原発の再稼働?
この3つのビデオ↓を観てもなお、そう言える、そう思える人は、もう救い様がないほどに病んでいる!
2年前の今頃、このビデオを見つけました。
観てみて、あまりの内容に胸を突き動かされ、一日かけて文字起こしをしました。
それを、『原子力ムラに閉じ込められ、不安と恐怖を身ごもったまま人生を終わりとうなかったら、知れ!闘え!』という記事にして載せました。
つい先日、金吾さんが、この続きのビデオを、文字起こしとともに、彼のブログに掲載してくれていたのを知りました。
続きだけを載せようかと思ったのですが、これはやはり、はじめのものから続けて、何度でも観てもらいたいと思い直し、もう一度、パート1から載せさせてもらいます。
映像の中に、3月11日に起きた地震と津波の映像が含まれています。
数分間ですが、もし観ることで体調や心に負担がかかると思われる方は、その間だけ画像から目を離すなどしていただければと思います。
ごめんなさい。
以下、文字起こし。
『我々は放射能から身を守り、警察から外人と見破られないよう、防護服を着こんだ。
汚染され、破壊した原発が立っているのは、立ち入り禁止区域だ。
そこに連れて行ってくれることになっている、男性と落ち合った。
なにが本当にそこで起きているか、彼に見せてもらうためだ。
ナカ・ユキテル氏は原子力分野のエンジニア会社の社長で、もう何十年間も、原発サイトに出向いて働いてきた。
フクシマでも、だ。
私たちは見破られず、無事チェックポイントを通過した。
作業員たちが作業を終え、原発から戻ってきたところだった。
3月11日に起こったことは、これから日本が遭遇するかもしれぬことの、前兆に過ぎないのかもしれないことが、次第にわかってきた。
そして、その危険を理解するには、過去を理解することが必要だ。
私たちは、立ち入り禁止区域の中、事故の起きた原発から、約7キロ離れたところにいる。
ナカ氏は、ここで生活をし、福島第一と、福島第二の間を、股にかけて仕事をしてきた。
ナカ氏と彼の部下は、何年も前から、原発の安全性における重大な欠陥について、注意を喚起してきた。
しかし、誰も耳を貸そうとしなかった。
ナカ氏
「私の話を聞いてくれた人はほんのわずかな有識者だけで、その人たちの言うことなど、誰も本気にしません。
日本では、その影響力の強いグループを、呼ぶ名前があります。
原子力ムラ、というのです。
彼らの哲学は、経済性優先です。
この原子力ムラは、東電、政府、そして大学の学者たちでできています。
彼らが、重要な決定を、すべて下すのです。
私たちは、東京で、菅直人と独占インタビューした。
彼は、事故当時首相で、第二次世界大戦以来、初の危機に遭遇した日本を、リードしなければならなかった。
彼は、唖然とするような内容を、次々に語った。
たとえば、首相の彼にさえ、事実を知らせなかったネットワークが、存在することを。
マスメディアでは、彼に対する嘘がばらまかれ、彼は辞任に追い込まれた。
彼が、原子力ムラに対抗しようとしたからである。
菅氏
「最大の問題点は、3月11日が起こるずっと前に、しておかなければいけないものがあったのに、何もしなかったことです。
原発事故を起こした引き金は、津波だったかもしれないが、当然しておくべき対策をしなかったことが、問題なのです。
この過失は、責任者にあります。
つまり、必要であったことをしなかった、という責任です」
では、原発事故の原因は、地震と津波ではなかったのか?
原子力ムラの足跡を辿っていくと、嘘、仲間意識と犯罪的エネルギーの、網の目に遭遇する。
調査は、2つの大陸にまたがった。
まず、カリフォルニアに飛んだ。
目的地は、サン・フランシスコである。
私たちは、ある男性と、話を聞く約束をしていた。
彼は長年、原子炉のメンテナンスの仕事で、フクシマにも何度も来ており、かなり深刻なミスや事故を、東電が隠蔽するのに遭遇した。
フクシマの第1号原子炉は、70年代初めに、アメリカのジェネラルエレクトリック社が建設し、それ以来、アメリカのエンジニアが、点検を行ってきた。
そして、フクシマでは、何度も問題があった。
ドイツZDF記者
「東電は、点検後、なにをあなたに求めたのですか?」
スガオカ氏
「亀裂を発見した後、彼らが私に言いたかったことは、簡単です。
つまり、黙れ、ですよ。
何も話すな、黙ってろ、というわけです。
問題があるなど許されない。
日本の原発に、問題など想定されていない」
アメリカのエンジニア、ケイ・スガオカ氏も、それを変えようとすることは、許されなかった。
スガオカ氏
「1989年のことです。
蒸気乾燥機で、ビデオ点検をしていて、そこで、今まで見たこともないほど大きい、亀裂を発見しました」
スガオカ氏と同僚が発見したのは、それだけではない。
スガオカ氏
「原子炉を点検している同僚の目が、みるみる大きくなったと思うと、彼がこう言いました。
蒸気乾燥機の向きが、反対に取り付けられているぞ、と」
もともと、この原発の中心部材には、重大な欠陥があったのだ。
スガオカ氏は、点検の主任だったので、正しく点検を行い、処理をする責任があったのだが、彼の報告は、東電の気に入らなかった。
スガオカ氏
「私たちは、点検で、亀裂を発見しましたが、東電は私たちに、ビデオでその部分を消すよう、注文しました。
報告書も書くな、と言うのです。
私は、サインしか、させてもらえませんでした。
私が報告書を書けば、180度反対に付けられている、蒸気乾燥機のことも、報告するに決まっている、と知っていたからです」
ドイツZDF記者
「では、嘘の文書を書くよう、求めたわけですか?」
スガオカ氏
「そうです、彼らは我々に、文書の改竄を要求しました」
スガオカ氏は、仕事を失うのを怖れて、10年間黙秘した。
GE社に解雇されて初めて、彼は沈黙を破り、日本の担当官庁に、告発した。
ところが、不思議なことに、告発後何年間も、なにも起こらなかった。
日本の原発監督官庁は、それをもみ消そうとしたのだ。
2001年になってやっと、スガオカ氏は、「同士」を見つけた。
それも、日本のフクシマで、である。
18年間、福島県知事を務めた、佐藤栄佐久氏は、当時の日本の与党、保守的な自民党所属だ。
佐藤氏は、古典的政治家で、皇太子夫妻の旅に、随行したこともある。
始めは彼も、原発は、住民になんの危険ももたらさない、と確信していた。
だが後に、その信頼を、どんどん失っていった。
佐藤氏
「福島県の、原発で働く情報提供者から、約20通ファックスが届き、その中には、スガオカ氏の告発も入っていました。
経産省は、その内部告発の内容を確かめずに、これら密告者の名を、東電に明かしました。
それからわかったことは、私も、初めは信じられませんでした。
東電は、報告書を改ざんしていた、というのです。
それで私は、新聞に記事を書きました。
そんなことをしていると、この先、必ず大事故が起きる、と」
それでやっと、官僚たちも、なにもしないわけにはいかなくなり、17基の原発が、一時停止に追い込まれた。
調査委員会は、東電が、何十年も前から、重大な事故を隠蔽し、安全点検報告で、データを改竄してきたことを、明らかにした。
それどころか、フクシマでは、30年も、臨界事故を隠してきたという。
社長・幹部は、辞任に追い込まれ、社員は懲戒を受けたが、皆新しいポストをもらい、誰も起訴されなかった。
一番の責任者であった、勝俣恒久氏は、代表取締役に任命された。
彼らは、佐藤氏に、報告書の改竄に対し謝罪したが、佐藤氏は安心できず、原発がどんどん建設されることを懸念した。
そこで佐藤氏は、日本の原発政策という、「暗黙のルール」に違反してしまった。
2004年に、復讐が始まった。
佐藤氏「12月に、不正な土地取引の疑いがある、という記事が、新聞に載りました。
この記事を書いたのは、本来は、原発政策担当の記者でした。
この疑惑は、完全にでっち上げでした。
弟が逮捕され、首相官邸担当の検察官が、一時的に福島に送られて、検事を務めていた。
彼の名は、ノリモトという名で、『遅かれ早かれ、お前の兄の知事を抹殺してやる』と、弟に言ったそうです。
事態は更に進み、県庁で働く200人の職員に、圧力がかかり始めました。
少し、私の悪口を言うだけでいいから、と。
中には2、3人、圧力に耐え切れずに、自殺をする者さえ出ました。
私の下で働いていた、ある部長は、いまだ意識不明のままです」
それで、同僚や友人を守るため、佐藤氏は辞任した。
裁判で、彼の無罪は確定されるが、しかし、沈黙を破ろうとした「邪魔者」は、こうして消された。
これが、日本の社会を牛耳る、大きなグループの復讐だった。
そしてこれこそが、日本で、『原子力ムラ』と呼ばれるグループである。
菅氏
「ここ10~20年の間、ことに、原子力の危険を訴える人間に対する、あらゆる形での圧力が、非常に増えています。
大学の研究者が『原発には危険が伴う』などとでも言おうものなら、出世のチャンスは、絶対に回ってきません。
政治家は、あらゆる援助を、電力会社などから受けています。
しかし、彼らが、原発の危険性などを問題にすれば、そうした援助は、すぐに受けられなくなります。
反対に、原発を推進すれば、多額の献金が入り込みます。
それは、文化に関しても同じで、スポーツやマスコミも含みます。
このように、網の目が細かく張りめぐらされて、原発に対する批判が、まったくなされない環境が、作り上げられてしまいました。
ですから、原子力ムラというのは、決して小さい領域ではなくて、国全体にはびこる問題なのです。
誰もが、この原子力ムラに、閉じ込められているのです」
東電から、献金を受け取っている、100人以上の議員に、菅首相は立ち向かった。
その中には、前の首相もいる。
やはり、彼と同じ、政党所属だ。
ネットワークは、思う以上に大きい。
多くの官僚は、定年退職すると、電事業関連の会社に、再就職する。
1962年以来、東電の副社長のポストは、原発の監査を行うエネルギー庁の、トップ官僚の指定席だ。
これを、日本では、『天下り』と呼んでいる。
しかし、反対の例もある。
東電副社長だった、加納時男氏は、当時与党だった自民党に入党し、12年間、日本のエネルギー政策を担当し、それからまた、東電に戻った。
このネットワークについて、衆議院議員の、河野太郎氏と話した。
河野氏の家族は、代々政治家で、彼の父も外相を務めた。
彼は、第二次世界大戦後、日本を約60年間に渡り支配した、自民党に所属している。
原発をあれだけ、政策として推進してきたのは、自民党である。
河野氏
「誰も、日本で、原発事故など起こるはずがない、と言い続けてきました。
だから、万が一のことがあったらどうすべきか、という準備も、一切してこなかったのです。
それだけでなく、原発を立地する地方の行政にも、危険に対する情報を、なにひとつ与えてこなかった。
いつでも、お前たちは、なにも心配しなくていい。万が一のことなど、起こるはずがないのだから、と。
