厚生労働省に設置されている「新しい時代の働き方に関する研究会」は、新しい時代を見据えた労働基準法制度の課題を整理することを目的として今年3月から15回にわたって開催されてきたが、10月20日、その検討内容を「報告書」に取りまとめて公表した。
【参照】厚生労働省 > 「新しい時代の働き方に関する研究会」の報告書を公表します
その内容は、「変化する環境下でも変わらない考え方」として、(1)「労働憲章的な規定や基本原則」、(2)「封建的な労働慣行を排除するための規定等」、(3)「すべての働く人の心身の健康を維持しながら働き続けることのできる社会」を堅持する一方で、「『今』の現実と『新しい時代』の変化を捉え時代に合った必要な見直し」を講じることとしている。
そして、特筆すべきなのは、企業にも、働く人(注1)にも、注文を付けていることだ。
【企業に期待すること】
(1) 「ビジネスと人権」の視点
(2) 人的資本投資への取り組み
(3) 働き方・キャリア形成への労使の価値観の共有(注2)
【働く人に期待すること】
(1) 積極的な自己啓発・自己管理
(2) 企業の目的・事業への積極的なエンゲージメント
全体的に、従来からの「守る」に加え、労使の主体性を尊重し、それを「支える」施策を提言したという印象だ。
この報告書では、企業も、そこで働く人も、「自らがどう在るべきか」を主体的に決め、それを労使がコミュニケーションを取りながら実現していくことが求められている。
これは、自由なように見えて、会社の体質によっては厳しい課題かも知れない。 しかし、社会も働き方も多様化する中、会社ごとに異なる最適解を自ら導き出さなければならない時代になっていることを理解すべきだろう。
(注1)「働く人」には、雇用契約の当事者である労働者(非正規を含む)のほか、フリーランスや兼業・副業など多様な働き方の人を含む。
(注2)「価値観の共有」のために、企業にはパーパス(存在意義、社会的使命)を明確にし、エンゲージメントを高めることが有効としている。
※「エンゲージメント」に関しては、当ブログの記事『モラールからモチベーションへ、ロイヤルティからエンゲージメントへ。』もご参照ください。
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