきた内容は、インフルエンザに感染した者(もしくは正当な理由をもって感染が疑われる者)本人についての話だ。家族がインフルエンザに感染した者に自宅待機を命じたり、海外から帰国した者に健康診断を義務付けるといったケースでは、通常の賃金(少なくとも休業手当)が発生することになる。
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