彼らはずっと、この幻想をばらまき、事実を歪曲してきた。
そして今やっと、すべて嘘だったことを、認めざるを得なくなったのです」
この雰囲気(虚構?)が、2011年3月11日に壊れた。
日本が、これまでに遭遇したことのない、大事故が起きたからだ。
14時46分に、これまでの中で最大規模の、地震が襲った。
マグニチュード9だった。
しかし、地震は、太平洋沖で始まった、その後のホラーの引き金に過ぎなかった。
時速数百キロという、激しい波が、津波となって、日本の東部沿岸を襲った。
津波は、場所によっては、30メートルの高さがあり、町や村をのみこみ、消滅させてしまった。
約2万人の人々が、この津波で、命を失った。
そして、福島第一にも、津波が押し寄せた。
ここの防波堤は、6メートルしかなかった。
津波の警告を本気にせず、処置を取らなかった、東電や原発を監査する当局は、警告を無視しただけでなく、立地場所すら、変更していたのだ。
菅氏
「もともとは、原発は、35mの高さに建てられる予定でした。
しかし、標高10mの位置で、掘削整地し、そこに、原発を建設したのです。
低いところの方が、冷却に必要な海水をくみ上げやすい、という理由で。
東電がはっきり、この方が、経済的に効率が高い、と書いています」
巨大な津波が、地震で損傷を受けた福島第一を、完全ノックアウトした。
まず電源が切れ、それから非常用発電機が、津波で流されてしまった。
あまりに低い場所に、置いてあったからである。
電気がなければ、原子炉冷却はできない。
菅氏
「法律では、どの原発も、非常用電源センターを用意することが、義務付けられています。
福島第一では、その電源センターが、原発から5キロ離れたところにあります。
これは、津波の後、1分と機能しなかった。
それは、職員が、地震があったために、そこにすぐたどりつけなかったからです。
それで、電源は失われたままでした。
こうして、送電に必要な器具は、すべて作動しませんでした。
つまり、非常用電源センターは、本当の非常時に、なんの機能も果たさなかった、ということです。
法律では、原発事故と地震が、同時に起こるということすら、想定していなかったのです」
菅直人はこの時、原発で起こりつつある非常事態について、ほとんど情報を得ていなかった。
首相である彼は、テレビの報道で初めて、福島第一で、爆発があったことを、知ることになる。
菅氏
「東電からは、その事故の報道があって、1時間以上経っても、なにが原因で、どういう爆発があったのかという説明が、一切なかった。
あの状況では、確かに、詳しく究明することは、難しかったのかもしれないが、
それでも東電は、状況を判断し、それを説明しなければいけなかったはずです。
しかし、それを彼らは、充分に努力しませんでした」
2011年3月15日、災害から4日経ってもまだ、東電と保安院は、事故の危険を、過小評価し続けていた。
しかし東電は、菅首相に内密で会い、職員を、福島第一から撤退させてもいいか、打診した。
「今撤退させなければ、全員死ぬことになる」、というのだ。
菅氏
「それで私は、まず、東電の社長に来てもらい、『撤退はぜったい認められない』と伝えた。
誰もいなくなれば、メルトダウンが起き、そうすれば、莫大な量の放射能が、大気に出ることになってしまう。
そうなってしまえば、広大な土地が、住めない状態になってしまいます」
菅は初めから、東電を信用できず、自分の目で確かめるため、ヘリコプターで視察した。
しかし、首相である彼にも、当時伝えられていなかったことがあった。
フクシマの、3つの原子炉で、すでにメルトダウンが起きていた、ということだ。
それも、災害の起きた、3月11日の夜にすでに。
菅氏
「東電の報告にも、東電を監査していた保安院の報告にも、燃料棒が損傷しているとか、メルトダウンに至った、などということは、一言も書かれていなかった。
3月15日には、そのような状況には、まだ至っていない、という報告が、私に上がっていました」
事故から、ほぼ1年が経った、東京。
世界中で、あらゆる専門家が予想していた、メルトダウンの事実を東電が認めるまで、なぜ2ヶ月も要したのか、私たちは聞こうと思った。
自然災害が起きてからすぐに、この原発の大事故は、起きていたのである。
ドイツZDF記者
「原子炉1号機、2号機そして3号機で、メルトダウンになったことを、東電はいつ知ったのですか」
東電・松本氏
「私どもは、目で見るわけにはいきませんが、上がってきましたデータをもとに、事態を推定し、
燃料棒が溶け、おそらく圧力容器の底に溜まっているだろう、という認識に達したのは、5月の初めでした」
膨大なデータに、身を隠そうとする態度は、今日も変わらない。
東電は、毎日行う記者会見で、これらのデータを見せながら、事態はコントロール下にある、と言い続けている。
しかし、これらのデータの中には、本当に、責任者たちはなにをしているのかわかっているのかと、疑いたくなるような情報がある。
たとえば、スポークスマンは、ついでのことのように、放射能で汚染された冷却水が、「消えてしまった」と説明した。
理由は、「原発施設ではびこる雑草で、ホースが穴だらけになっている」という。
ドイツZDF記者
「放射能で汚染された水を運ぶホースが、雑草で穴が開くような材料で、できているというのですか?」
東電・松本氏
「草地に配管するのは、私たちも初めてのことですが、穴があくなどのことについては、知見が不十分だった、と思っています」
しかし、原発の廃墟を、さらに危険にしているのは、雑草だけではない。
私たちは、富岡町に向かった。
ゴーストタウンだ。
原発廃墟の福島第一から、7キロのところにある。
私たちは、ナカ氏に便乗した。
彼のような住民は、個人的な物を取りに行くためだけに、短時間だけ、帰ることが許されている。
彼は、地震に見舞われた状態のまま放り出された会社を、見せてくれた。
今では、放射能のため、ここに暮らすことはできない。
ナカ氏
「この木造の建物は、とても快適でした。
とても静かで、夏は涼しく、冬は暖かかった。
私たちは、皆ここで、幸せに暮らしていました」
80人の、原発専門のエンジニアが、彼のもとで働いており、原発事故後も、事故をできるだけ早く収束しようと、努力している。
ナカ氏と、彼の社員は、原発廃墟で、今本当に、なにが起きているのか、知っている。
ナカ氏
「私たちの、最大の不安は、近い将来、廃墟の原発で働いてくれる専門家が、いなくなってしまうことです。
あそこで働く者は、誰でも、大量の放射能を浴びています。
どこから、充分な数の、専門家を集めればいいか、わかりません」
しかし、まだ被爆していない、原発の専門家を集めなければ、事故を収束するのは、不可能だ。
例え、これから40年間、充分な専門家を集められたとしても、日本も、世界をも、変えてしまうことになるかもしれない、一つの問題が残る
ドイツZDF記者
「今、原発は安全なのですか?」
ナカ氏
「そう、東電と政府は言っていますが、働いている職員は、そんなことは思っていません。
とても危険な状態です。
私が一番心配しているのは、4号機です。
この建物は、地震でかなり損傷しているだけでなく、この4階にある、使用済み燃料プールには、約1300の、使用済み燃料が、冷却されています。
その上の階には、新しい燃料棒が保管されていて、非常に重い機械類が、置いてあります。
なにもかも、とても重いのです。
もう一度、大地震が来れば、建物は崩壊してしまうはずです。
そういうことになれば、また新たな臨界が、起こるでしょう」
このような臨界が、青空の下で起これば、日本にとって、致命的なものとなるだろう。
放射能は、すぐに致死量に達し、原発サイトで働くことは、不可能となる。
そうすれば、高い確率で、第1、2、3、 5、 6号機も、すべてが抑制できなくなり、まさに、この世の終わりとなってしまうだろう。
東京で、著名な地震学者の、島村英紀氏に会った。
2月に、東大地震研が、地震予知を発表したが、それによれば、75%の確率で4年以内に、首都を、直下型地震が襲う、と予測されている。
ドイツZDF記者
「このような地震があった場合に、原発が壊滅する確率は、どのくらいだとお考えですか?」
島村氏
「はい、確率はとても高いです」
ドイツZDF記者
「どうしてですか?」
島村氏
「計測している、地震揺れ速度が、これまでの予測より、ずっと速まってきています。
私たちは、ここ数年千以上の、特別測定器を配置して、調査してきましたが、想像以上に地震波が強まり、速度も増していることが、わかったのです」
これは、日本の建築物にとって、大変な意味を持つだけでなく、原発にとっても、重大な問題となることを、島村氏は説明する。
島村氏
「これが、原発の設計計算です。
将来、加速度300~450ガルの、地震が来ることを想定しています。
そして、高確率で発生しないだろう地震として、600ガルまでを想定していますが、
この大きさに耐えられる設計は、原子炉の格納容器だけで、原発のほかの構造は、それだけの耐震設計が、されていないのです。
しかし、私たちの調査では、最近の地震の加速度が、なんと4000ガルまで達したことが、わかっています。
想定されている値より、ずっと高いのです」
ドイツZDF記者
「電気会社は、それを知って、増強をしなかったのですか?」
島村氏
「今のところ、何もしていません、不十分であることは確かです。
これだけの地震に、耐えられるだけの設計をしよう、などというのは、ほとんど不可能でしょう」
ここは、原発廃墟から、60キロ離れた場所だ。
フクシマ災害対策本部では、東電、保安院、福島県庁が共同で、原発の、地獄の炎を鎮火するための、闘いの調整をはかっている。
私たちは、東電の災害対策部責任者に、インタビューした。
ことに、彼に訊きたいのは、どうやって今後、これだけ損傷している原発を、大地震から守るつもりなのか、ということだ。
ことに、危ぶまれている、4号機について訊いた。
東電・白井氏
「4号機の使用済み燃料プールには、夥しい量の、使用済み燃料が入っています。
これを、すべて安全に保つためには、燃料プールの増強が必要です。
燃料プールのある、階の真下に、新しい梁をつけました」
ドイツZDF記者
「原発は、ほとんど破壊した、といってもいいわけですが、
原発が健在だった1年前ですら、大地震に耐えられなかった構造で、どうやって、次の地震に備えるつもりなのでしょうか?」
東電・白井氏
「我々は、耐震調査を、4号機に限らず、全体で行いました。
その結果、問題ない、という判断が出ています」
ドイツZDF記者「でも、地震学者たちは、4000ガルまでの地震加速度が測定されていて、これだけの地震に耐えられるだけの原発構造はない、と言っています。
半壊状態のフクシマの原発の真下で、そのような地震が来ても、全壊することはないと、なぜ確信がもてるのですか?」
東電・白井氏「その、4000ガルという計算は、別の調査ではないでしょうか?
