おすすめ度 ☆☆☆★
「富嶽三十六景」など生涯を通して3万点以上の作品を描き残したといわれる江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の知られざる生涯。
北斎の挫折と栄光を、歴史的資料を徹底的に調べ、残された事実を繋ぎ合わせて生まれたオリジナル・ストーリー
四章仕立てとなっており、前二章は若き頃で、柳楽優弥、後半老年期で、田中泯がそれぞれ熱演。
ただ、129分の長尺はいささかだれる。
前二章では、喜多川歌麿、東洲斎写楽を世に出した希代の版元・蔦屋重三郎に認められ、しごかれる。彼独自の革新的な絵を次々と生み出し、一躍、当代随一の人気絵師となる。
後半二章は、老年期。
平均寿命40歳の時代に、病を得たとはいえ、90歳まで筆を執ったとは奇跡に近い。
後半は、70歳の北斎、田中珉の神がかった演技に圧倒されるが、うざい感もある。
官製が芸術を弾圧するさまを描いているが、生かしきれていない。
北斎がどんな人であったか、一端を知るにはよい。