中日新聞の「くらしの作文」に「最後の願い」というタイトルで、79歳の女性が投稿されていました。
「あと一週間から十日ほどです。覚悟してください」。
入院生活二カ所を経て、お世話になった施設での夫の主治医からの言葉でした。
頭をガーンと殴られたようでした。
その七ヶ月前、脳梗塞で倒れた夫は、リハビリの後、慣れない左手で文字を書いたり、歩行器を使って田んぼ道を歩いたりと努力していました。
四ヶ月後、ひどい脳出血を起こし、話すことも歩くこともできなくなりました。
余命宣告を受けてから毎日会いに行っていた私は、本当に別れが近づいていたある日の夕方、「あんた、夜中に私を起こすのはやめて。寒いのはいややで」と、聞こえているのか分からない夫の耳元で言いました。
施設から危篤を知らせる電話がかかってきました。
脳梗塞の時は「家に帰りたい」と私を困らせたり、「お父さんには感謝の言葉がないねえ」と娘に言われたりしました。
頑固な夫でしたが、夜中の呼び出しはやめてという私の勝手な願いを、最後に聞き入れてくれたんだと思いました。
あんた、ありがとう。
頑張って生きてくれてありがとう。
先に逝ったあんたの両親に会えたら「アッコに死ぬ時のことまで段取りされたぞ」と告げ口していいよ。
私がそっちに行った時には、笑って許してもらうから。
以上です。
投稿者さんのご主人に対する愛情に満ち溢れた文章ですね。
>「あんた、夜中に私を起こすのはやめて。寒いのはいややで」と、聞こえているのか分からない夫の耳元で言いました。
これは聞こえたと思います。
眠っていても耳は聞こえていますから。
だから最後に奥様の願いを受け入れられたのでは?
>先に逝ったあんたの両親に会えたら「アッコに死ぬ時のことまで段取りされたぞ」と告げ口していいよ。
これには笑ってしまいました。
スピッツ / チェリー