ひとり暮らしの気安さで、夕方から冷蔵庫の中にあったものを取り出して、晩ご飯の料理をした。私はなんとなく気おくれがして、ひとりでは外食が出来ない。ただ並べただけのものを入れて4品と、ちょっと豪華になってしまった。テレビを見ながらお酒を飲み、食事を終えかけた頃、電話が鳴った。「すぐに来ませんか」と同じマンションの友だちが言う。ひとりよりも友だちと一緒の方がお酒はうまい。ましてやこの人と飲む酒は気持ちいい。
出かけて行くと先客がひとりいた。この人も井戸掘り仲間である。友だちが煮たのだろうイカとサトイモの煮物、野菜サラダとナスのカラシ漬があった。既にふたりはかなり前から飲んでいたようだ。郷里の祭りのCDを見ながら、そのいわれやしぐさなどを解説していた。祭りを見ていると、昨年、姉と出かけた四国西条市の祭りに似ている。おそらく日本中、どこへ出かけても大きな差は無いのかも知れない。
そういえば、誰だったか日本各地の祭りを調べていた。きっとそういう本も出版されているのだろう。愛知県は豪華な山車が多いし、一部にはからくりもある。それくらい裕福で、みんなでお金を出し合って、山車の豪華さを競ったのだろう。西条市もそうだったけれど、鳴りものは太鼓と鐘だけだ。笛がないからメロディーはなく、リズムだけだ。私の生まれた街も母親の生まれた田舎も笛があったから、祭りと言えば太鼓に笛と思っていたけれど、やはり地方によって違う。
ただ、太鼓と鐘だけの場合はリズムだけになるから、打ち方や鳴らし方に多少の違いがあってもよく似ている。西条市のだんじり祭りも伊勢祭りを参考にしたものだと聞いた。昨晩の郷里の祭りも春日神社に奉納する祭りだと聞いた。春日神社と言えば奈良で、藤原氏の神社だからそのゆかりの土地なのだろうか。祭りの楽曲や各地の民謡を調べてみたら、歴史とつながりが見えてくるだろう。
いやいやそれにしても、沖縄の泡盛は美味しかった。それに仲間でワイワイと、どうでもよい話で盛り上がるのは楽しい。人生は誰に出会うかである。そう、確かに素敵な人に出会えば、人生はますます楽しくなる。世の中にはたくさんの人がいるのに、出会う人はわずかしかなく、しかも一生の宝となるのだから不思議だ。出会いに乾杯!今晩遅くにはカミさんと孫娘が帰ってくる。明日からはまた騒がしくなるだろう。