中日新聞の連載物、笠井信輔」さんの【がんがつなぐ足し算の縁】〜24〜に
<QOL向上には>というタイトルで下記のことが書かれていました。
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我慢せず「痛い!」 わがままじゃない
「我慢」や「他人任せ」ではダメ。
QOLの向上には「正直に伝える」ことが大事
「痛みは1から10で言うと、いくつですか?」
近年入院した方や、そのご家族なら体験しているかもしれません。
今、そう言って痛みの確認をする病院があります。
私がそうでした。
随分昔にも入院したことがあるのですが、当時は「具合はどうですか?」「痛みはありませんか?」と聞かれていましたし、それが一般的でした。
しかし、昭和生まれの昭和患者は「おかげさまで、ずいぶん良くなりました」と、痛みを感じていても我慢して、感謝を示す人が少なくないそうです。
でも、先生や看護師さんにとっては、それが困ると。
「QOL=クオリティー・オブ・ライフ」という概念をご存じですか?
医療の中での新しい考え方です。
入院中や治療中の「生活の質」のことで、患者に身体的な苦痛が生じていたり、病気や治療で精神的なストレスを感じていたりする場合、「QOLが低下している」と表現します。
今の医療の考え方は「病気を克服するためには、『QOLを向上させる』ことが重要」。
QOLが向上した患者には治療効果がみられ、延命効果があるという海外の研究報告もあるそうです。
そのいい例が抗がん剤の「制吐剤=吐き気止め」です。
制吐剤はがんの治療薬ではありません。
しかし、私はこの制吐剤のおかげで、大量の抗がん剤投与を受けても4カ月半の入院中、むかつきや、吐き気だけで、1度も吐かずに済みました。
5年前、10年前のがんサバイバーの先輩に話を聞くと「毎日吐かない日はなかったので信じられない」と皆驚かれます。
嘔吐(おうと)がどれだけの体力を奪うか、皆さん体験的にご存じだと思います。
特に高齢の方は、嘔吐の苦しみから逃れたいために抗がん剤治療をやめてしまう方もいます。
副作用止めの開発で治療中のQOLが向上したため、私はがんという病にしっかりと向き合うことができました。
先日、治療中の白血病の知人と話をしたのですが、まだ嘔吐していないと制吐剤に感謝していました。そこまで進んでいるんですね。
確かに、副作用止めが体に合わず、苦労している方がいるのも事実です。
そうした患者さんのQOLを少しでも上げようと、今、医療従事者の皆さんは闘ってくれています。
一方でQOLに関しては患者も人任せではいけません。
各々(おのおの)の患者の心の持ちようが、QOLの向上のために重要なんです。そのキーワードは「我慢」。
昭和患者の皆さんは、病院や医師、看護師さんに迷惑をかけまいと我慢し、それが美徳だと思っている方がとても多い。
私も痛みが5あるのに、看護師さんにいい顔がしたくて、「3です」と言ってしまったことがありました。
しかし、今の医療は痛み5なら5の痛み止め、3なら3の痛み止めがあるので、我慢する(=うそをつく)と、2痛みが残ってしまい、その分、QOLが低下するのです。
「お父さん、ここは病院なんだから、わがまま言わずに、おとなしくしてるのよ」なんていうドラマを私たちは見過ぎてきました。
わがままでなく「正直に伝える」。
そして「我慢しない」が令和患者の基本姿勢。
そのために、今の自分の状況を正しく冷静に正直に先生や看護師さんたちに伝える。
それが令和患者の最もよい治療をしていただくためのこつなのです。
(次回は十二月十三日付です)
かさい・しんすけ 1963年生まれ。フジテレビのアナウンサーとして情報番組「とくダネ!」などを担当。フリーになった直後の2019年、血液のがん「悪性リンパ腫」のステージ4と診断された。現在は、がんが体から消える「完全寛解」の状態。59歳。
以上です。
>QOLの向上には「正直に伝える」ことが大事
「痛みは1から10で言うと、いくつですか?」
昭和人間の私も、本当は痛みが9なのに、3ぐらいですと答えてしまうでしょうね。😅
これではダメですね。
「今の医療は痛み5なら5の痛み止め、3なら3の痛み止めがあるので、我慢する(=うそをつく)と、2痛みが残ってしまい、その分、QOLが低下するのです。」。
という話なので、正直に申告するのが先生や看護婦さんの治療に役立つようです。
自分が早く治るためにも正直に言わなければね。
>私はこの制吐剤のおかげで、大量の抗がん剤投与を受けても4カ月半の入院中、むかつきや、吐き気だけで、1度も吐かずに済みました。
制吐剤があるようです。
これによって、患者さんの体力が奪われなくなったようで、医療の進歩を感じます。
The Seekers - Georgy Girl (1967 - Stereo)