「伏見稲荷大社」のそばを通る伏見街道は、京の五条と伏見を結び、かつて物資の運搬の重要な道のひとつでした。現在も大切な生活道路で、交通量も結構あり、道幅が狭いので、ミモロは、車に注意しながら北へと進みました。
「なんかこの道、昔ながらの雰囲気のあるお店がまだ残ってるね~」キョロキョロ。
歩いていると、ひときわ、歴史を感じさせる建物に出会いました。
歴史ある佇まいのその店は、伏見人形という土で作る人形の窯元「丹嘉(たんか)」です。「伏見人形だって~」とミモロは興味津々。
店先には、稲荷のキツネ、打ち出の小槌とネコをもった大黒様などが飾られています。
「なんか楽しい雰囲気のお人形だね~」と、ミモロの興味はさらに…。
そこで、暖簾をくぐり店内へと進みました。
「ごめんください~」しばらく誰もでてきません。
店の中を見渡すと、棚にいっぱい人形が…表彰状なども多数。「すごいお店なんだ~」
「ごめんください~」とさっきより大きな声で店の中へ呼びかけます。
「はい~」と姿を見せたのは、この店のご主人である大西時夫さん。
「いらっしゃいませ~。なにか?」「あの~お人形見せていただいていいですか?」と遠慮がちに尋ねます。
「はい、どうぞ~」店内も歴史を感じさせる雰囲気が漂います。それもそのはず、ここは、寛延年間創業で、ご店主は八代目だそう。徳川9代将軍 家重の時代です。「パパは、吉宗さんでしょ?その時代にできたの?すごい~」とミモロ。
「あの~このお人形、どういうお人形なんですか?」と全く知識のないミモロ。
「これは伏見人形という土人形で、もともと稲荷山の土を粘土にして、型から人形を作り、窯で焼き、胡粉や岩絵の具で彩色します。」と。お店の奥には工房があって、そこで製作なさるそう。
土人形は、全国90種以上あって、伏見人形は、その元祖ともいわれます。
一説によると、伏見稲荷大社の参拝者が、自宅に福を招くために、キツネをはじめ、さまざまな福招きの人形や動物などを象った土人形を求め、お祀りすることで、全国に広まったとか。
「あ!ネコもいろんな子がいる~」と、ついネコに目が行くミモロです。
「ぎゃ~招き猫だらけ~すご~い」
さまざまな伝説や当時の風俗などをテーマにした人形たちは、いずれも不思議なパワーを感じさせるものばかり。
「う~個性的~」
奇抜で、ユーモアに富んだ姿には、迫力すら漂います。
「このお人形の形は、昔からなんですか?」とミモロ。
「はい、現在も原型や型がたくさん残っています。それを元に今も作っているんですよ~」と大西さん。
「ということは、江戸時代の人たちも、ここにあるのと同じお人形持ってたってこと…。きっといろんな人たちが買ったんだろうなぁ~」と思うミモロです。
来年の干支のネズミもあります。
昔は、伏見人形の窯元も数多くあったそうですが、今や、ここ「丹嘉」だけに…。
「ありがとうございました~いろいろ見せてくださって~」とお礼を言って、お店を後にしたミモロ。
「伏見街道って、まだまだ心惹かれるものがある~。京都の町中になくなってしまったものが、まだここにはある気がする~また来よう~」と。
ぜひ「伏見稲荷大社」に参拝の折には、伏見街道を歩いてみてはいかがでしょ。
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