わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬とガラス 6(アルカリ元素3)

2011-10-24 22:15:02 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
4) 三要素の原料

 ② アルカリ土類(金属)の種類と効果

   ) ストロンチウム(SrO)

    釉の原料と成る物質は、炭酸ストロンチウム(SrCO3)が唯一の物と言われています。

    1075℃で熱分解し、酸化ストロンチウムと成ります。(SrCO3=SrO+CO2)

    a) 1100℃以上で効果が出る媒熔剤です。熔ける温度を下げ光沢を増します。

    b) 添加量が増えると、半マット状の艶消しとなります。

    c) 貫入の発生を抑え、酸に対して強くなります。

    d) カルシウムをストロンチウムに置き換えると、熔ける温度を下げ、流動性を増します。

      又、亜鉛をストロンチウムに置き換えると、熔ける温度は不変ですが、膨張率と流動性が

      幾分増します。

    f) ジルコン釉にSrO加えると、釉が平滑になり、ピンホールを少なくします。

      ホウ酸釉は独特の濁りを発生させますが、SrOを添加する事で、無くす事が出来ます。

    h) 釉の色調を変えます。赤やピンク系の色はより強く発色しますし、銅釉はトルコブルーに

      成ります。

   ) バリウム(BaO)

     高火度釉として使用し、少量で効果的に働きます。

    ・ 炭酸バリウム(BaCO3)は毒性がありますので、取り扱いに注意が必要です。

      かなり高温になってから、熱分解を起こし、酸化バリウムと炭酸ガスに分解します。

      この炭酸ガスが釉中に残ると、透明度が落ちます。

    ・ メタホウ酸バリウムは、熱分解で炭酸ガスを発生しませんので、「ピンホ-ル」や「ブク」は

      発生しませんし、釉の失透性も起きません。

    a) 粘度が低く成り、光沢が増します。

    b) 釉中に結晶が出来るのを抑制します。その為、透明度が増します。

    c) 多く使うと、逆に結晶を促し、マット状に成ります。

    d) 熔融温度範囲を狭くします。更に、化学的な耐久性も弱くなります。

    e) 釉の色調を変えます。バリウム入りの青磁釉は、酸化鉄による発色を促進させます。

      酸化クロムは一般的には緑ですが、黄色に変化します。酸化コバルトは紫色に、酸化銅は

      緑青に変化します。

   ) 酸化亜鉛(ZnO、亜鉛華)

     亜鉛は周期表ではアルカリ類に入っていませんが、同じような働きをする為、頻繁に釉に

     使われ、アルカリ類と同様に扱います。     

以下次回に続きます。
 
コメント
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