それに関しては、私は何とも言いかねます」
ドイツZDF記者
「原発を、日本で稼動させるだけの心構えが、東電にできている、とお考えですか?」
東電・白井氏
「……(長い長い沈黙の後)それは、答えるのが難しいですね」
線量計のピッピッピッという音。3.36という数値。
ナカ氏
「これが、やってきたことの結果です。
この結果を、人類は、ちゃんと知るべきだと思います。
一緒に、未来の政策を、つくっていくことができるように」』
上のビデオを、金吾さんが文字起こしをしてくださいました。
このブログの字数制限のため、文字の強調ができませんが、とても判り易くまとめてくださっているので、動画を観ながら読んでみてください。
フクシマの嘘 其の弐(隠ぺい・詭弁・脅迫) 翻訳全文
福島第一原発事故発生から三年が過ぎたが、今でも緊急事態である
2020年日本はオリンピックを開催する
日本政府は世界を安心させようとした
「みなさんに保証しましょう 事故はコントロールされております」
首相の宣言がどこまで信用できるのか、われわれは調べることにした
調査はわれわれを犯罪社会の心臓部に導く…
「ヤクザの手先が人を集めて福島に派遣しています」
われわれは惨事の真の大きさが隠ぺいされていることを突きとめた
事故現場から遠い場所の調査を科学者に見せてもらった
「高濃度に汚染されたホットスポットや放射能が集積する場所を発見しました」
すべてコントロールされているのか?
「残念ながらアウト・オヴ・コントロール…」
「…ですから放射能は環境に漏れ、汚染が毎日広がっている状況です」
双葉町は 福島第一原発と目と鼻の先にある
特別許可を得て 数時間だけ滞在が許される
いわゆる“閉鎖区域”だ
ここに住むこととは、おそらく永遠に誰にも許されない
町のキャッチフレーズは、「原子力 明るい未来のエネルギー」
それは別の時代のことだった
元双葉町町長 井戸川克隆さん
古いサムライの家系出身だ
五百年以上この地に続いた家系である
名誉 誠実 責任感が、家訓として代々伝えられてきた
「子孫の私は井戸川家の墓守です」
「ご先祖様の墓を守り世話をする義務があります」
「そして次の世代に伝えなければなりません」
「しかしこの状態では引き継ぐ人は誰もいません」
「一生の間 ご先祖さまに妻としての誇りを伝えたいと思ってました」
「それができないなんて胸が引き裂かれる思いです」
戦争、地震、津波を乗り越えた井戸川家の歴史が、今 双葉で終わろうとしている
「誰も原発事故の責任を取らない恥知らずばかりだ…」
「電気会社がこんなに勝手にふるまえるのは日本だけです」
「彼らは自分のことしか考えていません」
「政府はやりたい放題やらせ政治家は原発ロビーのいいなりです」
「それを世界中の人々に知っていただきたい」
京都大学の原子炉実験所
小出裕章と会える約束だ
40年間 原子力物理を研究している小出氏は、事故発生当時から福島の状況を見守っている
なぜ福島がコントロールされていないか彼は説明してくれた
「一号基から三号基の溶けた燃料がどこにあるのか誰もわかりません」
「けれど冷却は必要なので建て屋に送水を続けています」
「溶けた燃料のせいで水は汚染されます」
「建て屋は割れ目だらけなので地下水が流れ込みます」
「東電はこの水を循環させると言ってタンクに一時貯蔵しています」
「けれど全部の水は回収できません」
「原発敷地一帯が放射性の泥沼のような状態になってしまいました」
「周辺の井戸水からは高濃度の放射能が検出されました」
「もちろん一部は海に流れています」
全面水浸しのフロア
どこかこの下に溶けた燃料がある
最新ニュースによれば 井戸水から500万ベクレル/リットルのストロンチウムを発見していたことを東電は半年間隠していた
今でさえ毎日200トン以上の高濃度汚染した地下水が海に流れている
さらに回収される汚染水40万リットルを毎日タンクに貯蔵しないといけない
総量は今では四億リットルを超えたひどい事故も多い
東電が経費を削減したタンクは放射能に耐えられず、始終水漏れをするからだ
「政府は これまで放出された放射能は、広島原爆たった168発分だと言っています」
「チェルノブイリの五分の一です」
「しかし福島からは常に汚染水が海に流れています」
「私はこれまで環境に放出された放射能は、チェルノブイリと同じ量だと思います」
「しかも福島は現在も進行中です」
しかし何故ここまで放っておかれたのか?
われわれは東京で馬渕澄夫を訪ねる
事故当時の大臣で事故応対担当官だった
事故発生後すぐ 東電が事故の大きさを隠ぺいしていると疑った
「汚染水が流出しているかと聞くと東電はしていないと答えました」
「地下水は? と聞くと心配する必要ないと東電は答えました」
「私は疑惑をもったので専門家に地下水の調査を命じました」
たちまち東電の嘘は明らかになった
馬渕が集めた企業や科学の専門家チームは、一日に10万リットルの地下水が、原発に向って流れることを突き止めた
原発で放射能汚染したその水が太平洋に流れる恐れがある
「早急に阻止しなければなりませんでした」
「時間がない」
「すぐに遮水壁を建設しなければ…」
事故発生から3ヵ月後の六月十四日
馬渕氏は記者会見を行なって、計画を発表する予定だった
原発地下に粘土製の遮水壁を建設する計画だ
しかし東電が反対した
ZDFは記者会見の前日に書かれた東電の機密書類を入手した
“現在有価証券報告書の監査期間中であり
会計監査人が建設の見積もりの記載を
求める可能性が高い“
さらには:
“…市場が厳しい反応を示すことになりかねない。
市場は当社が債務超過に一歩近づくと評価するだろう。
これは是非回避したい。“
裏で工作が行なわれ記者会見は立ち消えた
原発には今も遮水壁はない
「金を出したくなかったのですね」
「私はうるさく要求を続けたので間もなく解任されました」
「私を切れば 私だけでなく専門家チームも全員いなくなりますから」
舞台裏で糸を引く目に見えない強大な原発ロビーとは
企業、銀行、政治家、官僚、科学者、そしてマスコミから成る
この“原子力ムラ“に反抗すると首相でさえ退任に追い込まれる
彼に浴びせられた中傷は、後にすべて嘘だったことがわかった
事故から3年たった今、彼は批判の声をあげる
「背景にあったのは原子力ムラの要求です」
「菅直人を早急に首相の座からおろせという」
「陰謀でした」
「そう思っています」
そして原子力ムラは、この男を担ぎ出した
現在の首相安倍だ
2020年オリンピック開催地を選考する会場で、安倍は日本の新たな信条を世界に向けて宣言した
「福島の心配をされる方もいらっしゃるようですが」
「現場はコントロールされていると保証させていただきましょう」
「現政権は原子力ムラの人員を諮問委員会に登用しています」
「新しい原発の建設を推進する人たちです」
「彼らは今 反撃を始めています」
とあるホテルで放射能汚染の専門家に会えることになった
大きな研究所の責任者だ
しかし大学やホテル、町の名は極秘だ
研究内容も放映できない、素性がバレる手掛りは、いっさい放送しない約束だ
「去年の十月初旬までは普通に話すことができました」
「ところがその後 行政からの指示で、テレビに出たり マスコミと接触することを禁じられました」
「オリンピック開催地の選考で、安倍首相は宣言しました」
「“福島はコントロールされている”と」
「その後に出た指令で私たちは調査結果をマスコミに発表することを禁止されたのです」
「どのような調査なのですか?」
「福島第一原発事故後の現場のあらゆる基礎データです」
「私たちは現場でサンプル採取し汚染を検査しています」
「本当はコントロールなどされていません」
指示に従わなければ 予算は停止し同僚はみんな失業する
それを恐れている
「どっちみち日本のマスコミは、このテーマを避けてます」
と彼は言い足した
われわれを案内するのは、京大防災研究所の山敷庸亮氏
山敷氏たちは海や河川の放射能汚染を調査している
東電や政府の主張では 汚染は原発に隣接する水域に限定されている
山敷氏たちは仙台湾の海水と土を採取する
福島第一原発からは、80キロ離れている
原発から遠い場所の取材は、われわれにとって初めてではない
調査結果は衝撃的だった
「汚染は直接フォールアウトがあった所や原発が水漏れしている所だけだと最初は考えていました」
「しかし阿武隈川流域一帯が、汚染していることがわかったのです」
「私たちの試算では毎年10テラベクレルのセシウムが川から海に運ばれています」
「事故当初に原発から海に流出した量とほぼ同じです」
阿武隈川は原発から遠いだけに、この結果は衝撃的だ
それでも河床は高濃度のセシウムに汚染されているのだ
原因は 雨や雪が降下した放射性物質を洗い流すことだ
それが小川や支流に運ばれて、阿武隈川に集積する
そして川から海に注ぐ
つまり食物連鎖は 今後何十年もセシウム汚染され得るということだ
誰も注意しない汚染源から…
「この二、三年誰もこのテーマに注目しませんでした」
「国や地方行政は市町村の除染に夢中です」
「でも海に汚染が流出してることには、注意を払いません」
「この事実は無視されてるわけです」
日本政府は原発周辺の海では、漁業を禁止した
しかし80キロ北の海域は関係ない
一週間後 京都近畿大学で河口の泥土サンプル分析結果を山敷博士が見せてくれた
