兵頭正俊氏のメルマガより
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◆ 米国の双頭のアジア戦略 ◆
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Fibrodysplasia が、12月7日のツイッターで、次のようにツイートしている。
東日本の被曝した人たちに対して補償を行ったら、その瞬間、財政的に日本はつぶれる。
だから補償しない。
福島県民だけでも、補償したらつぶれるだろう。
要するに、本当は、この国は終わっているわけだ。
しかし、普通におとなしく消滅してくれればいいのに、最期に戦争やって散ろうとしている。
あんな強大な共産主義帝国だった旧ソ連が、チェルノブイリ原発一機が爆発しただけで、崩壊してしまったんだから、
4機も吹っ飛んだ小さな東日本ごときが、生き延びられるわけがない。
子供みたいに駄々こねてないで、おとなしく降参すべき。
東日本は終わったんだよ。
もう住めない。
遷都するしかない。
核汚染の一撃で、東日本は滅んだわけだけど、
「滅ぶのは嫌だ。滅ぶならみんな道連れだ。無茶苦茶にしてやる」と、
断末魔の政府が、地団駄を踏みながら叫び声をあげている。
国民を道連れにして、国家として自爆(=戦争)する気だ。
土地が富だったのに、その土地が核汚染でパー。
土地資本主義の滅亡。
(引用終わり)
この人のツイートは、ネガティブに聞こえるかもしれないが、そうではない。
人間と祖国への愛に満ちあふれており、それが強いだけ、切っ先が鋭くなっている。
しかし、天皇を東京に囲い込んでおく神経があるのだから、新自由主義者たちは、遷都を金輪際しないだろう。
東電の旧経営陣はとっくに、外国に避難しているというのに。
最近は、この国の既得権益支配層が、3.11後に何を考えたかがよくわかるようになってきた。
野田の「収束宣言」の延長上に、東京オリンピックの「おもてなし」は存在している。
放射能汚染による東京の地価の暴落は、国の破綻につながる。
そこで、東京オリンピック開催という、東京安全宣言が考えられたのである。
東京オリンピックは、東京の安全神話を構築し、東京の地価暴落阻止のために行われるのだ。
しかし、こんな嘘で塗り固めた幼稚な政治が、いつまで続くか。
今でははっきりいえるが、既得権益支配層にとって、福島は本丸ではなかったのだ。
東京の砦に過ぎない。
福島砦に人がいる限り、本丸の東京安全神話が保たれる。
東京からの避難と移住は、地価の暴落を喚び、国家破綻につながる。
だから、福島は封じ込められるのである。
福島の犠牲のミッションは、東京の地価維持のために続いているのだ。
「何も起きなかった。だから避難することもない」
「失政はなかった。われわれを批判している奴は左翼だ」
「日本を見直そう」
「絆だ」
「自民党を中心にやってきたことは正しかった」
そういった政治が展開している。
心の弱い連中が、政治をやっているのだ。
安倍晋三が、原発を輸出し、さらに武器まで売り込もうというのは、自暴自棄のなせる業である。
自民党の先人たちは、やらなかったことだ。
戦前の関東大震災から、治安維持法の施行、東京オリンピックの返上と太平洋戦争。
この状況と、現在の東日本大震災から特定秘密保護法の成立、東京オリンピック開催という状況の酷似を、指摘する声は多い。
歴史のキーワードが酷似しているだけではない。
状況が酷似しているのだ。
ところで、特定秘密保護法を成立させた参議院の投票結果は、以下の通りであった。
参議院議員 定数 242人
投票総数 212
賛成 自民 110 反対欠席4
公明 20 全員(欠席すると通らないから)
合計 130
反対 自民党 1 二之湯智(信念で反対したのではなく、「まったくのケアレスミスで申し訳ない」と。悲劇はこういうピエロを生み出すものだ)
民主 58
