天頂には青空が開けた。 いつか図書館の美術全集で見た フォンテエヌブロー派の天井画風な、 気取った吝嗇な青空。 思わせぶりな雲と共に、抒情的に装った この青空は、決して夏の空ではない。 空は甘い偽善で覆われていた。 【三島由紀夫作 「天人五衰」~『豊饒の海Ⅳ』】 |
暫く耳にしなかった蝉の声をひとしきり聞いた朝。
瞬間的に頭をよぎったのは、“今日も暑そう・・” という事。
ただ、その声も夏の初め頃と今とでは、
違う気がするのは気のせいでしょうか・・。
西洋人には騒音以外、何ものでもない蝉の声に
風情を感じるのは日本人だけと言いますものね。
紛れもなく蝉の声は、夏の風物詩でしょうから。
それでも8月も残り少なくなりますと、
いくら暑くても、そこかしこに往く夏を感じ、
少々、感傷的になっているのかも知れません。
さて昨日に引き続き、今日も薔薇を。
ご覧の通り、白薔薇です。そう、リラ版 「白い貴婦人」。
白百合もそうですが、白薔薇には、
とりわけ純粋さや気高さを感じます。
そう言えば白薔薇は ギルバート が好きでしたね。
因みに赤は レスリー、ピンクは アン。黄色は メアリー小母さん です。
【西の空】
【北の空】
こちらの空は昨日の黄昏。刹那の空。
こんな空になるのも晩夏だからでしょうね。
春から夏の間、変化のなかった空が面白くなります。
ところで今日も、ゴロゴロ。午後2時頃だったでしょうか。
結局、雨は降らないまま雷は逃げて行ったのですが・・。
通り過ぎて行ったその空は丁度、今日の引用文の如く。
吝嗇な青空、甘い偽善・・素晴らしい空の形容です。