海流や地形に応じて太平洋のセシウム汚染レベルは異なるが、場所によって汚染値は、はっきり上昇している
「状況はコントロールされてるのですか?」
「難しい質問ですね…」
「調査結果はいったん置きましょう」
「これは許容基準値の問題だからです」
「日本政府は基準値を改定しました」
「新しい基準値では8000Bq/Kg 以下は危険ではないんですよ」
「でも事故前の基準値は、100Bq/Kgでしたから驚きです」
「調査結果をもう一度確かめましょう」
「どれも8000ベクレル以下でしょう?」
「するとみんな大丈夫だと安心して、忘れてしまうのです」
「でも私とってこれは、とても高い汚染値です」
「人々はもっと注意するべきですね」
「誰もこの結果に注目しなければ、政府は何もしません」
こんな簡単なトリックで政府は窮地を脱しているのだ
許容基準値さえ引き上げれば、問題は解決し 対策もいらない
“臭いものにはフタ”というわけだ
畜産農家吉沢正巳さん
牧場には350頭の牛がいる
視界には原発も見える
閉鎖区域の端だ
かつて畜産は繁盛していた
しかし2011年3月の原子炉爆発で、すべては終わった
牛はもう売れない
そのワケは…
「こういうところの草を食べてるから」
「放射能汚染した草を一年中食べている」
「そのせいで 皮膚に白斑が出るのだと思います」
「牛は外部被曝と内部被曝の両方をしてるんです」
「犬だって被曝してます」
吉沢さんは生き物を見捨てられず、外からエサを入手して与えている
-寄付金も寄せられるが牛には足りない…
牛たちを調査すれば、放射能の影響が突き止められる
すでに影響は確認できると、吉沢さんは信じている
「こんな風な…こういう斑点です」
「昔はなかったのですか?」
「40年牛を飼ってますが、こういうのは初めてです」
「原因は何でしょう?」
「獣医も皮膚病ではないと言いました」
「皮膚病ではないのに、こういう白斑が出るんです」
「どうしてなのか、私にはわかりません」
「昔から牛を飼ってますが…」
「こんなことは初めてです」
「放射能の影響を考慮せずには、原因は突き止められません」
近所の農家の家畜にも同じナゾの現象が現われている
行政から検査チームが派遣された
その結果 緊急指示が出た
「政府は 二度検査を行ないました」
「科学者がたくさん来て何もかも調べました」
「その結果 殺処分せよという指示が出たんです」
「生かしておくと困ることになるから、だから殺処分しろと」
「でも私は殺しません」
「政府が牛が生きていると困るのは、証拠が残るからだと思います」
「だから牛を処分しろと」
しかし汚染しているのは、牛だけではない
双葉町に戻る
かつては住民一万人
ほとんどが原発で働いていた
町は今では原発事故閉鎖区域だ
原子炉が爆発した時、多くの住民が高い被爆をした
井戸川町長もその一人だ
「ちょうど病院を避難中で、患者さんや職員が車に乗ろうとしてました」
「その時 凄まじい爆音がしたのです」
「最初の爆発です」
「直後に灰が降ってきました」
「とても強い放射能だったと思います」
「みんな死ぬのだと思いました」
事故後初めて井戸川夫妻は、双葉町の家に帰る
除草剤を持参した
二度とここに住めないと、まだ受け入れられないのだ
首都圏のこの学校が、つい最近まで二人の仮住居だった
原発事故被害者およそ千人と一緒に…
井戸川さんは死の灰を吸って以来、喉の痛み 頻発する鼻血 目や胃の痛み 疲労感に苦しんでいる
爆発後 行政は内部被曝の検査を実施した
放射性ヨウ素とセシウムが、何十万ベクレルも測定された
しかしその影響については、何も教えてもらえない
「福島医大は 事故の放射能で健康被害の出た人はいないと言っています」
「でも直接被ばくをした私たちは未だに何の検査も受けていないのです」
「真実を知り きちんと治療してほしいと私は思います」
2011年に福島で行なわれた説明会のビデオを見れば
日本政府が健康被害をどのように扱っているか はっきりわかる
福島の医療トップアドバイザー山下教授
彼を任命したのは日本政府
“放射能の被害はニコニコしている人には来ません“
“しかしクヨクヨしていると来ます“
“これは動物実験でも証明されています”
「日本政府は非人間的です」
「それがはっきりわかりました」
「私たちはバカにされているのです」
「色々な思いがありますが…非常に激しい怒りを持ってます」
(テロップ)仙台駅 福島原発から100Km
仙台駅
除染作業員がここで集められていると聞いた
ようやく接触に成功するまで三晩かかった
取材を受け付けてもらうのはとても難しい
身の危険につながるからだ
「もちろん危険ですよ」
「ヤクザの儲けにかかわるから」
「彼らの商売に影響を与えるから…」
地方一帯を除染するという作業は、何十億という利権にかかわる
福島県の大きな面積がフォールアウトで、居住が不可能になってしまった
政府は除染をして、住民を帰還させようとしている
そのために何百万m3 もの土を除去するのだ
県内いたる所で土が掘り返される
多くの労働力が必要だ
しかし仕事は危険だ
そこでヤクザの出番になるのだ
「どういうビジネスなんですか?」
「ヤクザは現場の仕事には関係ない」
「ヤクザの手先が人を集めて福島に派遣するんだ」
「どこで? どうやって?」
「借金のある人や失業者が相手だ」
「稼ぐ口があると声を掛けてくる」
「だが実際に給料をもらってみるといくらもない」
「どれくらい?」
「日当四千から七千円」
「その10~20%がヤクザにピンハネされる」
ホームレスは特に好んでターゲットにされる
それにはワケがあると、今井誠司牧師が教えてくれた
彼は昔から仙台のホームレスの面倒を見ている
震災後ホームレスの数は、明らかに増えた
震災と原発事故で何十万人が、家財一切を失ったからだ
(テロップ 今井誠司・牧師・ホームレス支援者)
「ホームレスは住所も定職もないので、普通の仕事につけません」
「ところが原発産業では働けるのです」
「除染ですとか 原子炉の収束作業です」
「危険で誰もやりたがらないので
一番弱い人間が使われるのです」
ヤクザに雇われた彼らは、下請け会社を通して
危険地域に送られそこで単純作業をさせられる
住所不定で 家族もなく、次の仕事を逃してしまう不安から
福島で働いたことを彼らは隠す
つまり原発産業にとって、これほど好都合なことはない ―
― と今井牧師は言う
「実際に病気になっても何の証拠も残りません」
「“福島には行ってない”と彼らは言いますから」
「嘘をつかざるを得ないのです」
「福島にいたという証拠は何もない」
「ひどいです」
「金が一番大事で、人はどうでもいいんです」
「金だけの世の中です」
われわれの情報提供者も、ヤクザの手先として働いていたが、福島での仕事をやめたくて足を洗った
しかし情報を洩らしたことは、非常に危険だ
「声や顔を出すのは、ものすごく危険だ」
「どんなことが起こりますか?」
「恐ろしい目に遭わされます」
「殺されなかったとしても ―
酷いミセシメに遭うでしょう」
「身柄拘束して拷問とか…」
危険な仕事を請け負ったホームレスは、後に癌で死んでも闇に葬られる
原子力ムラに逆らった首相や大臣は 辞任に追い込まれる
事故の本当の規模は、科学者に圧力をかけてごまかす
何故こんなことが起こるのか?
(テロップ 新潟県 福島から西方220Km)
われわれは答えを求めて、福島の隣 新潟県に向った
世界最大の原子力発電所がここにある
日本が自慢する施設で、町の中心とは目と鼻の先の距離
福島事故の後は停止されているが、政府と東電は再稼動を望んでいる
ふたたび原発を推進する
最も重要な拠点だからだ
われわれは県知事に会った
これまでは与党自民党の支持を受けていたが、いつまで続くのか?
彼は再稼動を拒否しているからだ
「現在の再稼動プランでは事故が起こった場合、銀行も株主も責任を取らないことになっています」
「そのようにプランで決まってます」
「事故が起きたとき犠牲になるのは、またもや住民なのです」
「銀行や投資家が、被害を受けないのならば、彼らはまた危険をおかし、安全確保はないがしろにされます」
「これはモラル・リスク・プランです」
ここでも何千憶単位の利益が、かかっている
東電社長は泉田知事の懐柔をこころみた
“福島の事故はコントロールされている”
つまり事故が起きても、原発は制御できるというメッセージだ
「東電は真実を話しません」
「しかも今まで一切責任を負っていません」
「“コントロールされている”というセリフは、まったく意味を持ちません」
「嘘を繰り返してるだけでなく対処しなければいけない問題とまったく向き合っていません」
「原発ロビーによる嘘や隠ぺいには、理由があります」
と泉田知事は言う
「日本には安全神話がありました」
「日本の原発は絶対安全で、他国のような事故は絶対起こらない」
「それが神話でした」
「今再稼動のための議論を聞くと彼らが新たな安全神話づくりをしている気がします」
新たな安全神話づくり
双葉町元町長を怒らせる政策だ
「再稼動を言っている人々は、この風景を見ていません」
「特に安倍首相は何も見ていません」
「恥知らずとはこのことです」
事故原発の持ち主東電は、現場をどのように評価しているのか?
本当に現場をコントロールしてるのか?
“ウソツキだ!”という非難にどう答えるのか?
