おすすめ度 ☆☆☆☆★
レバノン映画 PG12
2018年・第71回カンヌ国際映画祭で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞。
レバノンの女性監督ナディーン・ラバキー作品。
冒頭から、レバノンの貧しい街並みがパンされる。近隣のシリア内戦の影響を受け、難民、貧困問題の巣窟だ。
この映画は、12歳の少年の目を通した貧困と移民の現実だ。
基本、過ちを犯し少年が刑に服しながら、両親を自分を生んだ罪で告発するという異例の展開だ。
両親も貧しく、でも子供は作る。そして子供の出生登録さえ行っていない。
幼い少女を結婚させ金をもらうという前近代的な制度。
妹の理不尽な結婚を目の当たりにして、家出してしまうゼイン。だが、身分証なしに就職はできず、ふと知り合った移民の母子と一緒に暮らす。
だが、身分証明書のない母は逮捕されてしまう。
二人残された少年と赤ん坊の生きるためのサバイバル。
フィクションとはいえ、現実があるのだろう。境遇のよく似た人たちが演じているというドキュメンタリータッチ。
ちょっと、是枝監督風だが、こちらの現実はより厳しい。
ストーリーと展開の妙で、最後まで目が離せない。
圧巻の出来だ。