今日は、フルートのKさん、ピアノのSさんと、ヴォイストレーニングのみなさんと、カルメンの合わせ。
Kさんが、一緒に来れるのは初めてです。
合唱のみなさんは、暗譜されていて、合図もバッチリ見てくださるように練習も進んでいます。
今まで、仕事でなかなか来られなかったソプラノの人も来ていて、高い音の層が厚くなって、よく声が出ています。
ビゼーの曲は、どれも難しい上に、男女混声ですが、残念ながら男性が少ない。アルトやバスの音程も女性に割り振っているので、とても技量がいります。
そこを、一生懸命練習でカヴァーされていていて、その努力に本当に頭が下がります。
タバコ工場の女工たちが、休憩時間に、工場から出てきて一服する場面で歌われる合唱。
たちのぼるけむり ゆらゆら ゆらゆら
すてきなけむり やさしく やさしく
こころも うきうき
あまい恋のささやき けむりよ
恋の悩み よろこび けむりよ
あまいことば けむりよ
たのしいゆめも それはけむり けむり
たちのぼる けむり ゆらゆら ゆらゆら
アー 空にたちのぼるけむりは
けむりユラリユラリ けむりよ
メリメが小説「カルメン」を発表したのは1845年、ビゼーのカルメンが1875年。
古代アメリカで生まれたたばこが、スペインの植民地を通して、ヨーロッパに上陸したのは15世紀位。
自分で手で巻いて吸っていたたばこが、産業革命で、工場で作られるようになったのは17世紀。
カルメンの舞台となったセビリヤの街には、本当にたばこ工場があったそうです。
女性や子どもがそういう工場で働いて、わずかながらも賃金を得られるようになったことと、自分で自分の運命を切り開いていく自由な女「カルメン」の登場は、無縁ではありません。
それまで、なかったようなアンチヒロイン。
よりを戻そうと、懇願するホセに向かって言い放つ。
「自由に生き、自由に死ぬんだ!」
という言葉は、殺されても自分の心は自分のもの。という最下層の流民で女。カルメンの矜持を示すと同時に、その言葉を聞いて共感する庶民が、この歌劇の成功を支えていたと考えられるのです。
フランス革命は1787年から始まりましたが、すぐに完成したのではなく、政治、経済、文化とあらゆる潮流となって、波及していったもので、まだまだ、階層意識の強い中での、歌劇カルメンです。