これらの質問を取材のため、東電に事前送信したところ
インタビュー予定はキャンセルされた。
この3つのビデオ↓を観てもなお、そう言える、そう思える人は、もう救い様がないほどに病んでいる!
2年前の今頃、このビデオを見つけました。
観てみて、あまりの内容に胸を突き動かされ、一日かけて文字起こしをしました。
それを、『原子力ムラに閉じ込められ、不安と恐怖を身ごもったまま人生を終わりとうなかったら、知れ!闘え!』という記事にして載せました。
つい先日、金吾さんが、この続きのビデオを、文字起こしとともに、彼のブログに掲載してくれていたのを知りました。
続きだけを載せようかと思ったのですが、これはやはり、はじめのものから続けて、何度でも観てもらいたいと思い直し、もう一度、パート1から載せさせてもらいます。
映像の中に、3月11日に起きた地震と津波の映像が含まれています。
数分間ですが、もし観ることで体調や心に負担がかかると思われる方は、その間だけ画像から目を離すなどしていただければと思います。
ごめんなさい。
以下、文字起こし。
『我々は放射能から身を守り、警察から外人と見破られないよう、防護服を着こんだ。
汚染され、破壊した原発が立っているのは、立ち入り禁止区域だ。
そこに連れて行ってくれることになっている、男性と落ち合った。
なにが本当にそこで起きているか、彼に見せてもらうためだ。
ナカ・ユキテル氏は原子力分野のエンジニア会社の社長で、もう何十年間も、原発サイトに出向いて働いてきた。
フクシマでも、だ。
私たちは見破られず、無事チェックポイントを通過した。
作業員たちが作業を終え、原発から戻ってきたところだった。
3月11日に起こったことは、これから日本が遭遇するかもしれぬことの、前兆に過ぎないのかもしれないことが、次第にわかってきた。
そして、その危険を理解するには、過去を理解することが必要だ。
私たちは、立ち入り禁止区域の中、事故の起きた原発から、約7キロ離れたところにいる。
ナカ氏は、ここで生活をし、福島第一と、福島第二の間を、股にかけて仕事をしてきた。
ナカ氏と彼の部下は、何年も前から、原発の安全性における重大な欠陥について、注意を喚起してきた。
しかし、誰も耳を貸そうとしなかった。
ナカ氏
「私の話を聞いてくれた人はほんのわずかな有識者だけで、その人たちの言うことなど、誰も本気にしません。
日本では、その影響力の強いグループを、呼ぶ名前があります。
原子力ムラ、というのです。
彼らの哲学は、経済性優先です。
この原子力ムラは、東電、政府、そして大学の学者たちでできています。
彼らが、重要な決定を、すべて下すのです。
私たちは、東京で、菅直人と独占インタビューした。
彼は、事故当時首相で、第二次世界大戦以来、初の危機に遭遇した日本を、リードしなければならなかった。
彼は、唖然とするような内容を、次々に語った。
たとえば、首相の彼にさえ、事実を知らせなかったネットワークが、存在することを。
マスメディアでは、彼に対する嘘がばらまかれ、彼は辞任に追い込まれた。
彼が、原子力ムラに対抗しようとしたからである。
菅氏
「最大の問題点は、3月11日が起こるずっと前に、しておかなければいけないものがあったのに、何もしなかったことです。
原発事故を起こした引き金は、津波だったかもしれないが、当然しておくべき対策をしなかったことが、問題なのです。
この過失は、責任者にあります。
つまり、必要であったことをしなかった、という責任です」
では、原発事故の原因は、地震と津波ではなかったのか?
原子力ムラの足跡を辿っていくと、嘘、仲間意識と犯罪的エネルギーの、網の目に遭遇する。
調査は、2つの大陸にまたがった。
まず、カリフォルニアに飛んだ。
目的地は、サン・フランシスコである。
私たちは、ある男性と、話を聞く約束をしていた。
彼は長年、原子炉のメンテナンスの仕事で、フクシマにも何度も来ており、かなり深刻なミスや事故を、東電が隠蔽するのに遭遇した。
フクシマの第1号原子炉は、70年代初めに、アメリカのジェネラルエレクトリック社が建設し、それ以来、アメリカのエンジニアが、点検を行ってきた。
そして、フクシマでは、何度も問題があった。
ドイツZDF記者
「東電は、点検後、なにをあなたに求めたのですか?」
スガオカ氏
「亀裂を発見した後、彼らが私に言いたかったことは、簡単です。
つまり、黙れ、ですよ。
何も話すな、黙ってろ、というわけです。
問題があるなど許されない。
日本の原発に、問題など想定されていない」
アメリカのエンジニア、ケイ・スガオカ氏も、それを変えようとすることは、許されなかった。
スガオカ氏
「1989年のことです。
蒸気乾燥機で、ビデオ点検をしていて、そこで、今まで見たこともないほど大きい、亀裂を発見しました」
スガオカ氏と同僚が発見したのは、それだけではない。
スガオカ氏
「原子炉を点検している同僚の目が、みるみる大きくなったと思うと、彼がこう言いました。
蒸気乾燥機の向きが、反対に取り付けられているぞ、と」
もともと、この原発の中心部材には、重大な欠陥があったのだ。
スガオカ氏は、点検の主任だったので、正しく点検を行い、処理をする責任があったのだが、彼の報告は、東電の気に入らなかった。
スガオカ氏
「私たちは、点検で、亀裂を発見しましたが、東電は私たちに、ビデオでその部分を消すよう、注文しました。
報告書も書くな、と言うのです。
私は、サインしか、させてもらえませんでした。
私が報告書を書けば、180度反対に付けられている、蒸気乾燥機のことも、報告するに決まっている、と知っていたからです」
ドイツZDF記者
「では、嘘の文書を書くよう、求めたわけですか?」
スガオカ氏
「そうです、彼らは我々に、文書の改竄を要求しました」
スガオカ氏は、仕事を失うのを怖れて、10年間黙秘した。
GE社に解雇されて初めて、彼は沈黙を破り、日本の担当官庁に、告発した。
ところが、不思議なことに、告発後何年間も、なにも起こらなかった。
日本の原発監督官庁は、それをもみ消そうとしたのだ。
2001年になってやっと、スガオカ氏は、「同士」を見つけた。
それも、日本のフクシマで、である。
18年間、福島県知事を務めた、佐藤栄佐久氏は、当時の日本の与党、保守的な自民党所属だ。
佐藤氏は、古典的政治家で、皇太子夫妻の旅に、随行したこともある。
始めは彼も、原発は、住民になんの危険ももたらさない、と確信していた。
だが後に、その信頼を、どんどん失っていった。
佐藤氏
「福島県の、原発で働く情報提供者から、約20通ファックスが届き、その中には、スガオカ氏の告発も入っていました。
経産省は、その内部告発の内容を確かめずに、これら密告者の名を、東電に明かしました。
それからわかったことは、私も、初めは信じられませんでした。
東電は、報告書を改ざんしていた、というのです。
それで私は、新聞に記事を書きました。
そんなことをしていると、この先、必ず大事故が起きる、と」
それでやっと、官僚たちも、なにもしないわけにはいかなくなり、17基の原発が、一時停止に追い込まれた。
調査委員会は、東電が、何十年も前から、重大な事故を隠蔽し、安全点検報告で、データを改竄してきたことを、明らかにした。
それどころか、フクシマでは、30年も、臨界事故を隠してきたという。
社長・幹部は、辞任に追い込まれ、社員は懲戒を受けたが、皆新しいポストをもらい、誰も起訴されなかった。
一番の責任者であった、勝俣恒久氏は、代表取締役に任命された。
彼らは、佐藤氏に、報告書の改竄に対し謝罪したが、佐藤氏は安心できず、原発がどんどん建設されることを懸念した。
そこで佐藤氏は、日本の原発政策という、「暗黙のルール」に違反してしまった。
2004年に、復讐が始まった。
佐藤氏「12月に、不正な土地取引の疑いがある、という記事が、新聞に載りました。
この記事を書いたのは、本来は、原発政策担当の記者でした。
この疑惑は、完全にでっち上げでした。
弟が逮捕され、首相官邸担当の検察官が、一時的に福島に送られて、検事を務めていた。
彼の名は、ノリモトという名で、『遅かれ早かれ、お前の兄の知事を抹殺してやる』と、弟に言ったそうです。
事態は更に進み、県庁で働く200人の職員に、圧力がかかり始めました。
少し、私の悪口を言うだけでいいから、と。
中には2、3人、圧力に耐え切れずに、自殺をする者さえ出ました。
私の下で働いていた、ある部長は、いまだ意識不明のままです」
それで、同僚や友人を守るため、佐藤氏は辞任した。
裁判で、彼の無罪は確定されるが、しかし、沈黙を破ろうとした「邪魔者」は、こうして消された。
これが、日本の社会を牛耳る、大きなグループの復讐だった。
そしてこれこそが、日本で、『原子力ムラ』と呼ばれるグループである。
菅氏
「ここ10~20年の間、ことに、原子力の危険を訴える人間に対する、あらゆる形での圧力が、非常に増えています。
大学の研究者が『原発には危険が伴う』などとでも言おうものなら、出世のチャンスは、絶対に回ってきません。
政治家は、あらゆる援助を、電力会社などから受けています。
しかし、彼らが、原発の危険性などを問題にすれば、そうした援助は、すぐに受けられなくなります。
反対に、原発を推進すれば、多額の献金が入り込みます。
それは、文化に関しても同じで、スポーツやマスコミも含みます。
このように、網の目が細かく張りめぐらされて、原発に対する批判が、まったくなされない環境が、作り上げられてしまいました。
ですから、原子力ムラというのは、決して小さい領域ではなくて、国全体にはびこる問題なのです。
誰もが、この原子力ムラに、閉じ込められているのです」
東電から、献金を受け取っている、100人以上の議員に、菅首相は立ち向かった。
その中には、前の首相もいる。
やはり、彼と同じ、政党所属だ。
ネットワークは、思う以上に大きい。
多くの官僚は、定年退職すると、電事業関連の会社に、再就職する。
1962年以来、東電の副社長のポストは、原発の監査を行うエネルギー庁の、トップ官僚の指定席だ。
これを、日本では、『天下り』と呼んでいる。
しかし、反対の例もある。
東電副社長だった、加納時男氏は、当時与党だった自民党に入党し、12年間、日本のエネルギー政策を担当し、それからまた、東電に戻った。
このネットワークについて、衆議院議員の、河野太郎氏と話した。
河野氏の家族は、代々政治家で、彼の父も外相を務めた。
彼は、第二次世界大戦後、日本を約60年間に渡り支配した、自民党に所属している。
原発をあれだけ、政策として推進してきたのは、自民党である。
河野氏
「誰も、日本で、原発事故など起こるはずがない、と言い続けてきました。
だから、万が一のことがあったらどうすべきか、という準備も、一切してこなかったのです。
それだけでなく、原発を立地する地方の行政にも、危険に対する情報を、なにひとつ与えてこなかった。
いつでも、お前たちは、なにも心配しなくていい。万が一のことなど、起こるはずがないのだから、と。
