吊り上がった眉が特徴だった女性代議士が、
TVカメラの前で自分の暴言スキャンダルを詫びる姿を観ながら、
眉の形が変わっていることに
( やはり…)
と思った。
予想どおり、誰かがアドバイスしたのか…
整えられて、優しくなったきれいな眉の形に、注目が集まっているのも頷ける。
“眉の形”で思い浮かべるのが、
谷崎潤一郎の小説を市川崑監督が映画化した1956年の日本映画「鍵」だ。
京マチ子の“眉”が、気になって仕方ない映画なのだ。
初老の夫役を中村鴈治郎が、若い医師役の仲代達矢が、その娘の婚約者を演じている。
エロティシズムとデカダンス…を感じさせるストーリーと映像は、
戦後10年しか経っていない時代に、こんな映画が作られていた事に驚くと同時に、
その当時の日本人にこの手の映画がどのように映ったのだろうか…という思いを抱かせる。
仲代達矢が扮する若い医師は、
腹の中で何を考えているかわからないが、かなりの野心家で、
大きな眼で一点を見つめながら表情を変えずにセリフをいうところが、
一見、好青年であっても、実は奇妙な性格の持ち主である印象を観る者に与える。
夫役の中村鴈治郎は、表向きは名士で物分かりの良い風を装っているが、
その妻の京マチ子の行動を、いつも監視したがる歪な趣味を持ち、
妻と娘の婚約者が自分の目を盗んで逢瀬を重ねているのではないかと妄想、
その妄想によって自身が失いかけている男性の本能を呼び戻そうと奮闘する。
その様子は滑稽で、一方では悲劇的であるが、笑えるようで笑えない…サラリと皮肉たっぷりに描かれている。
そして、何より
この映画の魅力は、京マチ子の妖しい美貌だ。
蝶の触覚のように、おもいっきり吊り上げた眉が、ふっくらとした顔とは不釣り合いで
最初のうちは、見ていて気になって仕方ないのだが、
途中から、この眉こそが、
一見、貞淑そうに見えて、実は夫への憎悪を抱く“悪女”の象徴なのだと思わせる…
思い切り吊り上げた眉でも、ヒステリックに見えるだけの眉もあるが、
京マチ子さんが演じる妻は、妖艶そのものだ。
映画は、お手伝いの老婆の企みによって意外な結末で終わるが、
この映画の撮影時、老婆役の北林 谷榮さんは40代…、
いつだったか、生前出演されたTV番組で
「若い頃からお婆さん役ばかりやっています」
と仰っていたが、その自然な演技には驚かされる。
映画自体は“成人映画”だとは思うが、
そこは市川崑監督のこと、あからさまなシーンはなく、
あくまでも観る者の想像の世界に委ねている文学的芸術作品だ。
“眉の形”はキャラクターを決定づけるものだと改めて感じたのが、この映画だった。
今回の女性代議士の暴言騒動が取り上げられた時、
私が一番気になっていたのが、あの吊り上がった“眉”だった…。
優しくなった眉は“常識人”を思わせるスタンダードな形だ。
はたして、
マユコさんの“新”眉効果は如何に…。
しみずゆみ 🎥
TVカメラの前で自分の暴言スキャンダルを詫びる姿を観ながら、
眉の形が変わっていることに
( やはり…)
と思った。
予想どおり、誰かがアドバイスしたのか…
整えられて、優しくなったきれいな眉の形に、注目が集まっているのも頷ける。
“眉の形”で思い浮かべるのが、
谷崎潤一郎の小説を市川崑監督が映画化した1956年の日本映画「鍵」だ。
京マチ子の“眉”が、気になって仕方ない映画なのだ。
初老の夫役を中村鴈治郎が、若い医師役の仲代達矢が、その娘の婚約者を演じている。
エロティシズムとデカダンス…を感じさせるストーリーと映像は、
戦後10年しか経っていない時代に、こんな映画が作られていた事に驚くと同時に、
その当時の日本人にこの手の映画がどのように映ったのだろうか…という思いを抱かせる。
仲代達矢が扮する若い医師は、
腹の中で何を考えているかわからないが、かなりの野心家で、
大きな眼で一点を見つめながら表情を変えずにセリフをいうところが、
一見、好青年であっても、実は奇妙な性格の持ち主である印象を観る者に与える。
夫役の中村鴈治郎は、表向きは名士で物分かりの良い風を装っているが、
その妻の京マチ子の行動を、いつも監視したがる歪な趣味を持ち、
妻と娘の婚約者が自分の目を盗んで逢瀬を重ねているのではないかと妄想、
その妄想によって自身が失いかけている男性の本能を呼び戻そうと奮闘する。
その様子は滑稽で、一方では悲劇的であるが、笑えるようで笑えない…サラリと皮肉たっぷりに描かれている。
そして、何より
この映画の魅力は、京マチ子の妖しい美貌だ。
蝶の触覚のように、おもいっきり吊り上げた眉が、ふっくらとした顔とは不釣り合いで
最初のうちは、見ていて気になって仕方ないのだが、
途中から、この眉こそが、
一見、貞淑そうに見えて、実は夫への憎悪を抱く“悪女”の象徴なのだと思わせる…
思い切り吊り上げた眉でも、ヒステリックに見えるだけの眉もあるが、
京マチ子さんが演じる妻は、妖艶そのものだ。
映画は、お手伝いの老婆の企みによって意外な結末で終わるが、
この映画の撮影時、老婆役の北林 谷榮さんは40代…、
いつだったか、生前出演されたTV番組で
「若い頃からお婆さん役ばかりやっています」
と仰っていたが、その自然な演技には驚かされる。
映画自体は“成人映画”だとは思うが、
そこは市川崑監督のこと、あからさまなシーンはなく、
あくまでも観る者の想像の世界に委ねている文学的芸術作品だ。
“眉の形”はキャラクターを決定づけるものだと改めて感じたのが、この映画だった。
今回の女性代議士の暴言騒動が取り上げられた時、
私が一番気になっていたのが、あの吊り上がった“眉”だった…。
優しくなった眉は“常識人”を思わせるスタンダードな形だ。
はたして、
マユコさんの“新”眉効果は如何に…。
しみずゆみ 🎥