わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬とガラス 13(透明と不透明釉4)

2011-10-31 21:58:08 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
2) 不透明釉(失透釉)について

 ④  乳濁釉について。

   失透釉には、「マット釉」と「乳濁釉」の二種類があります。

   「マット釉」は「艶消し釉」とも言い、今までお話した様に、釉の中や表面に微細な結晶(固体)が

    一様に存在し、釉面も光が乱反射して、光沢の無い釉となります。

   しかし、「乳濁釉」は、異なる現象によって引き起こされます。

   即ち、一つの釉の中に、二種類の違うガラス質が分離生成され、その境界面で反射角度が変わり、

   乱反射を起こします。この二種類のガラス質を作る現象を「分相」と言います。

  ) 光沢のある不透明釉です。

    釉面は平滑で光沢があります。代表的な釉として「白萩釉」や「卯のふ釉」「乳白釉」などが

    あります。釉の中には乱反射する物質が存在し、釉の表面には乱反射する物質は、存在して

    いない状態に成っています。

  ) 分相とは、釉の中に「結晶性の固体物質」や「異なる液体物質」が存在する場合、「気体物質」が

     存在する結果、釉の中で二種類以上に、ガラス質が分離した状態を言います。  

  ) 固体物質(微結晶)

    前回お話した失透剤と言われる物質の、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどは、

    「マット釉」としても、「乳濁釉」としても使われます。これらは微結晶を析出しますが、

     釉の中に留まっている限りは「乳濁釉」で、表面まで浮か上がって来ると「マット釉」に

     なります。即ち、表面は微結晶を含まないガラス質で、その下に微結晶を含むガラス質の

     二種類の違うガラスが存在すと「乳濁釉」に成ります。

  ) 液体物質(アモルファス)

    釉の原料に珪酸と燐化合物を同時に使うと、透明性のある「珪酸系のガラス」と水滴状の

    微物質を含む「燐酸系のガラス」に分離します。

    又、珪酸を多量になると、「珪酸ガラス」と「高珪酸ガラス」に分離し、異なるガラス質の

    分相を起こします。

  ) 気体物質(細かい泡)

   a) 「白萩釉」や「卯のふ釉」「藁白」「糠白」などの乳濁釉は、稲等の禾本科の植物から採った、

     藁灰(わら)や籾殻(もみがら)灰、糠(ぬか)灰などの珪酸成分の多く含む原料を

     使っています。 これらの材料を、アルカリの媒熔剤と伴に高温にすると、細かい泡(ガス)が

     大量に発生します。 この大量の泡が、表面より抜け出ない状態で、釉中に留まった結果、

     透明性が失われ乳濁します。

   b) 乳白釉の白さ加減は、釉に含まれる粒子(分散相と言う)や泡の細かい程、更に屈折率が高く、

     反射面が大きい程、白く仕上がります。又、蛍石や骨灰も白さを助けます。

3) 釉の着色剤(顔料)について。
   

以下次回に続きます。
  
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