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日々の暮らしのなかで

確率

2006年09月02日 | 日記・エッセイ・コラム
何気なく時計に視線を送ると、5:55:55だった。

24時間表示にしてある寝室のデジタル時計。
この“ぴったり”の表示を見るのは、一日に一回しかない。しかも早朝。

こんな“偶然”に遭遇する確率は何パーセントなんだろうか?

こんな事もあった。

歌を口ずさみながら車に乗り込むと、僕の歌の続きがラジオから流れてきた。
何の歌だったか忘れてしまったが、最新のヒット曲じゃなかったはずだ。

(こんな偶然てあるんや!)

しばらくの間、感動と少しの恐怖感に体が動かなかった。

こんな“偶然”に遭遇する確率は何パーセントなんだろうか?


中田マサオ(仮名)49歳。妻のミヨコ(46)と二人の子供の四人家族。

以前はトラックの運転手をしていたが、車の不具合による事故にあって以来、
ハンドルを握る事が怖くなってしまった。
妻のミヨコは、最近、家を空けることが多くなった。
ご近所のお友達と楽しげに出掛けて行く。“イ・ビョンホン”のファンらしい。
息子(20)は高校を卒業して以来、ずっと家にいる。定職にもつかずに。
娘(16)のシズカは、最近“ギャルサー”に夢中だ。

「沖縄かぁ!?」

マサオは、“~さぁー”に引っ掛けて、タカ&トシ流の突っ込みをするが、
シズカは静かに無視。

色々な職を転々とした。
職を探す間、株取引にものめり込んでいった。順調だった。
“ホリエモン”が逮捕されるまでは・・・

幼い時からファンだったチームがなくなってしまった。
最近では、「小学生の時から“ゴールデンイーグスルのファン”でした!」
と言うギャグがお気に入りだ。

涙声で電話をかけてきた息子の言葉に
あわてて50万を振り込んだ事もあった。冷静に考えてみれば、
車も持っていない息子が、人身事故を起こす事は不可能だった。

三年前、念願の“マイホーム”と購入したマンションは
“ヒューザー”から買ったモノだ。
居間には松下電器製のストーブがある。湯沸かし器は、もちろんパロマだ。

マサヒコ(長男)がある日、全身白装束に身を包み帰ってきた。
“スカラー波”が気になるらしい。

使っている携帯はdocomoの“P209is”
懸賞で当った“ボス電”だ。
バッテリーが半日も持たないので、そろそろと思っているが、
ここまで待ったからには“10月24日”以降だと心に決めている。

ついでに、NHK受信料も払わないと決めた。

端正な顔だちのマサオは、いつも“青いハンカチ”を愛用している。
長男は最近、足しげく秋葉原へと出掛けていく。
どうやら“ヲタ芸”集団のリーダーをしているらしい。

何とか見つけた仕事は、北海道での“漁師”だった。
都会育ちのマサオにはキツイ仕事だったが、一生懸命働いた。
ロシアの船に銃撃された事もあったが、拿捕はされなかった。

久し振りに戻ってきたマサオは、これまた久し振りに“吉野家”に
立ち寄った。

「家族は元気かな?」

両手に土産を抱えて帰ってきたマサオであったが、
マイホームに辿りつく寸前、思わぬ足留めを食らう事となる。

エレベーターに閉じ込められたのだ。
シンドラー社製だった。

必死に助けを求めるマサオ。大事な土産を抱えたまま、
何度も何度もドアに“頭突き”を繰り返した

マサオはこれまでの人生を振り返り、
しばらくの間は、自由な時間を持とうと思った。
そして、旅に出ることにした。

“自分探し”の旅に。


三菱自動車リコール隠し 
韓流ブーム 
ニート 
ギャルサー 
若手芸人ブーム
ライブドア事件 
球界再編問題 
振り込め詐欺 
偽装マンション
ストーブ自主回収 
湯沸かし器の不完全燃焼 
パナウェーブ研究所
BOSS懸賞
番号ポータビリティ
NHK受信料
ハンカチ王子
アキバ系
拿捕事件
米産牛肉問題
エレベーター事故
ジダン最後の試合
中田英寿引退



これだけの事が、ひとつの家族にすべて降り掛かったとしたら
それはそれで凄い

“偶然”

だと思いながら書いてみたが、こうやって並べて見ると、


「結構、あるかも?」


と思えてしまう。

これに似た、いや、それ以上の“偶然”が重なった家族が何処かにいるはずだ。
そして改めて思う。

「こんな“偶然”に遭遇する確率は何パーセントなんだろうか?」

と。