みんな 3 川田龍平・寺田典城・真山勇一
共産党 11
社民党 3
新党改革 1 平野達男
生活の党 2
無所属 3 糸数慶子・興石東(副議長)・山本太郎
合計 82
欠席および不投票
自民党 3 赤池誠章・有村治子(病気) 森まさこ(担当大臣)
維新の会 9 全員(欠席しても通るから)
みんな 15 上記3名を除く(欠席しても通るから)
新党改革 2 荒井広幸・浜田和幸
無所属 1 山崎正昭(議長)
特定秘密保護法案について、「唖然だ」のみんなの党は、衆院で賛成し、参院では退席した。
ジグザグ路線で、最後までわたしたちを、唖然とさせ続けた。
しかも参院では、川田龍平、寺田典城、真山勇一が、採決で反対に回った。
寺田は採決後、「すり寄りといわれても仕方がない。党首を信用できない」と、代表の「唖然だ」の渡辺を批判した。
しかも裁決後に、江田憲司前幹事長たちが離党する。
凄まじいばかりの、アジェンダの党を見せつけてくれた。
日本維新の会も、自民党の補完勢力が、いかなる内実であるかを、見事に国民に示した。
修正協議で、秘密指定可能期間を「最長60年」と2倍に延ばして、自民党を喜ばせ(同時代の大人は殆ど死んでいる)、
いちゃもんをつけて、採決では衆参とも逃亡した。
なりふり構わぬ、とは、こういうのをいうのだろう。
内閣不信任案にも、「強行採決は内閣がやったのではない」と逃亡した。
これなら、勇ましく日中戦争を煽るだけ煽って、いざ開戦になると、「お前たちでやれ」と逃亡するのではないか。
これも、「唖然だ」のみんなの党に負けず劣らず、凄まじい政党である。
こちらはなりふり構わぬ姿勢が、逆に笑いを生み、補完勢力の新たなプレゼンスを示した。
今後に笑いの期待がもてる。
この特定秘密保護法は、米国の指示によるものだ。
日本の政治では、実質的な支配者である米国の戦略を知ることが、何よりも重要である。
米国からくる指示には、ひとつは、米国の産軍複合体から発せられるメッセージがある。
これは、ジャパンハンドラーを通じて、日本で具現化される。
日本には、価値観の共有ということで、日米関係は米中関係とは質的に違うのだ、と考える向きがある。
安倍晋三などは、その最たるものだ。
しかし、米・中とも、利害(国益)で動いている。
それは、たとえ価値観を同じくしていても、西側の首脳を、米国が盗聴スパイしていたことを見れば明らかだ。
このような世界のパワー・ポリティクス(power politics)を見る能力が、安倍晋三には致命的に欠落している。
それで安倍は、古ぼけた価値観で、米国一辺倒に突き進むしかないのである。
米国の産軍複合体とジャパンハンドラーによって、割り振られた日本の役割は、
中国と対立し、緊張を高め、戦争のできる国に構造改革し、米国の兵器を大量に購入し、
実際に、中国と戦争をすることである。
そのために安倍晋三は、原発輸出から始まって、消費税増税をやり、NSC法案、特定秘密保護法案と通してきた。
今後、共謀罪法案、国家安全保障基本法案、防衛大綱の見直しと進み、自衛隊の海兵隊化を図るだろう。
TPP参加をやり、解釈改憲で集団的自衛権を確立する。
新ガイドラインで、戦争準備は整う。
軍国化に、日本はふたつに分かれて向かうことになろう。
日本の1%は、対米隷属として向かい、
99%は、反中国のナショナリズム高揚として向かうのである。
日本のマスメディアは、現在の大本営発表を、さらに純化し続けるだろう。
99%に向かって反中を煽った挙げ句、何年か後には、もはや収拾がつかなくなる可能性が高い。
これらの準備を日本にやらせながら、米国の双頭のアジア戦略は、もう一方で、中国との緊密さを深めている。
2011年の、ケネディセンターで開催された、米軍と中国軍の合同コンサートが、すべての始まりだった。
このとき、中国人民解放軍の制服を着た著名な男性歌手と、米軍の女性軍曹が、デュエットを組み、オペラ「椿姫」を熱唱したという。
