昨日、尾花沢の二つ森に新緑を訪ねた。いよいよ6月が始まる。その日、目に優しいブナの新緑。南宋の詩人に「柳暗花明」という句がある。
「山重水複 路無きかと疑い 柳暗花明 又た一村」。重なりあった山、折れ曲がった川に沿ってもう道はゆきどまりかと案じていると、柳が暗く枝を垂れた彼方に、ぱっと花々が群がり咲いて、また一つの村が見えてきた。」昨日の山行は、この詩を地に行くような歩きであった。柳に対して、二ツ森には、日をさえぎるブナの新緑があり、目を下に落とすと、咲き残りのツツジが、草むらに明るい。
二ツ森は北峰(742m)と南峰(695m)の双耳峰である。以前は、南峰、女山にしか登山道がなかったが、2020年岩峰の男山にもロープや階段の山道が作られ二つ登山が可能になった。登山道は牧場の縁にある車道で、登山口駐車場から。二つの山の鞍部まで、渓流や細い山道が続く。この山は何度も登っているが、ほぼ冬から春、雪のなかを牧場を横切って登った。夏道はその分短く、鞍部まで40分、鞍部から男山は40分、下山20分。鞍部から女山には10分ほど、久しぶりの山道、急登で足の筋肉が悲鳴を上げている。ポールを使って狭い歩幅で、疲れない登山。下りは、ロープをつかって後ろ向きになって下山。心配された急坂も、無事に往復できた。
やはり、初夏の緑はいい。その中に入ると、木々の息吹がそのまま体内に入って、元気がもらえる。この平和そのもののたたずまいも、森の変遷に向けて、植物同士の闘いの平衡状態と、植物学者が語っている。ブナが優位を占めるにはも理由がある。それは、積雪に対しての耐性だ。この雪の試練を通り抜けたものが、この森を支配する。太平洋岸と日本海側では、その植物相は大きな異なりを見せる。