日曜日お昼前の静かな時間 イルスの竪琴...海と炎の娘を読みました。パトリシア・マキリップのファンタジー....わたしこのシリーズ大好きです。ことばの麗しさ 比喩のゆたかさには特筆すべきものがあります。 そうした意味では ゲド戦記より楽しませてもらいました。
魔法学校の学生で謎の解き手であるモルゴンはヘドというのどかな農業国の領主でもありました。ところが彼は....宿命の星のもとに生まれた”星を帯びし者”だったのです。ヘド、アンをはじめ国々は”偉大なる者” の見守るなかで調和を持って暮らしていました。......ところが......
モルゴン、その許婚でアンで二番目に美しいレーデルル 偉大なるものの竪琴弾き、デス 偉大なるもの 大地のあるじたち 多数の登場人物の織り成す一大叙事詩 といいましょうか うつくしく豊かな不思議の世界を構築したマキリップは力のある作家...アイルランド出身だったと思います。
実はわたしは どのファンタジーよりずっとずっと熱心に何度も読みました。それでこの三冊の本は”デミアン”とおなじくらいボロボロです。
テーマはなんだろう 成長譚 失われしものへの愛 父と子のものがたりでもあります。ふしぎと母は影が薄いのです。絶版だと思いますが 気になったらぜひお読みください。挿絵は山岸涼子.....じつにものがたりとあっています。萩尾望都のタニス・リーの表紙絵もすばらしかったが 挿絵画家としては山岸さんに一日の長がある ものがたりととけあい ものがたりをよりうつくしくしています。
午後 子貝川にでかけました。CIMAIのパンを買って フルーツとチーズと飲み物 籠に入れて.....岸辺にシートをひいてからだをあずけると 大地と空にからだがとけてしまって わたしの重みはきえてしまいました....こんなしあわせあるだろうか......おきて うたいながら土手をあるきました。すると とおくで犬も遠吠えしてくれました。
草の土手をむすめがひとり 彼岸花の花束を胸にそそくさと車にはしってゆきます。見れば 土手の低まったところに石の祠があって参道のように彼岸花が一列に赤い花を咲かせていて やせた青年がしゃがみこんで熱心に掘っています。思わず 「その花はやめたほうがいいですよー」 と叫びました。
石のお社はこちらを向いてはいません。つまり川を拝むようになってはいない....もしかしたら死者を祀ったのではないかしら......彼岸花は死人花といわれ うつくしいのに忌み嫌われました。彼岸花の真紅が音もなくしんと咲いているのに出くわすと ドキリ としませんか? 件の青年は 「はい わかりました」 と素直に去ってゆき ”恋人の無心に応えようと一生懸命だったのね ちょっと脅かしちゃったかな”....今度は髪振り乱し「おめぇさま その花ばかりはよしなされ....その花にはなぁ.....」とやってみようかと.....。
| Trackback ( 0 )
|