ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

メディアが封じられる⇒多くの国民が「触らぬ神に祟りなし」と次第に黙り始める⇒そうなったらオシマイ

2013年12月14日 | 日本とわたし



特定秘密法 どんな未来が?

高校生 黒田 明希子(神奈川県 16)

「知らない」のはおそろしい
ツィッターで、治安維持法が可決した1925年の、東京朝日新聞の記事を知った。
「反対の叫び空しく 治安維持法けふ生る 衆議院本会議」とある。

治安維持法とは、社会主義運動などを阻止する目的だったが
結果的に宗教団体や右翼活動など、政府批判の言論や思想が、全て弾圧の対象になったと、中学で習った。
これを機に、日本は戦争の道を歩んだ。

6日、特定秘密保護法が可決された。
「歴史は繰り返す」と言う。
戦争を経験して、平和の尊さとはかなさを知る方々が減り、戦争を知らない私たちが残される。
この法律で、私たちの未来はどう変わるのか。

7月の参院選は、投票率が、戦後3番目の低さだった。
私には選挙権がないが、成人がせっかくの権利を放棄しているのはもったいない
最悪の事態を避けるため、声をあげなければ。
手に負えなくなってからジタバタするのでは遅いのだ。


初デモで感じた自分の責任
大学生 米山 咲(東京都 21)

5日、生まれて初めて、政治的デモに参加しました。
国会議事堂前、大声で、特定秘密保護法案の反対を叫ぶ人々。
必死に主張する姿に心が動かされ、切実な思いが国会に届かない悔しさに、胸が苦しくなりました。

参加前、私は、デモに嫌悪感を抱いていました
大きな音や過激な発言、もっと冷静に抗議する方法はないのかと、いつも思っていました
しかし、実際に参加して、傍観していた自分に気づきました
受験や就職活動など、目の前のことばかりに気をとられ、
自分が社会の一部であること、私たち若者が社会をつくっていくことを、忘れていたのです

6日、東京・日比谷野外音楽堂での集会。
テレビや新聞では感じられない、廃棄への強い思いがありました。
年配者の「子供や孫のために」という言葉に、守られることに慣れきっていた自分を恥じました
知らないでは済まされません
私たち若者は、もっとこの法律に、関心を持つべきです。





秘密保護法 これで政治家は失政の責任も追及されない
金子 勝(慶大教授)の『天下の逆襲』

とうとう「秘密保護法」が、強行採決の連発によって成立してしまった。
メディアは、「これは数を握った安倍政権の驕(おご)りだ」と批判している。
しかし、これは、単なる「驕り」というレベルではない
安倍政権の本質はファッショである。

もし、「アベノミクス」が破綻して、安倍内閣が他国との戦争を仕掛けたとしても、
秘密保護法によって、国民はなぜ戦争をするのか、その決定の背景さえ、知ることができなくなった


戦争の口実は、しばしば証拠のデッチ上げによる。
満州事変もイラク戦争も、そうだった。
たとえ安倍内閣が証拠をデッチ上げても、国民は確認することができないのだ。

「秘密保護法」が向いている先は、市民である。
アメリカに盗聴されているのに、安倍政権は抗議もせず、逆に、石破幹事長は、国民の「デモ」を「テロ」だと決めつけた。
石破発言は、一昔前なら、間違いなく辞任だったろう。
ところが、誰も辞任を求めない。

彼らは「戦争責任」を否定し、「失われた20年」の間、不良債権問題でも、原発問題でも、
「政官財」のリーダーは、誰ひとりとして責任を取ってこなかった。
失敗をしても責任を取らないものは、必ず追及する声を封じようとする。
それが、秘密保護法
である。

実際、安倍政権は、原発再稼働、TPP交渉参加、普天間基地問題について、選挙公約を公然と裏切り、
公約になかった秘密保護法を強行採決した

これでは、選挙も議会制民主主義も、意味がなくなってしまう。
国民を騙して、議会で多数を握り、解釈改憲で集団的自衛権を認め、いつでも戦争ができるようにして、
「秘密保護法」で言論を封じる

麻生太郎が「ナチスの手口を学べ」と言ったとおりである。

歴史の教えに従えば、最悪なのは、メディアが封じられると、しだいに多くの国民が、触らぬ神にタタリなしとなり、黙りはじめることだ。
そうなったらオシマイだ。
民主主義のない、風通しの悪い社会が、うまくいったためしはない。
おバカなリーダーが暴走しても、誰も止められなくなるからだ。
安倍首相は選挙で、「日本を取り戻す」と絶叫したが、取り戻すのは「戦前の日本」だったようだ。




すぐにフワフワ浮き上がる首相の「軽さ」
ジャーナリスト 高野 孟・永田町の裏を読む

秋の国会の最大焦点だった、特定秘密保護法案が何とか成立し、安倍晋三首相も菅義偉官房長官も、さぞかしご満悦で、
このまま普天間基地の辺野古移転、集団的自衛権の解禁へと、高空飛行を続けようと張り切っているにちがいないーーと思いきや、
「それがそうでもないんだ」と、彼らの周辺に出入りしている、ベテラン政治記者が言う。
安倍は、実は、秘密保護法案が、こんな騒ぎになるとは思っていなかった
というか、この法案そのものを、あまりよく分かっていなかった
「エッ、どういうこと?」
「もともとは、外務省サイドから、NSCをつくって米国から機密情報をもらうには、この法案整備が必要だと言われて、
『そりゃそうだろうな』くらいの軽い気持ちで考えていた

ところが、実際の法案作りは、内閣情報調査室(内調)が担当で、内調といえば、公安・外事警察の出城みたいなものだから、
警察官僚が張り切って、本来の軍事・外交情報の保護という域を超えて、何でもかんでも取り締まれる、戦前の国防保安法並みの法案を作ってしまった
安倍は途中で気がついて、『ちょっとやりすぎじゃないか』と思ったらしいが、もう走り始めていたから、仕方がない。
最後までいってしまったんだ」

しかし、〝知恵者〟と言われている菅が、チェックしなかったのか。
「そこが問題で、安倍と菅の間が、あまりうまくいっていない。
安倍が、これも外務省OBから、『集団的自衛権の見直しには、まず、内閣法制局長官のクビをすげ替えることだ』と、変な知恵をつけられ
菅は『そんな無茶をしてはいけない』と反対したのに、安倍が強行した。
菅は参院選直後から、これでイイ気になって安倍が跳びはねれば、政権が危ないとみて、
『勝って兜(かぶと)の緒を締めよ、です。経済、経済でいきましょう』と忠告していたのに、それを無視されてむくれてしまった。
利口なやつだから、顔に出さないようにしているが、腹の中では『コケでも知らんぞ』くらいに思っているのでは」と、
このベテラン政治記者は言う。

前に本欄で書いた、集団的自衛権見直しの報告書発表を、来夏まで延期させたのも、公明党と菅の連係プレーだ。
フワフワと浮き上がりやし安倍の〝重し〟が菅で、それが効かなくなると、内閣の先行きは、思いのほか危ない。
コメント
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