北梅林は、まさに満開でした。
もり家で、十分お腹を満たしたあと、本日最後の目的地、栗林公園に向かいました。正門横の駐車場は、有無を言わさずの「満車」の表示でした。しかたなくPの矢印に従って北側の駐車場に向かう途中、私営の駐車場係のご老人が、「こっちこっち」、と手招きするので、「ま、ここでもいいか。」と急遽そこに停めることにしました。終日700円とのことでしたが、高いのやらどうやら、わかりません。
入園料を払い、まず向かったのが、北梅林です。遊歩道を歩いて進むと、突然、華やかなピンクや白の色彩が視界に入ってきます。まさに見ごろのようでした。1本1本丁寧に管理された梅の木は、さすがというしかありません。枝垂れがないのが残念ですが、高さがほぼ整えられた梅は、素晴らしいものでした。栗林公園には、およそ160本の梅が植栽されているそうです。梅林は、北と南と2箇所ありますが、写真を撮るのは、北梅林に限ります。南に比べて密度が高く、ボリュームがあります。大勢の入園者がカメラにおさめていました。まさに春爛漫といったところです。
このあと南梅林に行きましたが、逆光ぎみで撮影はなかなか難しく感じました。撮影のあと、いつもの、掬月亭(きくげつてい)で抹茶をいただくことにしました。一方が開け放たれた畳の部屋は、ぐるりと赤い毛氈が敷かれ、この時間、5組ほどの客がいました。お運びの方によると今日のお菓子はすでに出てしまったそうで、「これは代わりです」。と出されたのは、名物の「灸まん」でした。「かまど」と並び香川県を代表する土産菓子です。
この部屋から見える、お庭の池には、いつもの大きなアオサギがいましたが、池の排水工事のせいでしょうか。水が抜かれていたので、どうもいつもの元気がないようでした。
お茶のあとは、いつものように掬月の間に移り、南湖を眺めることにしました。南湖は大きな池ですが、掬月の間から見る水面は、不思議なことにいつもエメラルドブルーの神秘的な色をしています。三方が開け放たれた大きな畳の間から見る南湖、江戸時代のお殿様も見たであろうこの景色、まさに贅沢の極みではないでしょうか。昨年から川舟による南湖の遊覧も行われていて、お揃いの傘をかぶった舟客も、どこか景色に馴染んで見えます。
このあと、吹上を通り、栗林公園一番のビュースポットと云われる飛来峰(ひらいほう)へ移動しました。ここから南湖方面を見ると、紫雲山を借景に、南湖、先ほどの掬月亭、手前には偃月橋(えんげつきょう)と眼下に広がる景色は、まさに一級品です。日本の三名園と云われる岡山の後楽園は、後方に岡山城を配するフラットな大名庭園ですが、対照的に、栗林公園は、6つの池と13の築山を有して起伏をなし、一説に1000本と云われる見事な松が、それらに色を添えています。
こうして、栗林公園をあとにすることにしましたが、出口でいつも感心するのが、専用のはたきが置いてあることです。園内を散策すると、どうしても靴や裾がほこりをかぶります。そこで、障子をパタパタしてほこりを落とす、あのはたきが、実に具合がいいのです。おまけに木製の足台も用意されていて準備万端。栗林公園に行かれたら是非、試していただきたいと思います。
こうして、本日の結果に満足し、駐車場のお年寄りに見送られながら家路についたのでした。(終わり)
飛来峰は、栗林公園一のビュースポット