「椿姫」というのが凄いところで、その暗喩をくみ取り、さぞかし中国の軍人たちは、大喜びしたことであろう。
その後、軍事的な関係強化が図られ、両軍のコミュニケーション強化が図られている。
米国の中国研究者で、ボストン・カレッジ政治学教授の Robert S.Ross は、
『中国を対外強硬路線へ駆り立てる恐れと不安 ~アジアシフト戦略の誤算とは』の中で、次のように述べている。
「アジアシフト戦略はすでに、アメリカの安全保障利益を損なっているし、そのコストは高まる一方だ。
ワシントンが現在の戦略を維持すれば、アメリカの政策に対する中国の抵抗は、必然的に大きくなり、
貿易からグローバル経済の安定までの、重要なアジェンダをめぐる、米中協調の道も閉ざされる。
今後、中国は、周辺地域での米軍のプレゼンス強化を押し返そうと試み、
実際には、みるべき価値のない島々の領有権問題をめぐって、アジアにおけるアメリカのパートナー諸国の、ナショナリズムが高まっていけば、
アジア地域で紛争が起きる危険は、現実味を帯びてくる。
だが、このシナリオは回避できる。
中国の強硬路線を前にしても、アメリカが地域秩序を維持し、米中紛争のリスクを、最低限に抑え込む路線に徹するのだ。
今後数年にわたって、かつての対中エンゲージメント路線回帰するために、政策を見直していく必要がある。
朝鮮半島やインドシナにおける、米軍のプレゼンスを強化することが、アメリカの安全保障利益にとって、死活的に重要なわけではないし、
アジアの複雑な領有権論争からも、距離を置くべきだ。
米海軍が、アジアの海洋における支配的優位を持っている以上、
中国に対抗していく決意をもつ同盟諸国を支える一方で、海洋の領有権論争からは距離を置き、
朝鮮半島やインドシナなど、中国の国境線近くの米軍のプレゼンスを、弱めていくべきだ。
中国の台頭を警戒するよりも、自制路線をとれば、アメリカの国家安全保障利益を、より適切に擁護できるだろう」
(『Foreign Affairs Anthology vol.38』)
(引用終わり)
「実際にはみるべき価値のない島々の領有権問題…」
「アジアの複雑な領有権論争からも距離を置くべきだ…」
「海洋の領有権論争からは距離を置き…」
これが、米国政府の戦略だと思って間違いない。
米国の戦略は、よく考えられ、冷徹で、複雑である。
実際、中国の強硬路線は、対米軍事力に自信を持つために出てくるのではないのである。
イージス駆逐艦隊、11隻の米空母など、米国軍事力の質の高さに大きく見劣りすることを、中国は正確に認識している。
一方、米国は、中国を刺激すれば、中国の軍事的な近代化と拡大を招くだけだ、とわかっている。
つまり、戦争どころか、米・中が険悪な関係になること自体が、両国の国益に照らしてないのである。
米・中が争わず、日・中だけが、領土と資源を巡って緊張を高める。
しかも中国は、すでに米国が中立の立場で、日中戦争に参戦しないことを知っている。
双頭の米国には、日本の背中を中国に向けて押す、もうひとつの勢力がいる。
こうした3国の関係は、非常に危険である。
中国との戦争を避けるためには、現在の好戦的な政権を交代させ、もっと優れた政治家に、この国の牽引役を任せねばならない。
これからは、どんな小さな地方選だろうと、軽視してはならない。
確実に、反自・公勢力で勝ちとり、地方から中央に攻め上るのである。
わたしたち大人が諦めたとき、子供や孫たちの、銃をもたせられる未来が決まる。
メルマガ『兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相』
(無料・ほぼ週刊)
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ブログ「兵頭に訊こう」
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発行人 :兵頭正俊
