都内屈指の混雑路線である東京メトロ東西線では朝の通勤時間帯の列車の遅延が問題になっており、輸送改善が課題になっていました。従来の05系14〜18編成で混雑対策の為に扉の幅を1.8メートルとしたワイドドア車を導入していましたが再度ワイドドア車の増備を行うことになり、当初は05系14次車として計画されていましたが有楽町線・副都心線向け10000系で採用された設計を取り入れ新たに15000系として登場しました。2009年末から導入され営業運転は2010年5月17日から開始していますが、05系ワイドドア車は1991〜1992年の増備だった為、18年振りのワイドドア車となりました。
車体は05系13次車同様、アルミ合金製ですが車体強度の向上や廃車時のリサイクルを考慮した単一合金化など更なる改善が加えられています。側面の窓・扉の配置は05系ワイドドア車に類似していますが、先頭車の乗務員室直後のドアも含めて1.8メートル(05系ではこの部分のみ1.3メートル)としており、先頭車の全長が52センチ長くなりました。本形式のフルカラーLEDによる行先表示は東京メトロ初採用となっています。
2017年までに10両編成13本の130両が製造され、代替で05系の内初期に製造され高周波分巻チョッパ制御を採用していた1〜4次車が置き換えになり、01・03・06・13編成4本は3両編成化(余剰中間車は廃車)の上で千代田線の北綾瀬支線に転用、その他の編成はインドネシアへ譲渡されるなど大きな動きが発生しています。
車内設備も05系13次車がベースですが、配色が大幅に変更されライトグレーの化粧板に妻面壁を木目調、座席は濃いブルーのモケットになりました。近年の車両では珍しく戸袋窓が復活しており採光性も向上しています。
車内案内表示装置は10000系で実績のある液晶画面ですが、画面サイズを17インチに拡大したものが全ドア上に設置されました。中野方先頭車(CT2・15000形)に送受信装置が搭載されており、拠点駅では高速無線通信を使用し広告映像の自動更新を行っています。
ホームドアの普及で扉が適合しなくなったり想定した以上の混雑緩和が見込めないなどの理由から姿を消して行くワイドドアの車両ですが、東西線では最混雑時間帯の運用で本来の役割を発揮しており、ホームドアもそれに対応するものが設置されています。現在は新型コロナウイルスの影響で旅客が減少傾向ですが、通勤通学輸送では依然として需要の高い首都圏ならではの車両として今後も長く活躍しそうですね。