彼らはずっと、この幻想をばらまき、事実を歪曲してきた。
そして今やっと、すべて嘘だったことを、認めざるを得なくなったのです」
この雰囲気(虚構?)が、2011年3月11日に壊れた。
日本が、これまでに遭遇したことのない、大事故が起きたからだ。
14時46分に、これまでの中で最大規模の、地震が襲った。
マグニチュード9だった。
しかし、地震は、太平洋沖で始まった、その後のホラーの引き金に過ぎなかった。
時速数百キロという、激しい波が、津波となって、日本の東部沿岸を襲った。
津波は、場所によっては、30メートルの高さがあり、町や村をのみこみ、消滅させてしまった。
約2万人の人々が、この津波で、命を失った。
そして、福島第一にも、津波が押し寄せた。
ここの防波堤は、6メートルしかなかった。
津波の警告を本気にせず、処置を取らなかった、東電や原発を監査する当局は、警告を無視しただけでなく、立地場所すら、変更していたのだ。
菅氏
「もともとは、原発は、35mの高さに建てられる予定でした。
しかし、標高10mの位置で、掘削整地し、そこに、原発を建設したのです。
低いところの方が、冷却に必要な海水をくみ上げやすい、という理由で。
東電がはっきり、この方が、経済的に効率が高い、と書いています」
巨大な津波が、地震で損傷を受けた福島第一を、完全ノックアウトした。
まず電源が切れ、それから非常用発電機が、津波で流されてしまった。
あまりに低い場所に、置いてあったからである。
電気がなければ、原子炉冷却はできない。
菅氏
「法律では、どの原発も、非常用電源センターを用意することが、義務付けられています。
福島第一では、その電源センターが、原発から5キロ離れたところにあります。
これは、津波の後、1分と機能しなかった。
それは、職員が、地震があったために、そこにすぐたどりつけなかったからです。
それで、電源は失われたままでした。
こうして、送電に必要な器具は、すべて作動しませんでした。
つまり、非常用電源センターは、本当の非常時に、なんの機能も果たさなかった、ということです。
法律では、原発事故と地震が、同時に起こるということすら、想定していなかったのです」
菅直人はこの時、原発で起こりつつある非常事態について、ほとんど情報を得ていなかった。
首相である彼は、テレビの報道で初めて、福島第一で、爆発があったことを、知ることになる。
菅氏
「東電からは、その事故の報道があって、1時間以上経っても、なにが原因で、どういう爆発があったのかという説明が、一切なかった。
あの状況では、確かに、詳しく究明することは、難しかったのかもしれないが、
それでも東電は、状況を判断し、それを説明しなければいけなかったはずです。
しかし、それを彼らは、充分に努力しませんでした」
2011年3月15日、災害から4日経ってもまだ、東電と保安院は、事故の危険を、過小評価し続けていた。
しかし東電は、菅首相に内密で会い、職員を、福島第一から撤退させてもいいか、打診した。
「今撤退させなければ、全員死ぬことになる」、というのだ。
菅氏
「それで私は、まず、東電の社長に来てもらい、『撤退はぜったい認められない』と伝えた。
誰もいなくなれば、メルトダウンが起き、そうすれば、莫大な量の放射能が、大気に出ることになってしまう。
そうなってしまえば、広大な土地が、住めない状態になってしまいます」
菅は初めから、東電を信用できず、自分の目で確かめるため、ヘリコプターで視察した。
しかし、首相である彼にも、当時伝えられていなかったことがあった。
フクシマの、3つの原子炉で、すでにメルトダウンが起きていた、ということだ。
それも、災害の起きた、3月11日の夜にすでに。
菅氏
「東電の報告にも、東電を監査していた保安院の報告にも、燃料棒が損傷しているとか、メルトダウンに至った、などということは、一言も書かれていなかった。
3月15日には、そのような状況には、まだ至っていない、という報告が、私に上がっていました」
事故から、ほぼ1年が経った、東京。
世界中で、あらゆる専門家が予想していた、メルトダウンの事実を東電が認めるまで、なぜ2ヶ月も要したのか、私たちは聞こうと思った。
自然災害が起きてからすぐに、この原発の大事故は、起きていたのである。
ドイツZDF記者
「原子炉1号機、2号機そして3号機で、メルトダウンになったことを、東電はいつ知ったのですか」
東電・松本氏
「私どもは、目で見るわけにはいきませんが、上がってきましたデータをもとに、事態を推定し、
燃料棒が溶け、おそらく圧力容器の底に溜まっているだろう、という認識に達したのは、5月の初めでした」
膨大なデータに、身を隠そうとする態度は、今日も変わらない。
東電は、毎日行う記者会見で、これらのデータを見せながら、事態はコントロール下にある、と言い続けている。
しかし、これらのデータの中には、本当に、責任者たちはなにをしているのかわかっているのかと、疑いたくなるような情報がある。
たとえば、スポークスマンは、ついでのことのように、放射能で汚染された冷却水が、「消えてしまった」と説明した。
理由は、「原発施設ではびこる雑草で、ホースが穴だらけになっている」という。
ドイツZDF記者
「放射能で汚染された水を運ぶホースが、雑草で穴が開くような材料で、できているというのですか?」
東電・松本氏
「草地に配管するのは、私たちも初めてのことですが、穴があくなどのことについては、知見が不十分だった、と思っています」
しかし、原発の廃墟を、さらに危険にしているのは、雑草だけではない。
私たちは、富岡町に向かった。
ゴーストタウンだ。
原発廃墟の福島第一から、7キロのところにある。
私たちは、ナカ氏に便乗した。
彼のような住民は、個人的な物を取りに行くためだけに、短時間だけ、帰ることが許されている。
彼は、地震に見舞われた状態のまま放り出された会社を、見せてくれた。
今では、放射能のため、ここに暮らすことはできない。
ナカ氏
「この木造の建物は、とても快適でした。
とても静かで、夏は涼しく、冬は暖かかった。
私たちは、皆ここで、幸せに暮らしていました」
80人の、原発専門のエンジニアが、彼のもとで働いており、原発事故後も、事故をできるだけ早く収束しようと、努力している。
ナカ氏と、彼の社員は、原発廃墟で、今本当に、なにが起きているのか、知っている。
ナカ氏
「私たちの、最大の不安は、近い将来、廃墟の原発で働いてくれる専門家が、いなくなってしまうことです。
あそこで働く者は、誰でも、大量の放射能を浴びています。
どこから、充分な数の、専門家を集めればいいか、わかりません」
しかし、まだ被爆していない、原発の専門家を集めなければ、事故を収束するのは、不可能だ。
例え、これから40年間、充分な専門家を集められたとしても、日本も、世界をも、変えてしまうことになるかもしれない、一つの問題が残る
ドイツZDF記者
「今、原発は安全なのですか?」
ナカ氏
「そう、東電と政府は言っていますが、働いている職員は、そんなことは思っていません。
とても危険な状態です。
私が一番心配しているのは、4号機です。
この建物は、地震でかなり損傷しているだけでなく、この4階にある、使用済み燃料プールには、約1300の、使用済み燃料が、冷却されています。
その上の階には、新しい燃料棒が保管されていて、非常に重い機械類が、置いてあります。
なにもかも、とても重いのです。
もう一度、大地震が来れば、建物は崩壊してしまうはずです。
そういうことになれば、また新たな臨界が、起こるでしょう」
このような臨界が、青空の下で起これば、日本にとって、致命的なものとなるだろう。
放射能は、すぐに致死量に達し、原発サイトで働くことは、不可能となる。
そうすれば、高い確率で、第1、2、3、 5、 6号機も、すべてが抑制できなくなり、まさに、この世の終わりとなってしまうだろう。
東京で、著名な地震学者の、島村英紀氏に会った。
2月に、東大地震研が、地震予知を発表したが、それによれば、75%の確率で4年以内に、首都を、直下型地震が襲う、と予測されている。
ドイツZDF記者
「このような地震があった場合に、原発が壊滅する確率は、どのくらいだとお考えですか?」
島村氏
「はい、確率はとても高いです」
ドイツZDF記者
「どうしてですか?」
島村氏
「計測している、地震揺れ速度が、これまでの予測より、ずっと速まってきています。
私たちは、ここ数年千以上の、特別測定器を配置して、調査してきましたが、想像以上に地震波が強まり、速度も増していることが、わかったのです」
これは、日本の建築物にとって、大変な意味を持つだけでなく、原発にとっても、重大な問題となることを、島村氏は説明する。
島村氏
「これが、原発の設計計算です。
将来、加速度300~450ガルの、地震が来ることを想定しています。
そして、高確率で発生しないだろう地震として、600ガルまでを想定していますが、
この大きさに耐えられる設計は、原子炉の格納容器だけで、原発のほかの構造は、それだけの耐震設計が、されていないのです。
しかし、私たちの調査では、最近の地震の加速度が、なんと4000ガルまで達したことが、わかっています。
想定されている値より、ずっと高いのです」
ドイツZDF記者
「電気会社は、それを知って、増強をしなかったのですか?」
島村氏
「今のところ、何もしていません、不十分であることは確かです。
これだけの地震に、耐えられるだけの設計をしよう、などというのは、ほとんど不可能でしょう」
ここは、原発廃墟から、60キロ離れた場所だ。
フクシマ災害対策本部では、東電、保安院、福島県庁が共同で、原発の、地獄の炎を鎮火するための、闘いの調整をはかっている。
私たちは、東電の災害対策部責任者に、インタビューした。
ことに、彼に訊きたいのは、どうやって今後、これだけ損傷している原発を、大地震から守るつもりなのか、ということだ。
ことに、危ぶまれている、4号機について訊いた。
東電・白井氏
「4号機の使用済み燃料プールには、夥しい量の、使用済み燃料が入っています。
これを、すべて安全に保つためには、燃料プールの増強が必要です。
燃料プールのある、階の真下に、新しい梁をつけました」
ドイツZDF記者
「原発は、ほとんど破壊した、といってもいいわけですが、
原発が健在だった1年前ですら、大地震に耐えられなかった構造で、どうやって、次の地震に備えるつもりなのでしょうか?」
東電・白井氏
「我々は、耐震調査を、4号機に限らず、全体で行いました。
その結果、問題ない、という判断が出ています」
ドイツZDF記者「でも、地震学者たちは、4000ガルまでの地震加速度が測定されていて、これだけの地震に耐えられるだけの原発構造はない、と言っています。
半壊状態のフクシマの原発の真下で、そのような地震が来ても、全壊することはないと、なぜ確信がもてるのですか?」
東電・白井氏「その、4000ガルという計算は、別の調査ではないでしょうか?