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◆ 米国の双頭のアジア戦略 ◆
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Fibrodysplasia が、12月7日のツイッターで、次のようにツイートしている。
東日本の被曝した人たちに対して補償を行ったら、その瞬間、財政的に日本はつぶれる。
だから補償しない。
福島県民だけでも、補償したらつぶれるだろう。
要するに、本当は、この国は終わっているわけだ。
しかし、普通におとなしく消滅してくれればいいのに、最期に戦争やって散ろうとしている。
あんな強大な共産主義帝国だった旧ソ連が、チェルノブイリ原発一機が爆発しただけで、崩壊してしまったんだから、
4機も吹っ飛んだ小さな東日本ごときが、生き延びられるわけがない。
子供みたいに駄々こねてないで、おとなしく降参すべき。
東日本は終わったんだよ。
もう住めない。
遷都するしかない。
核汚染の一撃で、東日本は滅んだわけだけど、
「滅ぶのは嫌だ。滅ぶならみんな道連れだ。無茶苦茶にしてやる」と、
断末魔の政府が、地団駄を踏みながら叫び声をあげている。
国民を道連れにして、国家として自爆(=戦争)する気だ。
土地が富だったのに、その土地が核汚染でパー。
土地資本主義の滅亡。
(引用終わり)
この人のツイートは、ネガティブに聞こえるかもしれないが、そうではない。
人間と祖国への愛に満ちあふれており、それが強いだけ、切っ先が鋭くなっている。
しかし、天皇を東京に囲い込んでおく神経があるのだから、新自由主義者たちは、遷都を金輪際しないだろう。
東電の旧経営陣はとっくに、外国に避難しているというのに。
最近は、この国の既得権益支配層が、3.11後に何を考えたかがよくわかるようになってきた。
野田の「収束宣言」の延長上に、東京オリンピックの「おもてなし」は存在している。
放射能汚染による東京の地価の暴落は、国の破綻につながる。
そこで、東京オリンピック開催という、東京安全宣言が考えられたのである。
東京オリンピックは、東京の安全神話を構築し、東京の地価暴落阻止のために行われるのだ。
しかし、こんな嘘で塗り固めた幼稚な政治が、いつまで続くか。
今でははっきりいえるが、既得権益支配層にとって、福島は本丸ではなかったのだ。
東京の砦に過ぎない。
福島砦に人がいる限り、本丸の東京安全神話が保たれる。
東京からの避難と移住は、地価の暴落を喚び、国家破綻につながる。
だから、福島は封じ込められるのである。
福島の犠牲のミッションは、東京の地価維持のために続いているのだ。
「何も起きなかった。だから避難することもない」
「失政はなかった。われわれを批判している奴は左翼だ」
「日本を見直そう」
「絆だ」
「自民党を中心にやってきたことは正しかった」
そういった政治が展開している。
心の弱い連中が、政治をやっているのだ。
安倍晋三が、原発を輸出し、さらに武器まで売り込もうというのは、自暴自棄のなせる業である。
自民党の先人たちは、やらなかったことだ。
戦前の関東大震災から、治安維持法の施行、東京オリンピックの返上と太平洋戦争。
この状況と、現在の東日本大震災から特定秘密保護法の成立、東京オリンピック開催という状況の酷似を、指摘する声は多い。
歴史のキーワードが酷似しているだけではない。
状況が酷似しているのだ。
ところで、特定秘密保護法を成立させた参議院の投票結果は、以下の通りであった。
参議院議員 定数 242人
投票総数 212
賛成 自民 110 反対欠席4
公明 20 全員(欠席すると通らないから)
合計 130
反対 自民党 1 二之湯智(信念で反対したのではなく、「まったくのケアレスミスで申し訳ない」と。悲劇はこういうピエロを生み出すものだ)
