昨夜は悪友たちが集まって、焼酎の品定めをしながら、それでいて極めて真面目な話を延々としていた。私は2時間ほど遅れて参加したが、すぐに話の中に入ることができた。焼酎を嗜むほど通にはなれないので、もっぱらビールを駆けつけ3杯とばかりに飲み続け、自分の思ったことや考えを述べ、最初から出席しているように、他の3人と渡り合った。
「どうしてこんなに何もかもすぐに捨ててしまうのか、もったいない。学生が卒業して国に帰るときなどは、みんなゴミになってしまう。コンロも冷蔵庫も自転車も机や本箱やタンスも、みんな捨てていくんだでね」と一人が言えば、「どうしてです。親元に送らないのですか?」と一人が問う。「学生は持って帰らんし、親御さんも取りにこんね。それで大家も困って“何とかしてくれ”と言うので、引き取ってくるのよ」と答える。家中がそんな粗大ゴミで埋まっているそうだ。
「物をこんなに粗末にしていると、そのうちドッサッとしっぺ返しを人間は食らうね」。「物が無くて、物ばかりか食べることもできない人たちがいるのに、一方ではじゃんじゃん捨てている。まだ充分に使えるし、中にはウチにあるものよりもいいものだってあるから、あきれるというか寂しいね」。「欲しい人だっていると思うけれどね」。「そういう仲立ちをやったらどうだろう。社会の役にも立つし、ゴミも減らせるし、私たちには向いているんじゃないか」。
社会から救われる対象の世代である私たちは、いよいよ意気盛んとなり、NPO法人を作るべきか、いやもう少し具体的になにをするかじゃーないか、など酔っ払っていながらいつまでも真面目に論理的に考えようとするのは、これまでのサラリーマン生活の賜物だろう。「わかった。今度、素面でやりましょう」とすぐさま、日時と場所を決める。これもまた、これまでの習慣の延長である。
宴席を盛り上げることには積極的な私も、宴席でことを決めることにはちょっと懐疑的になってしまう。だから悪友たちはそこをよく心得ていて、具体的なことは決めずに、今度素面でやりましょうと日時と場所だけにとどめている。長いサラリーマン生活を積み重ねてきた男たちの智恵だなと思う。
飲みながら私は、今日出会った女性が何を言いたかったのかと考える。口に出していってしまうと、一歩進まなくてはならない。進むことがよいことに向かうのか、実は恐ろしいことになるのか、考えてしまうのだ。大切に思うからこそ、口に出さない方がよい時もあると思う。
「どうしてこんなに何もかもすぐに捨ててしまうのか、もったいない。学生が卒業して国に帰るときなどは、みんなゴミになってしまう。コンロも冷蔵庫も自転車も机や本箱やタンスも、みんな捨てていくんだでね」と一人が言えば、「どうしてです。親元に送らないのですか?」と一人が問う。「学生は持って帰らんし、親御さんも取りにこんね。それで大家も困って“何とかしてくれ”と言うので、引き取ってくるのよ」と答える。家中がそんな粗大ゴミで埋まっているそうだ。
「物をこんなに粗末にしていると、そのうちドッサッとしっぺ返しを人間は食らうね」。「物が無くて、物ばかりか食べることもできない人たちがいるのに、一方ではじゃんじゃん捨てている。まだ充分に使えるし、中にはウチにあるものよりもいいものだってあるから、あきれるというか寂しいね」。「欲しい人だっていると思うけれどね」。「そういう仲立ちをやったらどうだろう。社会の役にも立つし、ゴミも減らせるし、私たちには向いているんじゃないか」。
社会から救われる対象の世代である私たちは、いよいよ意気盛んとなり、NPO法人を作るべきか、いやもう少し具体的になにをするかじゃーないか、など酔っ払っていながらいつまでも真面目に論理的に考えようとするのは、これまでのサラリーマン生活の賜物だろう。「わかった。今度、素面でやりましょう」とすぐさま、日時と場所を決める。これもまた、これまでの習慣の延長である。
宴席を盛り上げることには積極的な私も、宴席でことを決めることにはちょっと懐疑的になってしまう。だから悪友たちはそこをよく心得ていて、具体的なことは決めずに、今度素面でやりましょうと日時と場所だけにとどめている。長いサラリーマン生活を積み重ねてきた男たちの智恵だなと思う。
飲みながら私は、今日出会った女性が何を言いたかったのかと考える。口に出していってしまうと、一歩進まなくてはならない。進むことがよいことに向かうのか、実は恐ろしいことになるのか、考えてしまうのだ。大切に思うからこそ、口に出さない方がよい時もあると思う。