車で走っていると、面白い光景を目にする事がある。
一番不思議に思うのは、
“片方だけの靴”
が、落ちている事。何故、片方だけなのか?
落ちたのか?それとも、投げ捨てられたのか?
最近では見かけなくなったが、よく駐車場でキチンと並んで
置き忘れられた靴を見かけたものだった。
今でも“土禁”ってあるんだろうか?
僕が住んでいる近くにダムがある。
たまに
“この世に未練の無い人”
がやってくる、迷惑な場所だ。
そこにもたまに“キチン”と靴が並べて置いてある事があった。
消防団に居た頃、年末には村の中を見回りする。
当然、ダムも村の中にあるから、見回りをする。
すっかり静まりかえった丑三つ刻。
「そろそろ、行こかぁ!」
恒例行事の様に、時間帯を見計らって出動する。
当時の消防車は、運転席と助手席にはドアがあったが、
後部座席は、“チェーン”がかかっているだけで、
“車中”とは言えない雰囲気。
そんな後部座席にも乗せてもらえない、いわゆる“ペーペー”の頃、
消防車の最後尾につかまって、ダムへと向かった。
「気色悪いですね」
もう一人の先輩と、何とも言えない暗闇の中、名所へと到着した。
大きな橋がかかるダム。
演出なのか、それともびびっているのか。運転手がゆるゆると車を進める。
橋を渡ろうとした時、ヘッドライトに何かが浮かび上がる。
揃えてある靴。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
車中から男の野太い、悲鳴と歓声が聞こえてくる。
しかし、本当に怖いのは僕達である。
車外にいるんだから。
先輩の顔を見ると引きつっている。
好奇心なのか、やっぱりびびっているのか、運転手がゆるゆると車を進める。
(やめてくれ~)
恐怖心と最年少って事で、心の叫びが言葉にならない。
そして、車は橋のど真ん中で停車する。
車中はギャーギャーと怖がっているようで、騒いでいる楽しげな声が聞こえる。
(それどころちゃうで、はよ、行ってくれぇ~!)
振り返る事も出来ず、ただただ車につかまっていた僕に先輩がポツリと呟いた。
「えっ? 今、何言うたん?」
(・・・・・僕、何も言ってませんけど)
僕の視線が、先輩の問いかけを否定している事に気付いたんだろう。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
普段大人しい先輩が急に大声を出した。
僕は勿論だが、その声に一番びっくりしたのは、車中にいた運転手だった。
たまに見かける“片方だけの靴”って何なんでしょうね。
一番不思議に思うのは、
“片方だけの靴”
が、落ちている事。何故、片方だけなのか?
落ちたのか?それとも、投げ捨てられたのか?
最近では見かけなくなったが、よく駐車場でキチンと並んで
置き忘れられた靴を見かけたものだった。
今でも“土禁”ってあるんだろうか?
僕が住んでいる近くにダムがある。
たまに
“この世に未練の無い人”
がやってくる、迷惑な場所だ。
そこにもたまに“キチン”と靴が並べて置いてある事があった。
消防団に居た頃、年末には村の中を見回りする。
当然、ダムも村の中にあるから、見回りをする。
すっかり静まりかえった丑三つ刻。
「そろそろ、行こかぁ!」
恒例行事の様に、時間帯を見計らって出動する。
当時の消防車は、運転席と助手席にはドアがあったが、
後部座席は、“チェーン”がかかっているだけで、
“車中”とは言えない雰囲気。
そんな後部座席にも乗せてもらえない、いわゆる“ペーペー”の頃、
消防車の最後尾につかまって、ダムへと向かった。
「気色悪いですね」
もう一人の先輩と、何とも言えない暗闇の中、名所へと到着した。
大きな橋がかかるダム。
演出なのか、それともびびっているのか。運転手がゆるゆると車を進める。
橋を渡ろうとした時、ヘッドライトに何かが浮かび上がる。
揃えてある靴。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
車中から男の野太い、悲鳴と歓声が聞こえてくる。
しかし、本当に怖いのは僕達である。
車外にいるんだから。
先輩の顔を見ると引きつっている。
好奇心なのか、やっぱりびびっているのか、運転手がゆるゆると車を進める。
(やめてくれ~)
恐怖心と最年少って事で、心の叫びが言葉にならない。
そして、車は橋のど真ん中で停車する。
車中はギャーギャーと怖がっているようで、騒いでいる楽しげな声が聞こえる。
(それどころちゃうで、はよ、行ってくれぇ~!)
振り返る事も出来ず、ただただ車につかまっていた僕に先輩がポツリと呟いた。
「えっ? 今、何言うたん?」
(・・・・・僕、何も言ってませんけど)
僕の視線が、先輩の問いかけを否定している事に気付いたんだろう。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
普段大人しい先輩が急に大声を出した。
僕は勿論だが、その声に一番びっくりしたのは、車中にいた運転手だった。
たまに見かける“片方だけの靴”って何なんでしょうね。