ご苦労さん労務やっぱり

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「出向」ではなく「特定派遣」とすることのメリット

2011-09-03 19:54:45 | 労務情報

 労働者派遣事業には、「登録型」と呼ばれる「一般労働者派遣事業」(以下、「一般派遣」という)と「常用型」と呼ばれる「特定労働者派遣事業」(以下、「特定派遣」という)とがある。一般派遣は許可制、特定派遣は届出制となっている。

 特定派遣は、自社で雇用している従業員を他社の業務に従事させるもので、派遣先との関係(指揮命令系統など)は、実態として「出向」(ここでは「在籍出向」を指す)と変わらない。
 そう考えると、労働者を供給する側(派遣元)としては、一般派遣の許可申請ほど煩雑ではないとは言え、都道府県労働局に届け出て(その際には登記簿謄本や定款や事業計画書等の添付が必要)まで特定派遣にするメリットは感じられず、「出向」で良いのではないかと考えるのも当然ではある。

 しかし、出向の形態では、不都合が生じることもあるのだ。
 まず第一に出向が特定派遣と大きく異なるのが、三六協定や労災に関する事項は(事情によっては社会保険の適用も)“出向先”に属するものとして扱われる点だ。
 また、人事に関しては、出向では出向先も人事権の一部を有するものとされる。例えば、他部門への配転も別の会社への二次出向も、出向先の判断で可能となる。(無論、権利の濫用は許されないが)
 加えて、出向先から出向元へ賃金相当額を上回る出向料が支払われる場合には、労働基準法第6条で禁じられている「中間搾取」とみなされることもある。
 これらの点で問題がある場合には、「出向」ではなく「特定派遣」とすることにメリットがあると言える。

 もっとも、出向にするか特定派遣にするかは、現実には、出向元の都合というよりも出向先からの要望によるケースが多いようだ。
 是非の議論はさておき“力関係の産物”と言えるが、出向・特定派遣に、それぞれメリットとデメリットがあることは理解しておくべきだろう。


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