民主 58
みんな 3 川田龍平・寺田典城・真山勇一
共産党 11
社民党 3
新党改革 1 平野達男
生活の党 2
無所属 3 糸数慶子・興石東(副議長)・山本太郎
合計 82
欠席および不投票
自民党 3 赤池誠章・有村治子(病気) 森まさこ(担当大臣)
維新の会 9 全員(欠席しても通るから)
みんな 15 上記3名を除く(欠席しても通るから)
新党改革 2 荒井広幸・浜田和幸
無所属 1 山崎正昭(議長)
特定秘密保護法案について、「唖然だ」のみんなの党は、衆院で賛成し、参院では退席した。
ジグザグ路線で、最後までわたしたちを、唖然とさせ続けた。
しかも参院では、川田龍平、寺田典城、真山勇一が、採決で反対に回った。
寺田は採決後、「すり寄りといわれても仕方がない。党首を信用できない」と、代表の「唖然だ」の渡辺を批判した。
しかも裁決後に、江田憲司前幹事長たちが離党する。
凄まじいばかりの、アジェンダの党を見せつけてくれた。
日本維新の会も、自民党の補完勢力が、いかなる内実であるかを、見事に国民に示した。
修正協議で、秘密指定可能期間を「最長60年」と2倍に延ばして、自民党を喜ばせ(同時代の大人は殆ど死んでいる)、
いちゃもんをつけて、採決では衆参とも逃亡した。
なりふり構わぬ、とは、こういうのをいうのだろう。
内閣不信任案にも、「強行採決は内閣がやったのではない」と逃亡した。
これなら、勇ましく日中戦争を煽るだけ煽って、いざ開戦になると、「お前たちでやれ」と逃亡するのではないか。
これも、「唖然だ」のみんなの党に負けず劣らず、凄まじい政党である。
こちらはなりふり構わぬ姿勢が、逆に笑いを生み、補完勢力の新たなプレゼンスを示した。
今後に笑いの期待がもてる。
この特定秘密保護法は、米国の指示によるものだ。
日本の政治では、実質的な支配者である米国の戦略を知ることが、何よりも重要である。
米国からくる指示には、ひとつは、米国の産軍複合体から発せられるメッセージがある。
これは、ジャパンハンドラーを通じて、日本で具現化される。
日本には、価値観の共有ということで、日米関係は米中関係とは質的に違うのだ、と考える向きがある。
安倍晋三などは、その最たるものだ。
しかし、米・中とも、利害(国益)で動いている。
それは、たとえ価値観を同じくしていても、西側の首脳を、米国が盗聴スパイしていたことを見れば明らかだ。
このような世界のパワー・ポリティクス(power politics)を見る能力が、安倍晋三には致命的に欠落している。
それで安倍は、古ぼけた価値観で、米国一辺倒に突き進むしかないのである。
米国の産軍複合体とジャパンハンドラーによって、割り振られた日本の役割は、
中国と対立し、緊張を高め、戦争のできる国に構造改革し、米国の兵器を大量に購入し、
実際に、中国と戦争をすることである。
そのために安倍晋三は、原発輸出から始まって、消費税増税をやり、NSC法案、特定秘密保護法案と通してきた。
今後、共謀罪法案、国家安全保障基本法案、防衛大綱の見直しと進み、自衛隊の海兵隊化を図るだろう。
TPP参加をやり、解釈改憲で集団的自衛権を確立する。
新ガイドラインで、戦争準備は整う。
軍国化に、日本はふたつに分かれて向かうことになろう。
日本の1%は、対米隷属として向かい、
99%は、反中国のナショナリズム高揚として向かうのである。
日本のマスメディアは、現在の大本営発表を、さらに純化し続けるだろう。
99%に向かって反中を煽った挙げ句、何年か後には、もはや収拾がつかなくなる可能性が高い。
これらの準備を日本にやらせながら、米国の双頭のアジア戦略は、もう一方で、中国との緊密さを深めている。
2011年の、ケネディセンターで開催された、米軍と中国軍の合同コンサートが、すべての始まりだった。
このとき、中国人民解放軍の制服を着た著名な男性歌手と、米軍の女性軍曹が、デュエットを組み、オペラ「椿姫」を熱唱したという。
