“O mio babbino caro” は、
声楽を志す女子なら一度は歌った事があるポピュラーなアリアですが、
大林宣彦監督の
映画「異人たちとの夏」では、
特に印象に残ったシーンで、BGMとして使われていました。
生前、想いが叶わなかった風間杜夫さん扮する主人公に
幽霊になって逢いにくる…名取裕子さん扮する美しい女性の登場シーンは、
幻想的で、刹那的…男女の情愛を描くとても切ないストーリー…
古典の「安珍清姫」や「牡丹灯籠」を彷彿とさせます。
美しい姿から凄まじい形相に変わるシーンでは、
逢う度に衰弱して、老人のように変貌して行く主人公に
「あなたは、生きて…」
と叫ぶ名取裕子さん扮する幽霊のセリフが耳に残りました。
BGMの効果も絶大でした。
「異人たちとの夏」は、
不思議で奇妙な一夏の体験をテーマにした映画ですが、
黄泉の国の住人を「異人」と呼ぶのなら、私は祖父母や母…懐かしい異人たちに会いたい…。
毎年夏になると観たくなる不思議な映画なのです。
清水由美