4) 三要素の原料
④ 三酸化物(中性元素、アルミナ、Al2O3)
釉に使われる三酸化物は、アルミナのみと言って良いでしょう。ほとんどの釉に含まれています。
アルミナは水酸化アルミニウムを、300℃で焼いて作り、非常に純度の高い物です。
水酸化アルミニウムは、微細な為沈殿防止剤としても、使用されます。釉にも使用され、素地との
密着を良くする働きがあります。又、アルミナ成分は、長石にも含まれています。
a) アルミナを入れると、熔ける温度が上昇します。又、熔ける温度範囲を広げます。
b) 量が増えるに従い、粘性が増します。その結果他の元素の結晶化を防ぎ、透明の釉に成ります。
c) 量が増え過ぎると、逆に微細な結晶が発生し、マット状に成ってしまいます。
この方法で、マット釉を作る方法が一般的です。
Al2O3 : SiO2 = 1:3~6(モル比)の割合のときマット釉に成ります。
d) 結晶釉を作る際、意図的にアルミナ成分を少なくし、釉に流動性を持たせますが、量が少な過ぎると
釉が流れ易くなり、素地から滑り落ちてしまう場合もあります。
e) アルミナは、固いガラス質を作りますので、機械的強度や化学的強度を増します。
f) 釉の表面張力を増す、強力な物質ですので「ちぢれ」を起こし易いですので、適量使う様にします。
g) 二酸化マンガンと組み合わせて、ピンク釉を作る事が出来ます。
この釉は非常に耐火度が高く、還元炎で高火度釉として使われます。
⑤ 植物の灰
東洋では古くから、植物を燃焼した後に残る灰を、多く用いていましたし、現在でも陶芸家を中心に
盛んに使われています。と言うよりもむしろ、釉は灰から出発したとも言われています。
灰ならどんな種類の植物であって、良いのですが、灰の種類によって各々特徴が有りますので、
使い分ける事も多いです。種類としては、稲の藁や、籾殻(もみがら)や糠(ぬか)などの
珪酸を多く含む物や、他に松、椿、栗(栗皮)等が代表的な樹木ですが、その他ススキなどの
草などの灰も利用しています。 又、色々な雑木や草や葉などを燃やした、土灰(どばい)も
多く利用します。アルカリ元素である、カリウム、ナトリウム、カルシウム等の他、マンガン、鉄、
燐(りん)など微量な不純物が入っています。
a) 灰を釉として使う場合には、灰単体でも使えますが、媒熔剤として使う事が多いです。
(灰その物はかなりの高温でないと、熔けませんが素地中の、アルミナやシリカと反応して
灰単体でも熔ける訳です。)
b) 同じ種類の灰であっても、採り入れる時期や場所によって、大きく違いが出ます。
その為、釉として一定にならず、工業的(量産的)には、自然の灰ではなく、合成の灰が
使われます。逆に、陶芸家などはその変化を期待して、使うとも言われています。
c) 灰は大量の水で、水溶性の不純物を取り除きます。又、燃え残りの炭(残滓=ざんし)も除きます。
水を何度も取り替え、繰り返す必要があります。
以上で「釉の三要素」の話を終わります。
次回から、透明釉と不透明釉(マット、艶消し、乳濁結晶など)について、お話します。
④ 三酸化物(中性元素、アルミナ、Al2O3)
釉に使われる三酸化物は、アルミナのみと言って良いでしょう。ほとんどの釉に含まれています。
アルミナは水酸化アルミニウムを、300℃で焼いて作り、非常に純度の高い物です。
水酸化アルミニウムは、微細な為沈殿防止剤としても、使用されます。釉にも使用され、素地との
密着を良くする働きがあります。又、アルミナ成分は、長石にも含まれています。
a) アルミナを入れると、熔ける温度が上昇します。又、熔ける温度範囲を広げます。
b) 量が増えるに従い、粘性が増します。その結果他の元素の結晶化を防ぎ、透明の釉に成ります。
c) 量が増え過ぎると、逆に微細な結晶が発生し、マット状に成ってしまいます。
この方法で、マット釉を作る方法が一般的です。
Al2O3 : SiO2 = 1:3~6(モル比)の割合のときマット釉に成ります。
d) 結晶釉を作る際、意図的にアルミナ成分を少なくし、釉に流動性を持たせますが、量が少な過ぎると
釉が流れ易くなり、素地から滑り落ちてしまう場合もあります。
e) アルミナは、固いガラス質を作りますので、機械的強度や化学的強度を増します。
f) 釉の表面張力を増す、強力な物質ですので「ちぢれ」を起こし易いですので、適量使う様にします。
g) 二酸化マンガンと組み合わせて、ピンク釉を作る事が出来ます。
この釉は非常に耐火度が高く、還元炎で高火度釉として使われます。
⑤ 植物の灰
東洋では古くから、植物を燃焼した後に残る灰を、多く用いていましたし、現在でも陶芸家を中心に
盛んに使われています。と言うよりもむしろ、釉は灰から出発したとも言われています。
灰ならどんな種類の植物であって、良いのですが、灰の種類によって各々特徴が有りますので、
使い分ける事も多いです。種類としては、稲の藁や、籾殻(もみがら)や糠(ぬか)などの
珪酸を多く含む物や、他に松、椿、栗(栗皮)等が代表的な樹木ですが、その他ススキなどの
草などの灰も利用しています。 又、色々な雑木や草や葉などを燃やした、土灰(どばい)も
多く利用します。アルカリ元素である、カリウム、ナトリウム、カルシウム等の他、マンガン、鉄、
燐(りん)など微量な不純物が入っています。
a) 灰を釉として使う場合には、灰単体でも使えますが、媒熔剤として使う事が多いです。
(灰その物はかなりの高温でないと、熔けませんが素地中の、アルミナやシリカと反応して
灰単体でも熔ける訳です。)
b) 同じ種類の灰であっても、採り入れる時期や場所によって、大きく違いが出ます。
その為、釉として一定にならず、工業的(量産的)には、自然の灰ではなく、合成の灰が
使われます。逆に、陶芸家などはその変化を期待して、使うとも言われています。
c) 灰は大量の水で、水溶性の不純物を取り除きます。又、燃え残りの炭(残滓=ざんし)も除きます。
水を何度も取り替え、繰り返す必要があります。
以上で「釉の三要素」の話を終わります。
次回から、透明釉と不透明釉(マット、艶消し、乳濁結晶など)について、お話します。