それに関しては、私は何とも言いかねます」
ドイツZDF記者
「原発を、日本で稼動させるだけの心構えが、東電にできている、とお考えですか?」
東電・白井氏
「……(長い長い沈黙の後)それは、答えるのが難しいですね」
線量計のピッピッピッという音。3.36という数値。
ナカ氏
「これが、やってきたことの結果です。
この結果を、人類は、ちゃんと知るべきだと思います。
一緒に、未来の政策を、つくっていくことができるように」』
上のビデオを、金吾さんが文字起こしをしてくださいました。
このブログの字数制限のため、文字の強調ができませんが、とても判り易くまとめてくださっているので、動画を観ながら読んでみてください。
フクシマの嘘 其の弐(隠ぺい・詭弁・脅迫) 翻訳全文
福島第一原発事故発生から三年が過ぎたが、今でも緊急事態である
2020年日本はオリンピックを開催する
日本政府は世界を安心させようとした
「みなさんに保証しましょう 事故はコントロールされております」
首相の宣言がどこまで信用できるのか、われわれは調べることにした
調査はわれわれを犯罪社会の心臓部に導く…
「ヤクザの手先が人を集めて福島に派遣しています」
われわれは惨事の真の大きさが隠ぺいされていることを突きとめた
事故現場から遠い場所の調査を科学者に見せてもらった
「高濃度に汚染されたホットスポットや放射能が集積する場所を発見しました」
すべてコントロールされているのか?
「残念ながらアウト・オヴ・コントロール…」
「…ですから放射能は環境に漏れ、汚染が毎日広がっている状況です」
双葉町は 福島第一原発と目と鼻の先にある
特別許可を得て 数時間だけ滞在が許される
いわゆる“閉鎖区域”だ
ここに住むこととは、おそらく永遠に誰にも許されない
町のキャッチフレーズは、「原子力 明るい未来のエネルギー」
それは別の時代のことだった
元双葉町町長 井戸川克隆さん
古いサムライの家系出身だ
五百年以上この地に続いた家系である
名誉 誠実 責任感が、家訓として代々伝えられてきた
「子孫の私は井戸川家の墓守です」
「ご先祖様の墓を守り世話をする義務があります」
「そして次の世代に伝えなければなりません」
「しかしこの状態では引き継ぐ人は誰もいません」
「一生の間 ご先祖さまに妻としての誇りを伝えたいと思ってました」
「それができないなんて胸が引き裂かれる思いです」
戦争、地震、津波を乗り越えた井戸川家の歴史が、今 双葉で終わろうとしている
「誰も原発事故の責任を取らない恥知らずばかりだ…」
「電気会社がこんなに勝手にふるまえるのは日本だけです」
「彼らは自分のことしか考えていません」
「政府はやりたい放題やらせ政治家は原発ロビーのいいなりです」
「それを世界中の人々に知っていただきたい」
京都大学の原子炉実験所
小出裕章と会える約束だ
40年間 原子力物理を研究している小出氏は、事故発生当時から福島の状況を見守っている
なぜ福島がコントロールされていないか彼は説明してくれた
「一号基から三号基の溶けた燃料がどこにあるのか誰もわかりません」
「けれど冷却は必要なので建て屋に送水を続けています」
「溶けた燃料のせいで水は汚染されます」
「建て屋は割れ目だらけなので地下水が流れ込みます」
「東電はこの水を循環させると言ってタンクに一時貯蔵しています」
「けれど全部の水は回収できません」
「原発敷地一帯が放射性の泥沼のような状態になってしまいました」
「周辺の井戸水からは高濃度の放射能が検出されました」
「もちろん一部は海に流れています」
全面水浸しのフロア
どこかこの下に溶けた燃料がある
最新ニュースによれば 井戸水から500万ベクレル/リットルのストロンチウムを発見していたことを東電は半年間隠していた
今でさえ毎日200トン以上の高濃度汚染した地下水が海に流れている
さらに回収される汚染水40万リットルを毎日タンクに貯蔵しないといけない
総量は今では四億リットルを超えたひどい事故も多い
東電が経費を削減したタンクは放射能に耐えられず、始終水漏れをするからだ
「政府は これまで放出された放射能は、広島原爆たった168発分だと言っています」
「チェルノブイリの五分の一です」
「しかし福島からは常に汚染水が海に流れています」
「私はこれまで環境に放出された放射能は、チェルノブイリと同じ量だと思います」
「しかも福島は現在も進行中です」
しかし何故ここまで放っておかれたのか?
われわれは東京で馬渕澄夫を訪ねる
事故当時の大臣で事故応対担当官だった
事故発生後すぐ 東電が事故の大きさを隠ぺいしていると疑った
「汚染水が流出しているかと聞くと東電はしていないと答えました」
「地下水は? と聞くと心配する必要ないと東電は答えました」
「私は疑惑をもったので専門家に地下水の調査を命じました」
たちまち東電の嘘は明らかになった
馬渕が集めた企業や科学の専門家チームは、一日に10万リットルの地下水が、原発に向って流れることを突き止めた
原発で放射能汚染したその水が太平洋に流れる恐れがある
「早急に阻止しなければなりませんでした」
「時間がない」
「すぐに遮水壁を建設しなければ…」
事故発生から3ヵ月後の六月十四日
馬渕氏は記者会見を行なって、計画を発表する予定だった
原発地下に粘土製の遮水壁を建設する計画だ
しかし東電が反対した
ZDFは記者会見の前日に書かれた東電の機密書類を入手した
“現在有価証券報告書の監査期間中であり
会計監査人が建設の見積もりの記載を
求める可能性が高い“
さらには:
“…市場が厳しい反応を示すことになりかねない。
市場は当社が債務超過に一歩近づくと評価するだろう。
これは是非回避したい。“
裏で工作が行なわれ記者会見は立ち消えた
原発には今も遮水壁はない
「金を出したくなかったのですね」
「私はうるさく要求を続けたので間もなく解任されました」
「私を切れば 私だけでなく専門家チームも全員いなくなりますから」
舞台裏で糸を引く目に見えない強大な原発ロビーとは
企業、銀行、政治家、官僚、科学者、そしてマスコミから成る
この“原子力ムラ“に反抗すると首相でさえ退任に追い込まれる
彼に浴びせられた中傷は、後にすべて嘘だったことがわかった
事故から3年たった今、彼は批判の声をあげる
「背景にあったのは原子力ムラの要求です」
「菅直人を早急に首相の座からおろせという」
「陰謀でした」
「そう思っています」
そして原子力ムラは、この男を担ぎ出した
現在の首相安倍だ
2020年オリンピック開催地を選考する会場で、安倍は日本の新たな信条を世界に向けて宣言した
「福島の心配をされる方もいらっしゃるようですが」
「現場はコントロールされていると保証させていただきましょう」
「現政権は原子力ムラの人員を諮問委員会に登用しています」
「新しい原発の建設を推進する人たちです」
「彼らは今 反撃を始めています」
とあるホテルで放射能汚染の専門家に会えることになった
大きな研究所の責任者だ
しかし大学やホテル、町の名は極秘だ
研究内容も放映できない、素性がバレる手掛りは、いっさい放送しない約束だ
「去年の十月初旬までは普通に話すことができました」
「ところがその後 行政からの指示で、テレビに出たり マスコミと接触することを禁じられました」
「オリンピック開催地の選考で、安倍首相は宣言しました」
「“福島はコントロールされている”と」
「その後に出た指令で私たちは調査結果をマスコミに発表することを禁止されたのです」
「どのような調査なのですか?」
「福島第一原発事故後の現場のあらゆる基礎データです」
「私たちは現場でサンプル採取し汚染を検査しています」
「本当はコントロールなどされていません」
指示に従わなければ 予算は停止し同僚はみんな失業する
それを恐れている
「どっちみち日本のマスコミは、このテーマを避けてます」
と彼は言い足した
われわれを案内するのは、京大防災研究所の山敷庸亮氏
山敷氏たちは海や河川の放射能汚染を調査している
東電や政府の主張では 汚染は原発に隣接する水域に限定されている
山敷氏たちは仙台湾の海水と土を採取する
福島第一原発からは、80キロ離れている
原発から遠い場所の取材は、われわれにとって初めてではない
調査結果は衝撃的だった
「汚染は直接フォールアウトがあった所や原発が水漏れしている所だけだと最初は考えていました」
「しかし阿武隈川流域一帯が、汚染していることがわかったのです」
「私たちの試算では毎年10テラベクレルのセシウムが川から海に運ばれています」
「事故当初に原発から海に流出した量とほぼ同じです」
阿武隈川は原発から遠いだけに、この結果は衝撃的だ
それでも河床は高濃度のセシウムに汚染されているのだ
原因は 雨や雪が降下した放射性物質を洗い流すことだ
それが小川や支流に運ばれて、阿武隈川に集積する
そして川から海に注ぐ
つまり食物連鎖は 今後何十年もセシウム汚染され得るということだ
誰も注意しない汚染源から…
「この二、三年誰もこのテーマに注目しませんでした」
「国や地方行政は市町村の除染に夢中です」
「でも海に汚染が流出してることには、注意を払いません」
「この事実は無視されてるわけです」
日本政府は原発周辺の海では、漁業を禁止した
しかし80キロ北の海域は関係ない
一週間後 京都近畿大学で河口の泥土サンプル分析結果を山敷博士が見せてくれた
