心療内科の医師が「身体を緩めると心も緩められる」と言っていた。何かをやろうとすると、何もかもうまくいって当然で、出来なければ落ち込むことになる。真面目な人ほどその傾向は強い。完璧なんてあり得ないと思っていても、いや、完璧に出来なくてどうするとムチ打ってしまう。「完璧を目指すのはいいけれど、出来なくてもいいと、体験を重ねると分かるようになります」と医師は話していたが、なかなかそう思えないところが辛い。
社会のテンポは速く、学校でも職場でも、緊張感を強いられる。「そこそこで」などは許されない。「心が疲れている人は多い」と医師は言うけれど、じゃー、どうしたらいいのだろう。まずは小手先だけれど、「身体を緩める体操をする」ことだと言う。緊張は同じ筋肉を使っているので、ゆっくりと身体を動かして筋肉を伸ばしてやるといいそうだ。運動選手がよくやっているストレッチは効果があるのだ。
「同じ空間、同じ環境に閉じこもるより、気分転換が必要」とも言う。日常から離れた非日常の世界を持つことは「心を緩める」ことになる。旅行や観劇や音楽、それに恋愛はもっと心を開放してくれる。「異なる世界を持つことは活力になる」からだ。真面目過ぎる人はなかなか恋愛など出来ないのかも知れない。全てを背負い込み、そこから抜け出せない。ウジウジと考え込むより思い切って外に出る方がよいことが待っている。
学校に行けない、会社に行けない、そういう人に助けはないのだろうか。学校に行けないあるいは行かない子どもがいる。学校は何をしているのだろう。私の中学の担任だった先生は、学校が荒れていた時、夜中に子どもたちが居そうな場所へ出かけて行って話し込んだと言っていた。今、そういう先生はいるのだろうか。学校に不登校の子について尋ねても、「それは家庭の問題」とか「プライバシーだから」とか言うばかりで、責任逃れをしているように見える。
「弱い人間はどうしようもない」とでも言うのだろうか。川崎市の事件もそうだけれど、子どもが孤立しているのを大人たちは気遣うことが出来ないでいる。この寂しさを克服する手だてはないのだろうか。