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南西フランスの印象

2008-05-24 15:32:12 | 折々の随想
5月13日から10日間、ミディ・ピレニー地方と呼ばれる、南西フランスへの旅を楽しみました。

スペインに近い聖地ルルドや、城壁の町カルカソンヌ、岩壁に建つロカマドールを始めとして、アルビ、カオール、サルラ、コンク、コロンジュ・ラ・ルージュ、カレナック、サン・シル・ラポピー、それにフランス6番目の都市トゥールーズを巡る旅でした。

それに、ラスコーの壁画で名高い「ラスコーII」(レプリカ)やロートレック美術館も訪ねました。

ラスコーの壁画がある本物の洞窟は、残念ながら観光客がこれ以上訪れると壁画が損傷を受けるため永久閉鎖されております。その代わり、90%の再現力を持つラスコーIIというレプリカを10年の歳月をかけて完成させており、今回はそこを見学しました。それでも本物の迫力ある壁画をたっぷりと堪能できました。レプリカなのに写真撮影は禁止でしたので、その写真をお見せできないのが残念。

1万7千年も前に描かれたものとはとても思えないすばらしい壁画でした。馬や牛、そしてもっとも多いのが鹿ですが、これらの動物たちの遠近法を使った躍動感あふれる姿が、とにかく素晴らしいのです。これは動物たちの姿を模しての、その時代の人間たちの宗教的な祝祭の場として描かれたものではないかとの意を強く持ちました。

洞窟の最後には、馬が足を上にして転がっている絵が描かれておりました。これは、ガイドによれば、「」を表しているとのことです。そういえば、「生誕」の絵はありませんでした。ネアンデルタール人の有名な葬送の儀式図といい、人類にとっては、生誕よりも死が比較にならないほどの重みを持っていたようです。

そういえば、筆者も家人も誕生日祝いといったものをやった試しがありません。もちろん、結婚記念日に何か相手に贈り物をするなどという、歯が浮くような「儀式」もやったことはありません。どうやら、我々は現代に生き残った原始人夫婦だったようです。

印象に残った写真をいくつかご紹介します。



これは、トゥールーズの市庁舎があるキャピトル広場前での光景。身体障害者が何か市の福祉政策にでも抗議しているようです。断食93日目と書かれているようですが、それにしては顔は下を向いておりますが元気な様子でした。何という生命力。。。この人も現代の原始人か? 多分、ルルドの聖水でもたっぷりと飲んでいるに違いありません。



今回の旅のハイライトは、何といってもキリスト教最大の聖地ルルドでした。バスが現地についてビックリです。喩えれば、箱根の温泉街の中心地とミニディズニーランドを合わせたような場所でした。年間に600万人もの人々が巡礼者としてここを訪れるようです。(もちろん筆者は似非巡礼者でした。)しかも、体に何か病を持つベッドのような車椅子に乗せられた人々が、付添人から与えられた聖母マリアの聖水を静かに飲み干し、安堵した顔を見せているその姿には、信者ならずとも宗教的なものの威力を思い知らされました。

写真は、復活祭後から10月中旬まで毎日行われるローソク行列のミサに先立つ、先導役のマリア像の発進光景です。この後、3万人ぐらいの人々の行列が続きます。それにしても、マリア像がお金をかけすぎて少々輝きすぎではないだろうか?



ローソク行列はこんな感じです。風よけの紙に包んだローソクは、1本50セント(約80円)でみやげ物店の前で売っています。トイレチップと同じ値段です。さすがに、これでたんまりと儲けようとする不逞の輩はいないようです。



がらっと雰囲気が変わって、サルラの朝市で見た山羊と子犬のペアーです。この2匹にもマリア様のご加護がありますように。。。



ロカマドールという聖地です。岩壁の上に建っていることが、聖地としての「威厳」を高めるのに随分と寄与しているかと。。。しかし、その際にこき使われた馬や人夫達の塗炭の苦しみは一体いつどこで癒されたのだろうか?



サルラという町の郊外にある鄙びたホテルのベランダです。近くのスーパーで買ったワインとチーズとパンで気分良く酔っぱらいました。この時期は夜の9時半頃まで明るく、よく耳を澄ますと、鈴虫のような虫の音、日本では聞き慣れない数種類の鳥のさえずり、そしてまだ明るいのに何故か聞こえてくる梟の低い声、それに森の本来の静寂と清浄な空気が相俟って、まるでこの世の天国でした。ここで3連泊しました。



南西フランスはフォアグラで有名です。ガチョウに思いっきり餌を沢山与え、無理矢理作り出された「脂肪肝」がフォアグラです。昼食のレストランで出されましたが確かに美味ではあります。思わず本能丸出しで7割ほど食べてしまいました。ところが、後からこの「脂肪肝」は効いてきました。昼食後、コンクという山奥の聖地へと行く道がとんでもない曲がりくねった凸凹の山道でした。おまけに土砂降りの大雨まで降ってきて視界も悪く、更に、バスの中は湿気が多くて蒸し暑かったので、酔ったことのない筆者も、胃から来るフォアグラの臭いとの相乗でさすがに気分が悪くなりました。その時、思い知りました。これは「ガチョウのたたり」だったのかと。。。その後、サルラという町中で撮った少女達がガチョウにまたがっている写真です。筆者もこの程度の余興で済ますべきでした。



最後に、カルカソンヌという町にある、城壁を2重に張り巡らせた城塞の夜景です。こうやって見ると、どうってことはありません。昨年12月に訪れたドイツのエアフルトの教会の夜景の方がよほど綺麗です。それもその筈、この建物は敵の襲来から王様を守るための城塞だったのです。つまりその昔、人殺しが沢山行われた殺伐たる場所という訳でした。

以上、短い旅でしたが、太古の昔からの人類の様々な性(サガ)を、これらの写真から少しでも思い起こして頂ければ、筆者が使い切れない機能が満載の、くそ重たいデジカメを持ち歩いた苦労が少しは報われるかと。。。
コメント (2)
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