「椿姫」というのが凄いところで、その暗喩をくみ取り、さぞかし中国の軍人たちは、大喜びしたことであろう。
その後、軍事的な関係強化が図られ、両軍のコミュニケーション強化が図られている。
米国の中国研究者で、ボストン・カレッジ政治学教授の Robert S.Ross は、
『中国を対外強硬路線へ駆り立てる恐れと不安 ~アジアシフト戦略の誤算とは』の中で、次のように述べている。
「アジアシフト戦略はすでに、アメリカの安全保障利益を損なっているし、そのコストは高まる一方だ。
ワシントンが現在の戦略を維持すれば、アメリカの政策に対する中国の抵抗は、必然的に大きくなり、
貿易からグローバル経済の安定までの、重要なアジェンダをめぐる、米中協調の道も閉ざされる。
今後、中国は、周辺地域での米軍のプレゼンス強化を押し返そうと試み、
実際には、みるべき価値のない島々の領有権問題をめぐって、アジアにおけるアメリカのパートナー諸国の、ナショナリズムが高まっていけば、
アジア地域で紛争が起きる危険は、現実味を帯びてくる。
だが、このシナリオは回避できる。
中国の強硬路線を前にしても、アメリカが地域秩序を維持し、米中紛争のリスクを、最低限に抑え込む路線に徹するのだ。
今後数年にわたって、かつての対中エンゲージメント路線回帰するために、政策を見直していく必要がある。
朝鮮半島やインドシナにおける、米軍のプレゼンスを強化することが、アメリカの安全保障利益にとって、死活的に重要なわけではないし、
アジアの複雑な領有権論争からも、距離を置くべきだ。
米海軍が、アジアの海洋における支配的優位を持っている以上、
中国に対抗していく決意をもつ同盟諸国を支える一方で、海洋の領有権論争からは距離を置き、
朝鮮半島やインドシナなど、中国の国境線近くの米軍のプレゼンスを、弱めていくべきだ。
中国の台頭を警戒するよりも、自制路線をとれば、アメリカの国家安全保障利益を、より適切に擁護できるだろう」
(『Foreign Affairs Anthology vol.38』)
(引用終わり)
「実際にはみるべき価値のない島々の領有権問題…」
「アジアの複雑な領有権論争からも距離を置くべきだ…」
「海洋の領有権論争からは距離を置き…」
これが、米国政府の戦略だと思って間違いない。
米国の戦略は、よく考えられ、冷徹で、複雑である。
実際、中国の強硬路線は、対米軍事力に自信を持つために出てくるのではないのである。
イージス駆逐艦隊、11隻の米空母など、米国軍事力の質の高さに大きく見劣りすることを、中国は正確に認識している。
一方、米国は、中国を刺激すれば、中国の軍事的な近代化と拡大を招くだけだ、とわかっている。
つまり、戦争どころか、米・中が険悪な関係になること自体が、両国の国益に照らしてないのである。
米・中が争わず、日・中だけが、領土と資源を巡って緊張を高める。
しかも中国は、すでに米国が中立の立場で、日中戦争に参戦しないことを知っている。
双頭の米国には、日本の背中を中国に向けて押す、もうひとつの勢力がいる。
こうした3国の関係は、非常に危険である。
中国との戦争を避けるためには、現在の好戦的な政権を交代させ、もっと優れた政治家に、この国の牽引役を任せねばならない。
これからは、どんな小さな地方選だろうと、軽視してはならない。
確実に、反自・公勢力で勝ちとり、地方から中央に攻め上るのである。
わたしたち大人が諦めたとき、子供や孫たちの、銃をもたせられる未来が決まる。
メルマガ『兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相』
(無料・ほぼ週刊)
http://bit.ly/n3i2Oc
ブログ「兵頭に訊こう」
URL : http://m-hyodo.com/
E-Mail : novel@muf.biglobe.ne.jp
発行人 :兵頭正俊