海流や地形に応じて太平洋のセシウム汚染レベルは異なるが、場所によって汚染値は、はっきり上昇している
「状況はコントロールされてるのですか?」
「難しい質問ですね…」
「調査結果はいったん置きましょう」
「これは許容基準値の問題だからです」
「日本政府は基準値を改定しました」
「新しい基準値では8000Bq/Kg 以下は危険ではないんですよ」
「でも事故前の基準値は、100Bq/Kgでしたから驚きです」
「調査結果をもう一度確かめましょう」
「どれも8000ベクレル以下でしょう?」
「するとみんな大丈夫だと安心して、忘れてしまうのです」
「でも私とってこれは、とても高い汚染値です」
「人々はもっと注意するべきですね」
「誰もこの結果に注目しなければ、政府は何もしません」
こんな簡単なトリックで政府は窮地を脱しているのだ
許容基準値さえ引き上げれば、問題は解決し 対策もいらない
“臭いものにはフタ”というわけだ
畜産農家吉沢正巳さん
牧場には350頭の牛がいる
視界には原発も見える
閉鎖区域の端だ
かつて畜産は繁盛していた
しかし2011年3月の原子炉爆発で、すべては終わった
牛はもう売れない
そのワケは…
「こういうところの草を食べてるから」
「放射能汚染した草を一年中食べている」
「そのせいで 皮膚に白斑が出るのだと思います」
「牛は外部被曝と内部被曝の両方をしてるんです」
「犬だって被曝してます」
吉沢さんは生き物を見捨てられず、外からエサを入手して与えている
-寄付金も寄せられるが牛には足りない…
牛たちを調査すれば、放射能の影響が突き止められる
すでに影響は確認できると、吉沢さんは信じている
「こんな風な…こういう斑点です」
「昔はなかったのですか?」
「40年牛を飼ってますが、こういうのは初めてです」
「原因は何でしょう?」
「獣医も皮膚病ではないと言いました」
「皮膚病ではないのに、こういう白斑が出るんです」
「どうしてなのか、私にはわかりません」
「昔から牛を飼ってますが…」
「こんなことは初めてです」
「放射能の影響を考慮せずには、原因は突き止められません」
近所の農家の家畜にも同じナゾの現象が現われている
行政から検査チームが派遣された
その結果 緊急指示が出た
「政府は 二度検査を行ないました」
「科学者がたくさん来て何もかも調べました」
「その結果 殺処分せよという指示が出たんです」
「生かしておくと困ることになるから、だから殺処分しろと」
「でも私は殺しません」
「政府が牛が生きていると困るのは、証拠が残るからだと思います」
「だから牛を処分しろと」
しかし汚染しているのは、牛だけではない
双葉町に戻る
かつては住民一万人
ほとんどが原発で働いていた
町は今では原発事故閉鎖区域だ
原子炉が爆発した時、多くの住民が高い被爆をした
井戸川町長もその一人だ
「ちょうど病院を避難中で、患者さんや職員が車に乗ろうとしてました」
「その時 凄まじい爆音がしたのです」
「最初の爆発です」
「直後に灰が降ってきました」
「とても強い放射能だったと思います」
「みんな死ぬのだと思いました」
事故後初めて井戸川夫妻は、双葉町の家に帰る
除草剤を持参した
二度とここに住めないと、まだ受け入れられないのだ
首都圏のこの学校が、つい最近まで二人の仮住居だった
原発事故被害者およそ千人と一緒に…
井戸川さんは死の灰を吸って以来、喉の痛み 頻発する鼻血 目や胃の痛み 疲労感に苦しんでいる
爆発後 行政は内部被曝の検査を実施した
放射性ヨウ素とセシウムが、何十万ベクレルも測定された
しかしその影響については、何も教えてもらえない
「福島医大は 事故の放射能で健康被害の出た人はいないと言っています」
「でも直接被ばくをした私たちは未だに何の検査も受けていないのです」
「真実を知り きちんと治療してほしいと私は思います」
2011年に福島で行なわれた説明会のビデオを見れば
日本政府が健康被害をどのように扱っているか はっきりわかる
福島の医療トップアドバイザー山下教授
彼を任命したのは日本政府
“放射能の被害はニコニコしている人には来ません“
“しかしクヨクヨしていると来ます“
“これは動物実験でも証明されています”
「日本政府は非人間的です」
「それがはっきりわかりました」
「私たちはバカにされているのです」
「色々な思いがありますが…非常に激しい怒りを持ってます」
(テロップ)仙台駅 福島原発から100Km
仙台駅
除染作業員がここで集められていると聞いた
ようやく接触に成功するまで三晩かかった
取材を受け付けてもらうのはとても難しい
身の危険につながるからだ
「もちろん危険ですよ」
「ヤクザの儲けにかかわるから」
「彼らの商売に影響を与えるから…」
地方一帯を除染するという作業は、何十億という利権にかかわる
福島県の大きな面積がフォールアウトで、居住が不可能になってしまった
政府は除染をして、住民を帰還させようとしている
そのために何百万m3 もの土を除去するのだ
県内いたる所で土が掘り返される
多くの労働力が必要だ
しかし仕事は危険だ
そこでヤクザの出番になるのだ
「どういうビジネスなんですか?」
「ヤクザは現場の仕事には関係ない」
「ヤクザの手先が人を集めて福島に派遣するんだ」
「どこで? どうやって?」
「借金のある人や失業者が相手だ」
「稼ぐ口があると声を掛けてくる」
「だが実際に給料をもらってみるといくらもない」
「どれくらい?」
「日当四千から七千円」
「その10~20%がヤクザにピンハネされる」
ホームレスは特に好んでターゲットにされる
それにはワケがあると、今井誠司牧師が教えてくれた
彼は昔から仙台のホームレスの面倒を見ている
震災後ホームレスの数は、明らかに増えた
震災と原発事故で何十万人が、家財一切を失ったからだ
(テロップ 今井誠司・牧師・ホームレス支援者)
「ホームレスは住所も定職もないので、普通の仕事につけません」
「ところが原発産業では働けるのです」
「除染ですとか 原子炉の収束作業です」
「危険で誰もやりたがらないので
一番弱い人間が使われるのです」
ヤクザに雇われた彼らは、下請け会社を通して
危険地域に送られそこで単純作業をさせられる
住所不定で 家族もなく、次の仕事を逃してしまう不安から
福島で働いたことを彼らは隠す
つまり原発産業にとって、これほど好都合なことはない ―
― と今井牧師は言う
「実際に病気になっても何の証拠も残りません」
「“福島には行ってない”と彼らは言いますから」
「嘘をつかざるを得ないのです」
「福島にいたという証拠は何もない」
「ひどいです」
「金が一番大事で、人はどうでもいいんです」
「金だけの世の中です」
われわれの情報提供者も、ヤクザの手先として働いていたが、福島での仕事をやめたくて足を洗った
しかし情報を洩らしたことは、非常に危険だ
「声や顔を出すのは、ものすごく危険だ」
「どんなことが起こりますか?」
「恐ろしい目に遭わされます」
「殺されなかったとしても ―
酷いミセシメに遭うでしょう」
「身柄拘束して拷問とか…」
危険な仕事を請け負ったホームレスは、後に癌で死んでも闇に葬られる
原子力ムラに逆らった首相や大臣は 辞任に追い込まれる
事故の本当の規模は、科学者に圧力をかけてごまかす
何故こんなことが起こるのか?
(テロップ 新潟県 福島から西方220Km)
われわれは答えを求めて、福島の隣 新潟県に向った
世界最大の原子力発電所がここにある
日本が自慢する施設で、町の中心とは目と鼻の先の距離
福島事故の後は停止されているが、政府と東電は再稼動を望んでいる
ふたたび原発を推進する
最も重要な拠点だからだ
われわれは県知事に会った
これまでは与党自民党の支持を受けていたが、いつまで続くのか?
彼は再稼動を拒否しているからだ
「現在の再稼動プランでは事故が起こった場合、銀行も株主も責任を取らないことになっています」
「そのようにプランで決まってます」
「事故が起きたとき犠牲になるのは、またもや住民なのです」
「銀行や投資家が、被害を受けないのならば、彼らはまた危険をおかし、安全確保はないがしろにされます」
「これはモラル・リスク・プランです」
ここでも何千憶単位の利益が、かかっている
東電社長は泉田知事の懐柔をこころみた
“福島の事故はコントロールされている”
つまり事故が起きても、原発は制御できるというメッセージだ
「東電は真実を話しません」
「しかも今まで一切責任を負っていません」
「“コントロールされている”というセリフは、まったく意味を持ちません」
「嘘を繰り返してるだけでなく対処しなければいけない問題とまったく向き合っていません」
「原発ロビーによる嘘や隠ぺいには、理由があります」
と泉田知事は言う
「日本には安全神話がありました」
「日本の原発は絶対安全で、他国のような事故は絶対起こらない」
「それが神話でした」
「今再稼動のための議論を聞くと彼らが新たな安全神話づくりをしている気がします」
新たな安全神話づくり
双葉町元町長を怒らせる政策だ
「再稼動を言っている人々は、この風景を見ていません」
「特に安倍首相は何も見ていません」
「恥知らずとはこのことです」
事故原発の持ち主東電は、現場をどのように評価しているのか?
本当に現場をコントロールしてるのか?
“ウソツキだ!”という非難にどう答えるのか?
これらの質問を取材のため、東電に事前送信したところ
インタビュー予定はキャンセルされた。